ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

次世代医療基盤法改正

次世代医療基盤法改正について先日ブログに書きましたが、本記事では簡単な概要をまとめます。また、法改正に関する感想も、先日のブログに赤字で追記しました。

 

1.次世代医療基盤法について

次世代医療基盤法は医療ビッグデータ法とも呼ばれておりますが、個人情報保護を徹底しながら医療の発展のための研究開発を促進するための法律です。

個人情報保護法だと、本人同意なく医療情報を病院が研究機関や製薬企業等に提供することが原則できませんが、公益のため、より良い医療の発展のための医療の研究開発のためであれば、次世代医療基盤法の枠組みを使って本人同意なく医療情報を提供することが、現状でも可能です。

次世代医療基盤法に基づき、厳格な基準を満たしていると大臣が認めて大臣認定を取得した事業者のみが、病院等から本人同意なく医療情報を取得することができます(もっとも、本人の権利として、拒否することが認められています)。この大臣認定事業者が厳格な基準に基づき、医療情報を匿名加工して、だれの情報かわからなくなった情報を、医療の研究開発を行う第三者に提供します。

 

2.法改正について

もっとも、現在の次世代医療基盤法には、利活用ニーズを満たせないという課題がありました。
・数が少ない症例を削除しなければならず、医学研究上有用なデータほど得られない
・個別サンプルのデータの真正性を確認したい場合に、カルテに立ち返った検証ができない
・患者個人の状態の時系列変化を追いかけるための継続的なデータ提供ができない
・個別サンプルをさらに発展的に研究したい場合に、カルテ内の他のデータを追加提供できない

※以下の3ページ参照
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/data_rikatsuyou/jisedai_iryokiban_wg/dai5/siryou1.pdf

 

そこで、匿名加工ではなく、もう少し加工基準を緩やかにして利活用ニーズを満たすことのできる「仮名加工医療情報」というジャンルを創設し、これをもとに医療の研究開発を行えるようにするという法改正が検討されています。

もっとも、個人情報保護を担保するため、仮名加工医療情報の提供を受けられる事業者も大臣認定が必要となります。

※法改正概要
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/data_rikatsuyou/jisedai_iryokiban_wg/dai7/siryou1.pdf

 

3.私の感想

本法改正に関する私の感想は、以下のブログに赤字で追記しています。基本的に賛成の立場です。

cyberlawissues.hatenablog.com

 

また、次世代医療基盤法の説明については、以下の資料等をご覧いただければと思います。

水町作成PDF

https://www.miyauchi-law.com/f/170828iryobigdata.pdf

 

水町執筆書籍

www.amazon.co.jp