ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

マイナンバーがコロナ対策としてできること(ラフイメージ)

マイナンバーを活用することで、どういうコロナ対策ができるかについて考えたいと思っていますが、あまり良い案が思いつきません。とりあえず考えたことを備忘的に書いておきます。

※今後も更新する可能性があります。

 

今思いつく活用案は以下の2個ですが、どれもピリッとした解決にはなっていません。

1.国民への迅速な金銭給付

→とりあえず制限なしに一律給付し、一年後などに問題ない人については返金してもらうとした場合、返金処理等にはマイナンバーは有用。一律給付の際のマイナンバーの価値は限定的(現状ではあまり価値がない)。

2.必要物資(マスク/消毒液/ペーパー等)の公平な分配

マイナンバーカードによって一人〇個までの購入制限をしたり、必要物資の売買にはマイナンバーの提示義務付けをすることで、公平な分配に役立ち得る。但し、前者の購入制限では、マイナンバーカードの取得が条件になるため、コロナ感染を防止しながらマイナンバーカードを国民に交付するという処理をどうすればよいかは困難な課題として残る。後者の提示義務については、通知カードや住民票の写しでも大丈夫なので、マイナンバーカードの普及率が現状のままでも可能。

 

 

1.国民への迅速な金銭給付

(1)一律給付

給与が減らないのであればこれまで通りの生活ができるが、解雇されたり、給与が減ったり、日雇い/自営等でそもそも売り上げが立たない場合には、出費(自宅家賃、事業所家賃、人件費、仕入れ代、返済等)があるのに入金がなくて、生活が成り立たない可能性がある。

会社として考えてみても、売り上げが大幅に減少すると、やはり出費がまかなえず、家賃の不払いや従業員の雇用を守れなくなってしまう。

大家さんを考えてみると、資産がある人なら家賃未払いでもいいかもしれないが、借り入れで大家業をやっている人もいるので、家賃が入ってこないのに返済をしないといけなくなると、こちらも生活が困窮する可能性がある。

だから、 国が国民の生活を支えるために金銭給付するという話になる。その際、支給対象者を限定していると、生活が成り立たない人に迅速に支援がいきわたらずに、生活困窮者が多数発生する恐れがある。

なので、とりあえず一律で金銭給付をして、1年後などに1年間の収入を見て問題なさそうな人には返金してもらう方式も考えられる。

その場合に、マイナンバーを活用することができる。

 

(2)金銭給付の際のマイナンバー活用

まず、一律金銭給付の点。

  • 預貯金付番の活用

これ、マイナンバーと預金口座が紐づいていれば(=預貯金付番が完全にできていれば)、紐づいているうちの1つの口座に振り込んでしまえば、迅速に給付ができる(ただ、口座を1つも持っていない方というのも存在するので、その対応をどうするかという問題がある)。

また、マイナンバーカードでポイント還元の件が普及・実施されていれば、マイナンバーカードと支払手段が紐づいているので、その方法で金銭給付できる可能性がある(支払手段がクレジットカードや交通系ICカードの場合、そこに国が入金できるかという問題は別途あるが)。

 

しかし、上記の状態は現在実現されていない。ではどうすればよいか。

 

  • 公的機関が持つ口座情報の活用

今の現状で考えると、自治体や税務署、年金機構は、一定程度、住民の口座情報を保有している。税の還付や年金給付、税や保険料の口座振替などのために、口座情報を持っているはず。ただこれがどの程度の網羅性かは疑問である。納付書払いの人もいるので。

自治体や税務署、年金機構といった公的機関が保有している口座情報に、とりあえず振り込んでしまい、口座情報を持っていない人については、お手紙を送って振込先を教えてもらうという方法も考えられなくはない。ただその場合、その振り分け作業に時間と労力がかかる。さらには、公的機関が把握している口座には振り込んで欲しくない(=メインバンクが別等)という要望に応じていると、さらに作業に時間と労力がかかり、給付に時間を要する。ので、たぶんこの方法はバツ

ちなみに定額給付金の際は、全員に支払情報を申請してもらったようだ。

https://www.soumu.go.jp/teigakukyufu/13815.html

 

  • 現金書留

一番簡便な給付方法は、現金書留だろうか。住民票住所地に現金書留で送ってしまう。ただ、住民票住所地に居住していない人、住民票がない人の問題は残るし、あとは郵便局が全世帯に現金書留を送ることができるのかという大きな問題がある(現金書留だとただのポスト投函より手間がかかり、再配達的なことを考えると、かなりの負荷では?)。

 

  • 住民票住所地への給付引換券

住民票住所地に給付引換券を送って、その券をもって市役所などに来てもらって給付するという方法もなくはないが、いくら予約制や日時制を採用しても、大混雑になりそうで、感染リスクを考えると難しいだろう。

 

  • マイナポータルの活用

住民票住所地にお手紙を送って振込先を教えてもらうのではなく、マイナポータルで振込先を教えてもらうという方法もある。本来、マイナポータルは国と国民の接点となるもので、電子私書箱なんだから、国からのお便りはマイナポータルを経由すればよいという考え方。

ただ、マイナポータルにログインする際にはマイナンバーカードが必要。マイナンバーカードを持っていない人はマイナポータルにログインできない。今からマイナンバーカードを取得するには、一定期間がかかる。さらにマイナンバーカードの取得には、1度は市役所に来庁しないといけないので、いくら予約制や日時制を採用しても、大混雑になりそうで、感染リスクを考えると難しいだろう。とはいえ来庁しないで取得できるとすると、公的機関の発行する身分証明書になるものなので、なりすまして別人の身分証明書を取得されてしまうと、さまざまな悪用が可能になってしまう(別人に成りすました携帯口座開設、銀行口座開設、クレジットカード取得等)ので、不可能。来庁しないで、例えば本人限定郵便等によるマイナンバーカードの送付もあり得るかもしれないが、郵便局がこれに対応できる人員・体力があるのかどうかは疑問だし、郵便局の方の感染リスクも考えられるので、難しいのではないか。

また、マイナポータル経由で100%振込先を教えてもらえるわけではなくて、マイナンバーカードをたとえ100%の人が持っていたとしても、マイナポータルで振込先を登録できない又はしない人もいて、その人たちには別途おてがみを郵送するなどの処理が必要になるとすると、その作業に人手とコストと時間がかかる。

平常時であれば、マイナポータル経由か市役所来庁にしてもらって、マイナポータルで申請すれば市役所に来ないでも簡単に手続できますよ、マイナポータルが使えない場合は別途市役所に来てねとすればよいようにも思うが、それも今は感染リスクを考えるとできないだろう。

 

 

ということで、金銭給付にマイナンバーが効果を発揮できる方法は、現状だと私のレベルではちょっと思いつかない。預貯金付番やポイント還元の決済手段の登録ができていればよかったが、なかなか難しそう。

 

(3)1年後の返金

国税/地方税を納めている人については、今年分の税金徴収時(=来年)に、合わせて返金もしてもらう方法が考えられる(一括返金ができるかという問題は別途ある)。

税金は所得に基づいて課されるので、今年の所得を確定する際に、昨年の所得からの変動状況がみられる。これが例えば2~3割減ぐらいであれば、返金してもらうのかどうか、これは政治の方で基準を決めてもらって、返金対象であれば、税額+返金額を徴収する。一括返金できない場合は、既存の猶予制度などを使うのだろうか?よくわからないので、調査要ではある。

 

住民税非課税世帯については、返金をどうするかという問題はある。税金徴収がそもそもないので。ただこれも政治の方で基準を決めてもらって、返金しないでよいとするのであれば、返金なし。返金してもらうというのであれば、住民票住所地にお手紙を出して、納付書払いで返金してもらうということになろうか。

 

マイナンバーは納税者番号であり住民番号であるので、マイナンバーは活用できる(マイナンバーがなくても税務署用の整理番号と、住民票コードがあれば、実現できるが、住民票コードだと住基法上の制約があり、これって使える範囲かどうか不明なので、マイナンバー法上適法に利用できるマイナンバーを使う)。

 

2.必要物資(マスク/消毒液/ペーパー等)の公平な分配

(1)前振り

 健康で文化的な生活をするための生活必需品等を、だれかが不当に買い占めていたり、転売していたりすると、多くの人にいきわたらなくなってしまう。公平に配分するために、国が登場する必要があるのではないか。それか生産増強・物流増強・小売支援策を国がやるべきではないか。

 

マイナンバーが役にたつとしたら、前にブログに書いたけれども、購入時のマイナンバーカードの提示、出品時のマイナンバー提示の義務付け等だろうか。

あとは、マスクとか消毒とかペーパーとか、バーコード又はRFIDとかで個別管理できるのでは?そうすると生産からどういうルートを通ってどこにわたってどこがボトルネックか調査できるのではないか。RFIDをつけなくても、ヒアリング調査で調査できる気はするが、必要ならRFIDやバーコードの活用もあり得るのでは?

 

(2)購入時のマイナンバーカードの提示

指定商品を購入する際は必ずマイナンバーカードの提示を義務付ける。そうすると、誰が何をいくつ買っているか把握できて、例えば、月3個以上トイレットペーパーを買っていたら、「ピピー」ってなって購入処理ができないといった仕組みもできる。

その際さらに利点があって、人ごとに制限個数を変動させることが、マイナンバーによって可能。例えば、お子さんが多い世帯、難病の方、基礎疾患のある方、高齢者の方などは、制限個数を増やすなどの、一人一人の状況に即した制限個数の変動対応が可能になる。

ただ、問題があって、カード読み取り機を、購入場所全てに設置しなければならない。大型店ならともかく小さいお店やネットショッピングする際の個人の自宅などにもカード読み取り機が必要になってしまう。

もし本当にそうするのであれば、カード読み取り機の需要が増えて、読み取り機を購入できないという事態も考えられなくはない。あとは、カード読み取り機がどうしても難しい場合は、マイナンバーカードの券面とご本人の顔を写真に撮ってUPするシステムを作って、それで対応するという方法もあり得るか。

ただ、マイナンバーカードを今持っていない人については早急に交付できるようにしなければならないけど、上に書いたように、交付の際の感染リスク・不正防止をどう両立させるかという問題がある。

あと、マイナンバーカードの電子証明書のシリアル番号とトイレットペーパーなどの指定商品の購入個数を紐づけるシステム開発が必要だけれども、これはもう急いでやればできなくはないだろう。前にブログで難しいかもと書いたけど、コロナ対策が、1ヶ月とかの短期戦ではなく長期戦になりそうなので、それだったら急いで作れば、できるだろうと思う。

あと、マイナンバーカードで購入制限をかけると販売店舗にクレームが殺到して、店員さんへの人権侵害の恐れがあると思う。これはもう国のシステムでそうなっているとして、あとは国のコールセンターに電話してもらうぐらいしか対応方法はないのか。

 

(3)出品時のマイナンバー提示

 これは前に書いたブログと同様。

cyberlawissues.hatenablog.com