ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

サンリオNEXT KAWAII PROJECT

新キャラデビュー「NEXT KAWAII PROJECT」の感想。あまり追っかけていなくて、キャラをぱっと見ただけの状態です。

www.sanrio.co.jp

 

デビュー前のキャラをグッズ化して投票って、かなり画期的だと思う。KIRIMIちゃんとぐでたま、かしわんこもちのときとかは、投票だけやったんだったか?昔過ぎて忘れたけど。

グッズ化されると何がいいって、平面で見た時のキャラと、立体になった時のキャラの違いがわかること。あとは、よくあるグッズにかかれた時のバランスの良さなどもわかって、良いと思う。

 

ただ、KIRIMIちゃんの時とは違って、私的には今回のキャラは、あまり顔の好みの子がいない。

 

クマリーノはぬいぐるみは超かわいいと思うけど、平面だと特に、かな。まあ、かわいいと思うけど、かわいい系のグッズにこういうキャラ書いてありますよね的な印象を受ける。あまり独創性を感じないというか。

クマリーノ | NEXT KAWAII PROJECT 公式サイト

 

はなまるおばけは、まるもふびよりにそっくりな気が。

はなまるおばけ | NEXT KAWAII PROJECT 公式サイト

 

かぶりんぼくらぶは、かわいい。ただ、胸がきゅんとするようなかわいさまではいっていないような気も。キャラの並べ方とかによっては、さらにかわいくなると思う。すみっこ的な感じで、どかどか並べるとかわいい? メモはかわいいから、並べ方と背景でかなりかわいくなる気がするけど、ぬいぐるみは普通な気が。

かぶりんぼくらぶ | NEXT KAWAII PROJECT 公式サイト

 

クリーミィアフタヌーンは、とてもかわいい! ただ、センターの子が、お友達キャラ風に見えてしまう。ぼんぼんりぼんのお友達のミルキーミミにやや似ている。

クリーミィアフタヌーン | NEXT KAWAII PROJECT 公式サイト

www.puroland.jp

 

はれのちにゅあ、かわいいけど、シナモンの顔とお口に見えてしまう。

はれのちにゅあ | NEXT KAWAII PROJECT 公式サイト

 

ふからんぷからん、ゆるくていいけど、既視感があるキャラのイメージ。ベイマックスに似ている?サンリオキャラでも似ている子がいたようないなかったような記憶が。

ふわらんぷからん | NEXT KAWAII PROJECT 公式サイト

 

ルルクルンもかわいいけど、かわいい系のグッズにこういうキャラ書いてありますよね的な印象を受ける。でもやっぱりかわいいかな。

ルルクルン | NEXT KAWAII PROJECT 公式サイト

 

ぷりぷりうんぴ~ず、顔的には一番好みだけど、設定が汚すぎて。

ぷりぷりうんぴ〜ず | NEXT KAWAII PROJECT 公式サイト

 

月の裏のレストラン、特に感想なし。かわいい系のグッズにこういうキャラ書いてありますよね的な印象を受ける。

月の裏のレストラン | NEXT KAWAII PROJECT 公式サイト

 

ホップホップベイビーズもかわいい系のグッズにこういうキャラ書いてありますよね的な印象を受ける。けど、平面に描かれた絵はやっぱりかわいいかな。立体のぬいぐるみがいまいちじゃない?これ、立体をかわいくできれば、かわいい気がする。

ホップホップベイビーズ | NEXT KAWAII PROJECT 公式サイト

 

ということで、胸をつかまれるようなかわいい子は、私にとってはいませんでしたが、この中で挙げるなら、クリーミーアフタヌーンとかぶりんぼくらぶ、次点がクマリーノとホップホップベイビーズ、その次がルルクルン。

 

 

 

次世代医療基盤法改正の感想

23.1.12赤字箇所追記(法改正に関する個人情報保護についての感想追記)

次世代医療基盤法の改正に向けて検討が進められていましたが、現場ニーズに即した大幅な改正が盛り込まれる模様です。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/data_rikatsuyou/jisedai_iryokiban_wg/dai7/siryou1.pdf

www.kantei.go.jp

こういう法改正って、「一応改正しました」的なお茶を濁すものになることが多いのに、こういう風に大幅な改正をするとは、「法改正とはかくあるべし」という感じを受け、素晴らしいことだと思います。

どっかの法改正とは全然違うな~、と、どっかに対して地味に嫌味を言いたい気持ちです笑。

 

  • 社会課題を把握・調査する
    (この例でいえば、匿名加工医療情報の活用の困難さ)
  • 社会課題解決をするためにハードルとなるものを特定する
    (この例でいえば、個人情報保護)
  • ハードルを越えて社会課題を解決する方法を検討する
    (この例でいえば、利活用者の大臣認定制度の創設に基づく仮名加工医療情報の創設)

 

法改正とは、新法とは、こういう風に考えてほしいという、好例ですね。

被害者救済法とか、マイナンバーの実務なども、もっと良いものになることを期待します。

 

23.1.12追記
この改正の肝としては、

  • 現状の匿名加工医療情報のままだと、利活用ニーズが満たせないことがある(希少疾患の研究などができない)
  • そこで、匿名加工医療情報ではなく仮名加工医療情報を認めて、希少疾患の研究などにも活用できるように法改正した
  • しかし、匿名加工から仮名加工にすると、加工レベルが落ちるため、プライバシー権侵害リスクが生じてくる。そこで、仮名加工医療情報を取り扱う者への規制を強化し、個人情報の悪用・漏えい等を防ぐ。
  • 具体的には、仮名加工医療情報を作成する事業者のみならず、仮名加工医療情報の提供を受けて研究開発に用いる事業者についても、大臣認定を取得した者でなければだめとする。これによって、適切な管理等ができる事業者しか、仮名加工医療情報を触れないようにする。
    この点、現状で認められている匿名加工医療情報だと、匿名加工医療情報を作成する事業者のみ大臣認定を受けなければだめで、匿名加工医療情報の提供を受けて研究開発に用いる事業者については大臣認定は不要。なぜならば、匿名加工医療情報は完全に匿名化されているので、その提供を受ける者については最小限の規制で良く、医療情報(=個人情報)を匿名加工化して匿名加工医療情報を作成する事業者のみ厳格に管理すればよいという発想に基づくものである。
    これに対し、法改正で認められる仮名加工医療情報だと、医療情報(=個人情報)を仮名加工化して仮名加工医療情報を作成する事業者のみならず、仮名加工医療情報の提供を受けて研究開発に用いる者についても、仮名加工医療情報を取り扱うことになるため規制を強化する必要があるが、次世代医療基盤法改正案では、この規制を大臣認定という非常に強い規制にすることで、プライバシー権を保護しようとしており、この利活用ニーズを満たす状態のデータ提供をとても強い規制の下で行うという、利活用と保護のバランスが良いと考えます。
  • 残る論点としては、大臣認定の基準をどの程度にするか、でしょう。さすがに現状の匿名加工医療情報作成事業者並みの認定を利活用者にも行おうとするのは、厳しすぎでしょう。
    なぜならば認定匿名加工医療情報作成事業者とは異なり、仮名加工医療情報取扱事業者が扱う情報は生情報ではなく、あくまで仮名加工医療情報だからです。さらに、今の匿名加工医療情報作成事業者の認定、認定までに数年(2年?3年?)かかる模様であり、それを利活用者(仮名加工医療情報取扱事業者)にもやろうとするのは、タイムスケジュール・負荷的にも難しいと思われます。
    ですが、生情報ではないといっても、仮名加工医療情報を取り扱うわけであり、ずさんな認定では意味がない。違反をした際の制裁もきちんとする必要もある。そこの塩梅(どの程度の認定基準とするか)が難しそうです。
    そして、大手企業の利活用者なら対応できる認定基準でも、研究機関では対応できない場合もあり、しかし個人情報保護はきちんと行わなければならず、研究機関向けの認定基準も、実務的には悩ましそうです。

 

法改正となれば、次世代医療基盤法の書籍改訂しようかなあ。少なくとも公表しているパワポは修正しよう。

昨日

最近、疲れやすいなと感じているが、昨日やったことを振り返ったら、そりゃ疲れるなと思った。特に内容ありません。

 

昨日やったこと。

  • 午前中、A社利用規約のチェック。
    アソシエイトが作成してくれた利用規約のチェックだが、チェックとはいえ、1時間半使った。
  • 午前中、事務所内打ち合わせ
  • 午後一、東京都の会議。2時間弱。
  • 午後二、B社お打合せ
  • 午後三、A社お打合せ
  • これらのほか、警察への電話、執筆した小論文の見直しと提出、メール返信を行っている

 

一日にやる量としては、よく頑張っていると思う。えらい。誰もほめてくれないので、自分で自分をほめよう。

さらにいうと、先週、仕事があまりはかどらず、今週締め切りの仕事に先週全然取り掛かれなかったので、土曜に2時間、日曜に1時間半程度仕事をしている。えらい。というか、計画ミスだな。ただもう、その週の仕事しか考えられないときはあるので、そうすると週末にカバー、と。ただあんまり週末に回しすぎると今度は破綻するので、やれるときはちゃんとタスク管理をやって、平日に完結するように頑張ろう。

 

今日は、C社ドキュメント作成とC社お打合せ、D社ドキュメントチェックとD社当てご連絡の予定。某会議議事録確認は、すでに完了した。

検討の量が多い

今、自治体関連の個人情報取り扱いのご支援をしていますが、なんと、

  • 今年度から来年度にかけての取り組みである
    →今年度は条例適用、来年度からは個人情報保護法適用のため、ダブルで検討が必要
  • 規律移行法人と非規律移行法人が登場する
    →来年度の個人情報保護法適用時は、規律移行法人向け規制と非規律移行法人向け規制を検討しなければならない

ということで、かなり複雑となり、検討ボリュームが多いです。

規律移行法人と非規律移行法人が登場する取り組みは、来年度以降になっても、そこそこ個人情報保護法の検討ボリュームが多そう。

日経XTECHにコメントしました

xtech.nikkei.com

 

2022.12.15付の記事「マイナンバー利用が法改正なしでも拡大へ、不適切利用の歯止めへ増す個情委の役割」へのコメントです。
マイナンバー法別表第一・第二の規定ぶり改正についてのコメントです。

公金受取口座のオプトアウト

※22.12.16 公金受取口座の課題を後ろの方に追記

 

www.tokyo-np.co.jp

 

公金受取口座とマイナンバーの紐づけについて、同意方式をやめて、オプトアウト形式にするという案が、東京新聞で記事になっていました。

プライバシー権から考えてみると、私は以下のように思います。

  • 年金受取口座や、児童手当受取口座は、どのみち現状でも公権力に把握されている口座である。
  • そして、年金も児童手当も、現状でも個人番号利用事務である。なお、公金受取法に登場する国税も個人番号利用事務である。「個人番号利用事務である」とは、つまり、マイナンバーと紐づいている状態である。
    もっとも、それらの事務で把握している口座やマイナンバーは、原則、児童手当事務にしか使えないし、年金事務にしか使えないので、コロナの特別定額給付金の支給には使えない。
  • それを、コロナの特別定額給付金のような給付金受取口座として、年金受取口座や児童手当受取口座とマイナンバーとを紐づけることにするというもの。
  • つまり、すでに公権力に知られているマイナンバーと口座情報を、コロナの特別定額給付金のような給付金受取口座としても登録されてしまうというもので、プライバシー権から見たときに、この範囲ではリスクは低い。現行法だと同意必要だが、それがオプトアウトになったとしても、すでに知られているマイナンバーと口座情報であって、使用用途が給付のみである(現行法だと給付用途限定なのだ)。
  • つまり、ここまではプライバシー権の問題からはリスクが低いと思われる(漏えいしたらどうするんだという意見があるが、すでに児童手当受給口座として、マイナンバーとともに自治体に知られている情報なので、現状でも、元々漏えいするリスクはある。アクセス者が増えればリスクは上がるので、その上昇するリスクを述べているものと思われるが、そのリスク対策としては、デジタル庁もあることだし、標準以上のセキュリティ対策がなされないとおかしいはずなので、その議論は今は割愛する)。
  • ゆえに、問題は、公金受取口座とマイナンバーの紐づけではない。
    これをもとに、全口座とマイナンバーを紐づけて、応能負担の実現、資産課税の強化等をもしやるのであれば、それに流用されるのではないか、というのが批判の原因ではないのだろうか。
    なので、「現行法、そして来年通常国会の改正法に基づいては、公金受取口座とマイナンバーの紐づけを、全口座付番に流用することはしない。もしするのであれば、閣議決定等で判断することはなく、必ず改正法案を提出し、国民の皆様への丁寧な説明を行ったうえで国会での議論を行います」というべきではないのだろうか。

 

私としては、公金受取口座については、上記の点より、以下の課題があると思っていて、それを解決しないといけないと思っています。効果が発揮しにくいのであれば、一定のリスクをとる必要がないと思うからです。効果を発揮し、リスクを防止する。これが求められていることだと思うので、効果を発揮しにくくする課題について考えることが必要だと思っています。
とはいえ、オプトアウトに賛成かといわれると、賛成ではありませんので、以下の「希望制のため、実効性に欠ける」の下の方にもその旨は書いていますが、ただ、オプトアウトが決定的にダメかといわれると、上記の観点からそうとは思わないというスタンスです。

  •    希望制のため、実効性に欠ける
    登録された口座を利用できる場面、すなわち公的給付法上の「公的給付の支給等」に該当する場合は多い。しかし、健康保険の保険料に係る還付金や国税の還付金を受け取る口座全てが登録されるわけではなく、あくまで希望者だけが、口座とマイナンバーとを登録する仕組みである。登録された口座が多数に及ばない可能性も考えられる。口座が登録されていない支給対象者には個別に預貯金口座を確認する必要があり、その数が多ければ、特別定額給付金の時と同様に、給付までに時間を要するものと考えられる。
    もっとも、給付口座とマイナンバーの紐づけと、応能負担は別の話となり、その点に関する丁寧な説明がない状態で、強引に登録口座を増やす政策をとっても、国民の理解は得られないのではないか。
  •    口座情報が最新化されないおそれ
    一度登録した口座であっても、10年、20年と期間を経過するにつれ休眠口座になる可能性もある。また、過去に登録した口座を忘れてしまう国民もいるだろう。
    もっとも、公的給付法にも変更に係る規定自体は存在する。また多数の公金受取に使用される口座となりうるため、失念しにくいとも考えられなくはない。
    しかし、そもそも還付金等の公金受取が発生しない国民もおり、さらには還付金等を受け取る国民であっても、運用上、マイナンバーと紐づく口座は変更せずに、還付金等の受取口座だけを変更できる場合も考えられなくない(国税還付金と公金受取口座を別口座としたいという国民も存在するだろう)ため、口座情報の最新化がなされるかが不明瞭であり、実効性に欠く。
    →民間サービスのように最新化ができる仕掛けが必要
  •     世帯問題
    特別定額給付金の際は、世帯単位での支給が実行されたが、世帯構成も10年、20年と期間を経過すると変更になる可能性がある。例えば、今、親と同一世帯の子が次の給付時には結婚して世帯主となっていたり、別の世帯の世帯員になっていたり、又は夫婦が離婚して世帯が変わった場合に、現在の世帯主の口座のみが登録されていても、迅速な給付には役立たない。
    →世帯単位での支給を再検討 & 今は世帯員の個人にも登録を促す?
  •     国民利便性の観点からも「国民と公的機関との金銭授受の方式の課題」と捉えるべきでは
    公的給付法は上記の通り適用範囲が限定されていて、実効性に疑義が残る。公的給付法よりも、問題を「国民と公的機関との金銭授受の方式の課題」と大きく捉えて、国民が国・自治体に保険料・税金等の金銭を支払ったり、金銭給付を受ける際の口座登録・変更登録に係る実務を全体的に調査し、制度設計を見直すべきである。民間のオンラインショッピングなどでは、簡単に口座登録・追加登録・変更登録ができ、手続にかかるストレスがなく支払等ができるように設計されている。国民と公的機関との金銭授受についても、マイナンバーと紐づくことのできる口座を1つに限定せずに、マイナポータルから簡単に登録・追加・変更ができるようにするなど、国民の利便性向上を第一に制度設計した上で、行政効率化も図れるような検討が必要だと考えられる。国民理解が得られにくいようであれば、マイナンバーと口座は紐づけず、マイナポータルで口座登録手続ができるだけにするなどの施策も考えられる。
    公的機関への支払の際も、納付書(紙)での手続や平日日中に銀行窓口での口座振替手続を要求したり、ゆうちょ銀行からの振替に限定する例もみられるが、国民利便性が考えられていない。滞納が発生すれば、官側の管理・督促等作業も発生し、官民ともに疲弊するだけで意味がない。
    場当たり的な改正ではなく、もっと問題を俯瞰で正確に捉えての、制度改善が必要。
  •     マイナンバーによって支給管理できる範囲が狭い
    公的給付法では、「特定公的給付」に係る支給を実施するための基礎情報をマイナンバーで管理することを認めている(公的給付法10条)が、「特定公的給付」の範囲が狭い。
    特別定額給付金リーマンショック時の定額給付金であれば、公的給付法上の「特定公的給付」に該当する。しかし、これに該当するためには、①個別の法律の規定によらない公的給付であって、②国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある災害や感染症が発生した場合又は経済事情の急激な変動による影響を緩和するために支給されるもので、③内閣総理大臣が指定するものでなければならない。これらの要件は、特別定額給付金を踏まえたものであると考えられるが、これらの要件を満たさなければならないために、個別法に基づく給付の場合は「特定公的給付」に該当しないし、災害・感染症・経済変動以外の事情による給付の場合も「特定公的給付」に該当しなくなってしまう。
    公的給付法がなくとも、現行の番号法のままで又は番号法改正によって、新型コロナウィルス感染症対応時等に給付対象者の情報をマイナンバーで検索・管理することは可能である。給付が「個人番号利用事務」の範囲内であれば、現行の番号法上も適法にマイナンバーで検索・管理できるし、個人番号利用事務に該当していない給付であっても、社会保障・税・災害対策の一環であれば番号法別表第一に追加することで個人番号利用事務とすることができ、それにより番号法上適法にマイナンバーで検索・管理することができる。もっとも、番号法別表第一には法律に基づく事務が列挙されているところ、特別定額給付金は、法律ではなく閣議決定 を受けた施策であるため、番号法別表第一に追加できなかったのではないかともいわれている。公的給付法10条は、このことを受けた規定であると考えられる。
    しかし、公的給付法10条のように、個別の法律の規定によらない公的給付であることを要件とすれば、個別法に基づく給付の場合は、給付が個人番号利用事務の範囲内でなければ、番号法別表第一への追加、すなわち番号法改正が必要となる。その場合、法改正に時間を要して迅速な支援ができない場合も考えられなくはない。また個別法に基づかない給付であったとしても、災害・感染症・経済変動以外の事情による給付の場合は、番号法又は公的給付法を改正しなければ、マイナンバーを利用することができない。
  •     給付以外でもマイナンバーを活用すべき場合はある
    公的給付法ではマイナンバーの利用が給付に限定されているが、給付以外でもマイナンバーを活用すべき場合がありうる。現行の番号法上、マイナンバーは給付に限らない災害対策に利用できることとなってはいるものの、個人番号利用事務として法定されている災害対策事務は多くはない。加えて、「番号法上」はマイナンバーを利用することができても、「実際の実務上」はマイナンバーを利用していない事務が現状でもそれなりにあるとも言われており、実際に災害対策時にマイナンバーを利用して迅速な国民支援ができるかどうかは不明瞭である。

    番号法では、個人番号利用事務等以外におけるマイナンバーの目的外利用等も認めてはいるが、きわめて例外的な場合に限定されている。具体的には、次の場合が認められている。
    ① 金融機関等による激甚災害時等の、あらかじめ締結した契約に基づく金銭の支払を行うために必要な限度でのマイナンバーの利用(番号法9条5項)
    ② 番号法19条13号から17号までのいずれかに該当して特定個人情報の提供を受けた者による、提供を受けた目的を達成するために必要な限度でのマイナンバーの利用(番号法9条6項)
    ③ 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意があり、又は本人の同意を得ることが困難であるときの目的外利用(番号法30条1項で読み替えられて適用される個人情報保護法69条2項1号、番号法30条2項で読み替えられて適用される個人情報保護法18条3項2号、番号法32条を踏まえた個人情報保護条例)

       ①は金融機関などの既存口座からの払い戻し等に限定され、②では個人情報保護委員会規則で定めればその範囲内で利用できるものの、あくまで例外的な位置づけにとどまり、③は緊急時であればこれに該当する場合はあるものの、これも該当する範囲が狭く、かつあくまで例外的な位置づけにとどまる。
        公的給付法10条があったとしても、適用される範囲が狭いうえに、実際に災害等が発生した場合においてマイナンバーを活用して迅速な国民支援ができるような法整備状況や運用となっておらず、感染症以外の、地震・水害・風害等の災害時においても、新型コロナウィルス感染症対応の際にマイナンバーが役立たなかった状態とあまり変わりはない状況にある。そのため、「特定公的給付」に係る支給を実施するための基礎情報をマイナンバーで管理することを認めるのではなく、平時から災害等支援を迅速化するためにはどうしたらよいか、まずは実務運用面での検討を入念に行った上で、番号法自体を改正することが必要だと考えられる。
    具体的には、マイナンバーを目的外利用することのできる、上記①の例外について、災害時に必要な限度でのマイナンバーの利用を認めるように改正すべきだと考える。又は、マイナンバーの悪用防止のために、目的外利用を厳格に限定すべきであって、災害時であっても、どのような手続にマイナンバーを利用するのかを限定列挙する必要があるのであれば、新型コロナウィルス感染症対応など、マイナンバーを利用する必要のある事態が生じた際に、迅速な番号法改正が行えるよう、法改正実務・国会対応等の準備が必要であろう。