ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

マイナンバー預貯金口座との紐づけ

www.nikkei.com

 

日経の記事。迅速な現金給付等に向けたマイナンバーについては、過去にブログで書きました。今日は、過去ブログに詳細には書かなかった問題について。

cyberlawissues.hatenablog.com

 

マイナンバーが預貯金口座と紐づいていれば、確かに現金給付が速くなります。

ただ、その場合でも、以下の問題は残ります。

  • 預貯金口座を複数持つ人が多いように思いますが、複数口座のうちどこに支払うか。
    →メイン口座を個人が事前に届け出るようにするのか
    →事後届け出・変更可能とするか(この期間を1-2週間ぐらいにしないと迅速給付が難しい?)
    →残高が多い口座にするか(全銀協さん、銀行さん又は国で残高を比較しなければならず、プライバシー権侵害の問題も起こり得る)
    銀行コード・支店コードなどから一律に優先口座を決めてしまうか(乱暴すぎと批判が出そうである)
  • 預貯金口座を持たない人への対応
    →現金給付又は事後届け出を可能とするか
  • 預貯金口座と紐づけを大々的に始めるのであれば、今後は、マイナポータル等に、Yahoo!ウォレットみたいな機能を持たせて、国・自治体からのお金の受取口座、支払口座の登録ができるようにすると良い。滞納防止・住民側の手間削減・官公庁の工数・印刷費削減・キャッシュレス対応のためにも、税金等の納付書払いや口座振替依頼の際に銀行に行かないといけないような運用も極力やめた方が良いのではないか。

 

あと、住民票住所地の変更で、市町村役場が混んでいるという記事も見かけた。こういうのもやっぱりマイナポータルからできるようにすべき。あとは、住民票の電子化とか戸籍の電子化もやれると良い(電子管理の話ではなく、マイナポータルで認証すれば住民票や戸籍不要とできるとか、改ざん防止措置が可能なら住民が電子データで住民票をダウンロードできるとか電子データで住民票を提出先に送れるとか)。

マイナポータルで4情報持った方が良いと思う。

マイナポータルの機能拡張するにしても、ユースケースをちゃんと考えて、行政手続や本人確認で市民側や役所・企業側に負荷がかかっているところや現状の課題をきちんと挙げていって、それを解決するためにマイナポータルやマイナンバーでどういうことができるか、それを実現するための課題・コスト等もちゃんと検討していった方が良い。現状のマイナポータルだって運用費かかっているんだろうし、運用費に見合う効果を出していけると良い。

headlines.yahoo.co.jp