ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

次世代医療基盤法の届出が追加になっていた

次世代医療基盤法、大臣認定が第1弾は京大系のグループ(LDI+NTTD)、第2弾は日本医師会系のグループ(J-MIMO+ICI+NSSOL)と出ていましたが、実際に、大臣認定事業者への病院からの医療情報の提供が、なかなか始まっていませんでした。

 

が、今年、2020 年 6 月 10 日(予定)で、病院から大臣認定事業者への提供が始まりました。

その後、久しぶりに内閣府のホームページを見たところ、届出病院が3院追加されていました。今のところは、国立大学法人地方独立行政法人(地方独法)で、全て京大系グループへの提供ですね。

 

2020年度に受け付けた届出書一覧 : 次世代医療基盤法第30条第1・2項に基づく届出 : 日本医療研究開発機構・医療情報基盤担当室 等 - 内閣府

 

医師会系のグループへの提供もそろそろ開始しますかね。まあただ、大臣認定は下りたものの、コロナの時代で、なかなか次世代医療基盤法の運用に手が回らないかもしれません。

 

次世代医療基盤法は、個人情報保護法に比べてもかなり個人情報保護に重点が寄っていて、非常に厳格な仕組みなので、個人情報保護のスキームとしてはかっちり構成されていると思います。

そうはいっても、どういう問題点があるのか、どういうデメリットがあるのかといったことも、追ってブログやPDFに書いていきたいと思います。この辺り、ご興味のある方が多いようなので。はっきりしっかりこういったことも解説することで、次世代医療基盤法のスキームが正しくしっかり理解されていくものと考えています。

そうはいっても、個人情報保護法の匿名加工情報とか学術研究の適用除外と比べて、次世代医療基盤法はかなり個人情報保護に厳しくて、スキームとしての問題はあまりないんですよね。匿名加工がきちんとできるかという問題は残るものの、匿名加工がしっかりされていないと大臣認定が取り消されますからね。そこまでのリスクをしょって、ギリギリの危ない匿名加工をする大臣認定事業者がいるとは、合理的思考的には考えられず…。スキームとしての問題はほぼなくて、問題としては、運用上、きちんとスキーム通り、法律通りの運用ができるかどうかだと思います。

 

今までは法律を私のできる限りでわかりやすく解説しようと思ってここまで来ましたが、私のPDFでも国の説明でも「次世代医療基盤法でこんなことが可能に!」みたいなことしか説明がないと、「そうはいっても問題はあるんじゃないの?危なくないの?」という素直な思いというのが生まれる可能性があるわけで。そういったことも含めてきちんと解説しないと、生じるデメリットとそれへの対策も含めて解説しないと、「あやしいのでは」「うさんくさくないのか」という思いが生まれかねないのかなとも思いました。マイナンバーにしてもそうですよね。

時間のある時に、次世代医療基盤法の問題点等についても、書いていきたいと思います。あとはあれですね、次世代医療基盤法を私がなぜいいと思うのか、好きなところ、期待しているところなんかも書いていきたいです。法律解説だけだと、こういう解説が書けてなくて、そういう問題点とか良いところとかを率直な文章で書いた方が、伝わりやすい部分もあるかなと思っています。