ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

予定表や口座登録票の作成

仕事があふれかえっているという話をブログに書きましたが、はっきりいって、私ってあまりに仕事の仕方が原始的でバカっぽいんですよね。

なんか、国や自治体の会議の日程調整とか、Excelに〇×書いてメールで送ってくださいとか、いっぱい来るじゃないですか。あと、自治体が謝金を支払うための口座登録票?債権者登録票?記入して送ってくださいとか。

あれ、人にやってもらってもいいんですけど、自分の予定って自分じゃないとうまくわかってなかったり、この日は実は×じゃなくて△とか、予定表では12時終わりになっているけど、大体11時ごろ終わるとか、そういうのがあるから、しかも予定表作成なんてちょっとの時間で終わるし、とか思って、今まで、自分でやってたんですね。

しかし、最初の共有設定とかが面倒くさいものの、予定をスタッフの人も見られるようにして、私以外もわかるように入力し直して、で、その予定を見て予定表作成してメールしてくださいってスタッフさんに頼んだら、ものすごく気分が楽になりました。

いつも、「あー、あの予定表、記載して返信するの忘れてた」とか「なんでこのExcelこんなに面倒くさい作りになってるんだ」とか思って、「あー、ほかの仕事が間に合わない」とか焦っていたので、本当に心が軽くなりました。

あとあれですね、独立する前、勤務のころは、税務処理を自分でやっていたんですね。記帳って本当に難しいし面倒臭いですよね。これを税理士さんに頼んだときの解放感といったら、たまらなかったです。税務処理は自分でやらない方が絶対にいいです。心が楽になります。「確定申告に間に合わなかったらどうしよう」「あー、この処理どうやればいいんだろう」とかそういう不安から解放されるので。

ただね、内閣官房にいたときは、開業届けの書き方とかわからなくて、国税庁から出向している人に、「この紙のここには何を書けばよいのか」とか聞きながら書いたので、あれは役得でした^^

というように、人に頼めるものはどんどん人にお願いした方がよいですね。

 

ただ、思うのは、本当にExcelで作って無駄っていうExcel表ありますよね。この前、マイナンバーとか郵便番号を1桁につき1セル使っているExcelがあって、入力するのにかなりのストレスでした。セルを移らないと入力できないんですよ。あとマイナンバーを自分で記載した上で、マイナンバーカードのコピーを切り取って貼り付けろっていう紙。あれ最悪ですね。転記がもし間違っていたら意味ないし、マイナンバーカードのコピーをA4でそのまま出せばいいじゃないですか。

あと役所の会議の日程調整のExcel、あれ、入力する方も手間だし、もらう役所側も、あれを人数分見て日程決めるの大変だから、調整くんみたいなのを使った方がよいですよね。調整くんだと、他人の予定も全共有になっちゃうんですかね?それ以外の設定もできるんですかね?他の委員の予定は事務局しか見られないような、そういう予定調整ツールもおそらくあるだろうし、なかったとしても、開発安いですよね。政府共通で作ったとしても、かなり安い値段で作れるだろうし、それと会議室予約の仕組みを連動させれば、事務局のロジ業務かなり改善しますよね。まあ民間委託すれば、民間でやってくれるわけですけど、民間委託するか、そういうツール入れるかした方がよいですよね。厚労省の若手で、悲痛な叫びが公開されてましたけど、便利なツールはじゃんじゃん使っていった方が良いですよね。幹部の予定をわざわざ聞きに行かないといけないとかって書いてありましたけど、スケジューラーで、権限設定をちゃんとやればいいと思いますよね、ほんと。

医療情報は非識別加工情報にはできないのか

医療情報は、プライバシー性の高い情報といえます。しかし、医療情報を活用することで、今は治療が困難な病気も治療成果が上がったり、特効薬が開発されたり、人のQOLが改善されたりする可能性があります。また医療情報の活用は、一企業のビジネス上の利益のためというより、一人の人の利益のためというより、公益(みんなのため)に資する場合があります。

これらのことから、医療情報の保護と活用の両立が望まれるところです。

では、どのように保護と活用を両立すればよいでしょうか。その一つの解が、誰の情報かわからなく加工することです。

 

誰の情報かわからなく加工した情報は、個人情報保護法では「匿名加工情報」、独立行政法人個人情報保護法や個人情報保護条例では「非識別加工情報」と呼ばれます。

 

個人情報保護法に基づく「匿名加工情報」の場合、医療情報も対象です。なぜなら医療情報は要配慮個人情報ではありますが、要配慮個人情報も匿名加工情報とすることができるからです。

 

これに対し、独立行政法人個人情報保護法や個人情報保護条例に基づく「非識別加工情報」の場合は、グレーゾーンが残ります。というか、非識別加工情報にできない医療情報とできる医療情報とに分かれてしまい、かつ非識別加工情報にできない医療情報の方が多いんじゃないかなと私の感触としては思います。

 

というのも、非識別加工情報も別に医療情報は絶対ダメというわけじゃないのですが、非識別加工情報になるためには条件があるのです。

独立行政法人個人情報保護法でいうと2条9項2号がありまして、人に見せられるような情報じゃないと、非識別加工情報にはできないよという条件があります。

 

より詳しくいうと、「その情報を見せてくれ」と他人から要求された時に一部でも出せるかどうかによります。情報公開請求された時に、全部開示か一部開示、又は意見書提出機会の付与にならなければならないということです。

つまり、存否応答拒否の情報については、独立行政法人個人情報保護法2条9項2号の要件を満たさずに、非識別加工情報とはできません。

 

存否応答拒否とは、「その情報を見せて」といわれた時に、「あるともないとも答えられない情報」をいいます。例えば、国立病院に「水町雅子のカルテを見せて」と他人が言ってきたとして、その時国立病院が「いや、ありますけどね、あなたご本人じゃないから見せられませんよ」と言ってしまうと、「ああ、水町雅子はこの国立病院に通院か入院したことがあるんだ」ということが分かってしまいます。ですので、こういう場合は、国立病院は存否応答拒否をして、「カルテがあるともないともいえません」という回答をします。

なぜ、他人が他人の個人情報を見せろと言う権利があるかというと、これは開かれた行政、行政の説明責任等の観点からであって、例えば知事の公用車の移動履歴、知事の交際費なんかは、知事本人以外も見ることができます。知事の個人情報ではあります(公開すべき情報であって秘匿性のない情報も、個人情報に当たります)。

これに対し、私のカルテや、知事であってもカルテなんかは、開かれた行政のためとはいえ、他人に見せるべきものではありません。その時は、法律上、存否応答拒否をすることになっていて、「あるともないともいえません」になるわけです。

 

そして、この「あるともないともいえません」情報については、独立行政法人個人情報保護法2条9項2号を満たさないため、非識別加工情報にできません。

しかしこれはすごく変です。前にブログで書きましたので、今日は省きますが、

非識別加工情報について立法措置を検討中と聞いていますが、自治体に非識別加工情報を展開する際は、独立行政法人個人情報保護法2条9項2号のようなものは、非識別加工情報の条件から落とした方が適切だと考えます。この件に関して過去に書いたブログはこちら↓

cyberlawissues.hatenablog.com

 

で、話を戻すと、医療情報は存否応答拒否になるものも多いのではないかと思うので、そうすると非識別加工情報にはできない場合が多いと思うのです。ただ、医療情報であっても存否応答拒否にならないものもおそらくあると思うんですよね。だから医療情報=非識別加工情報にできないというわけじゃないけれども、できない場合が多いんじゃないかと思います。

 

ただ、この点、次世代医療基盤法を使えば、匿名加工医療情報にできますので、国立病院や公立病院の医療情報は、非識別加工情報ではなく次世代医療基盤法による匿名加工医療情報にして活用するということになろうかと。

 

問題は、医療情報には当たらない健康情報ですよね。ヘルスケア的なものについては、医療情報に当たらない可能性があります。

この点、個人情報保護法では要配慮個人情報に当たらないというだけなので、別に、匿名加工情報にもできるし、オプトアウトも共同利用もできます。次世代医療基盤法上の医療情報に当たらなかったとしても、オプトアウトや匿名加工情報のスキームで、大臣認定事業者に合わせて処理してもらうことも可能なのではないでしょうか。

これに対し、独立行政法人個人情報保護法や個人情報保護条例の場合、オプトアウトがないので、医療情報に当たらない健康情報を収集したいとなったときに、どうするのか。研究目的での目的外提供でいくか、非識別加工情報でいくか。しかし健康情報とはいえ存否応答拒否の場合もあり得るとすると、非識別加工情報にはできない場合もあり。純粋な研究だけの目的じゃない場合(研究と同時にか別個に治療に役立つ医療機器開発をする場合等)に、どうすればいいのか、審議会を通せばいいという条例ならいいですけど、それ以外ならどうするのか。

民間と国立、公立で、こういう非対称性があるというのは、おかしいと思います。しかも国立病院、公立病院、国保、後記高齢といった、公的組織の方が、より公益に役立つ研究とかをすべきであり、法制として無理がある気がします。

 

9 この法律において「独立行政法人等非識別加工情報」とは、次の各号のいずれにも該当する個人情報ファイルを構成する保有個人情報(他の情報と照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを除く。)を除く。以下この項において同じ。)の全部又は一部(これらの一部に独立行政法人等情報公開法第五条に規定する不開示情報(同条第一号に掲げる情報を除く。以下この項において同じ。)が含まれているときは、当該不開示情報に該当する部分を除く。)を加工して得られる非識別加工情報をいう。
一 第十一条第二項各号のいずれかに該当するもの又は同条第三項の規定により同条第一項に規定する個人情報ファイル簿に掲載しないこととされるものでないこと。
二 独立行政法人等情報公開法第二条第一項に規定する独立行政法人等に対し、当該個人情報ファイルを構成する保有個人情報が記録されている法人文書独立行政法人等情報公開法第三条の規定による開示の請求があったとしたならば、当該独立行政法人等が次のいずれかを行うこととなるものであること。
イ 当該法人文書に記録されている保有個人情報の全部又は一部を開示する旨の決定をすること。
ロ 独立行政法人等情報公開法第十四条第一項又は第二項の規定により意見書の提出の機会を与えること。
三 独立行政法人等の事務及び事業の適正かつ円滑な運営に支障のない範囲内で、第四十四条の十第一項の基準に従い、当該個人情報ファイルを構成する保有個人情報を加工して非識別加工情報を作成することができるものであること。
 
独立行政法人等情報公開法14条
(第三者に対する意見書提出の機会の付与等)
第十四条 開示請求に係る法人文書に国、独立行政法人等、地方公共団体地方独立行政法人及び開示請求者以外の者(以下この条、第十九条第二項及び第二十条において「第三者」という。)に関する情報が記録されているときは、独立行政法人等は、開示決定等をするに当たって、当該情報に係る第三者に対し、開示請求に係る法人文書の表示その他政令で定める事項を通知して、意見書を提出する機会を与えることができる。
2 独立行政法人等は、次の各号のいずれかに該当するときは、開示決定に先立ち、当該第三者に対し、開示請求に係る法人文書の表示その他政令で定める事項を書面により通知して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、当該第三者の所在が判明しない場合は、この限りでない。
一 三者に関する情報が記録されている法人文書を開示しようとする場合であって、当該情報が第五条第一号ロ又は同条第二号ただし書に規定する情報に該当すると認められるとき。
二 三者に関する情報が記録されている法人文書を第七条の規定により開示しようとするとき。
3 独立行政法人等は、前二項の規定により意見書の提出の機会を与えられた第三者が当該法人文書の開示に反対の意思を表示した意見書を提出した場合において、開示決定をするときは、開示決定の日と開示を実施する日との間に少なくとも二週間を置かなければならない。この場合において、独立行政法人等は、開示決定後直ちに、当該意見書(第十九条において「反対意見書」という。)を提出した第三者に対し、開示決定をした旨及びその理由並びに開示を実施する日を書面により通知しなければならない。

 

 

ちなみに、今、医療情報関連の書籍のゲラをチェックしていて、この問題を記述していて、それでブログにも書いてみました。しかし今週末、すさまじい台風が来るようで。今日、ゲラを宅配便で出版社に送るとすると、台風でゲラが紛失するのではないかという恐怖もあり。今日ゲラチェックが終わったとしても、2階以上の場所で持っておいて、台風通過後に宅配便に出した方が良いような気がしてきました。

ピューロランド館のレストラン

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f:id:cyberlawissues:20191010152407j:plainピューロランドの館のレストランの改装後、初めて行きました。

館のレストランといえば、改装前は、古くて暗くて、柱のせいでキティちゃんが良く見えないし、ごはんもおいしくないのに料金が高いイメージでしたが、抜群に良くなっていました。

あまりのすてきな空間ぶりに、この世に存在する空間とは思えないぐらい!というのは大げさかもしれませんが、初めての体験でした。

というのも、キャラクターとの距離が近すぎる!!! グリーティングのときとはわけが違います。間近にきて、いろいろとアクションとってくれたり、お話ししてくれるわけです。グリーティングと何が違うのか自分でもよくわかりませんが、自分のテーブルにわざわざキャラクターがやってきてくれて、お話ししてくれる、近づいてくれる、この感動! あまりの感動にびっくりしました。かわいすぎでした。

もう、キャラクターが入ってきたときから、目で追っていて、食事どころではありません。が、お食事もとてもおいしかったです。ワールドレインボーよりもおいしいです。ふつうにおいしいし、いろんな種類があります。

そんなに混んでもなく、さっと入れました(ただ、その日は、イベントが何もない日で、ピューロ自体が空いていたので、混雑日に館のレストランも空いているかはわかりません)。席数がものすごく多いので、おそらくそこまでひどく混雑はしないのではないかとも思います。

レストランに飾ってある絵とか、天井とかもかわいすぎて、ちょっとびっくりのレベルでした。何より、キャラクターがかわいい。衣装も似合っているし、かっこいい。回ってきてくれたのがダニエルくんでしたが、あまりにかっこいいのでびっくりしてしまいました。ダニエルくんといえば、愛するキティちゃんの恋人ということで、変な話、ライバル視してしまうというか、嫉妬の対象なのですが(笑)、ダニエル君自体がかっこよくて、本当にすてきでした。

 

ただね、お値段は高いですね。

京王プラザの樹林のブッフェは、土日祝でも2650円なのに、

館のレストランは2800円なのですね。

さすがにホテルと比べると、ホテルは味が繊細だし、メニューも凝っています。ただ、ここは館のレストランの圧勝ですね。なぜなら、キャラクターがやってくるからです!テーブルにサンリオキャラがやってきてくれる唯一無二のレストランではないでしょうか。

平日だと京王プラザは2150円ですからね。平日なら京王プラザに行く方が、コスパ的には圧勝かもしれませんね。しかし、平日なら、キャラクターフードコートも空いていそうだし、キャラクターと触れ合えることを考えるなら、やはり館のレストランかと。館のレストラン、改装後は本当にすごいレストランになっていました。

 

ただ、キティちゃんには会えなかったんですよね。写真で見ると、ワンピースが茶色で地味じゃないでしょうかね、それが心配です。衣装もかわいいといいのですが。

 

なお、写真1枚目は館のレストランと無関係で、レディキティハウスにあった45周年のオブジェです。2枚目は館のレストランの時計です。かわいいです。

東京消防庁オープンデータ検討会委員

東京消防庁「日常生活事故データのオープンデータ化検証事業」検討会委員の委嘱を受けました。この事業は、自治体にとっても、また民間企業にとっても非常に先進的な取組みであり、消費者の生活向上にとても役立つものであって、かつ個人情報保護の観点が非常に重要になってくる事業と認識しています。

成果がオープンにできるタイミングが来ましたら、本件について、私からも積極的に情報発信を行っていき、パワポ資料への掲載、論文執筆等をしたいと思っているところです。

最近の状況

どうでもいい雑記です。

毎回同じことを書いている気がしますが、先週まで、本当に鬼のように仕事があって、やってもやっても終わらない。一生仕事が終わらないんじゃないかと感じたぐらいでした。

ですが、やはり「夜明け前が一番暗い」ようで、「もうこれは全く終わらないんじゃないか」と思ったら、もう峠は超えていたようで、今週は比較的ひどい状況にならないのではないかと思ってます。

司法試験の勉強しているときにも、「これは終わらないのではないか」と思うと、まあ終わるし、論文書いているときも、「これは終わらないのではないか」と思うと、そろそろ終わり、と。夜明け前は本当に暗いです。それが過ぎれば、もう収束ではあるんですが、しかしつらい。

 

なぜこんなにバタバタしているのか、ちゃんと考えないと、いつまでも毎日、仕事が大量にある生活になってしまうので、考えようと思いつつ、そこまで手が回らず、とりあえず、今やらなければいけない仕事をやっていく日々なので、もう少しどうにかしたいなあと思っているところです。〆切の自転車操業状態ですね。日々、一番近い〆切を考えて生活し、それが終わったら、また次の〆切が来て、それを延々と続けるという日々。

 

おととしぐらいまでは、執筆と講演が多すぎて、それで日々アタフタしていて、それを発見してから、執筆・講演とも、依頼された分をすべて受けるのはやめて、ちゃんと量と社会的意義を考えてから、受けることにしました。とはいえ、執筆は大好きなので、無理のない範囲でやっていきたいと思ってます。が、無理のない範囲というのが正直厳しい。

 

そして、去年ぐらいからは、会議と打合せが多いような気がします。会議・打合せがいっぱい入っていると作業量が減るのに、仕事でやらなければいけない作業がいっぱいあったり、〆切がいっぱいあったりすると、本当にアタフタします。先週は特に泊りの出張があったために、出張前に仕事を終わらせようと思って焦ったものの、突発的なご相談等もあり、出張先から電話したり、新幹線でゲラをチェックしたりしたら文字に酔い、出張から帰ってきたら帰ってきたで残っている仕事を猛スピードでこなし、結構悲惨な感じではありました。本当に出張はできる限り減らさないと、仕事があふれかえるという状況になりかねないなと強く思いました。来週も出張入っていますが、これはまあ日帰りなんで、なんとかなるかな、と。

 

でも考えてみると、私、そこまで会議、引き受けていないんですよね。大学の先生で、有識者会議を40個やっていらっしゃる先生とかいらっしゃいますけど、すごいなと思います。あと、座長とかは休めないから大変ですよね。座長を10個20個やったら、スケジュール持ちませんよね。

役所にいたときとか、西村に勤めていたときとか、会議とか打合せがほとんどなかったような記憶があるんですが、やっぱり自営業になると、外部会議とか、事務所に来ていただいての打合せ・ご相談がすごく多いですよね。そうなると日中、全部それで時間が過ぎて、作業できない、みたいな。

 

人に作業を手伝ってもらうにしても、私、こだわりが強い性格で、自分で見たいタイプなんですよね。あと、不真面目な人が大嫌いなんで、不真面目な人に手伝ってもらうと、本当に嫌なんですよね。ほかの弁護士に頼むにしても、何をどう頼むか考えるのが面倒くさくて。切り分けられる仕事ならいいんですけどね。イソ弁とかアソ雇っている弁護士って、基本、チェックをするって感じでしょうけど、私、チェックをするというよりは、自分でやりたい派なんですよね。自分でやらないでもいい作業を、お願いすればいいんですかね。あと、1,2年の間ぐらいに、この辺りの、ほかの人に依頼する仕事と自分でやる仕事の切り分けをすっきりしたいなとは思っているんですが、なかなか難しいところです。役所の優秀な係長みたいな人に、手伝ってもらいたい気分です(笑)。そうすると、イソ弁っていうよりは、パラリーガルなんでしょうかね。それか、コンサルタントみたいな人に仕事を頼もうかなとも思う次第です。法的なことは私がやって、それ以外をメインにやってもらう、的な人に入ってもらおうかなとも思います。でも、名ばかりコンサルも大嫌いなんですよね。知識ないのに口と態度だけ偉そうなコンサルって本当に嫌です。法廷とか、あとは個人の法律相談がいっぱいあるなら、イソ弁とかアソシエイトをお願いするといいんでしょうけど、そういう仕事じゃないんで、どういう人に依頼すればいいのかな、とか思います。

 

色々考えると面倒くさいので、週次ぐらいで、先週の状況を毎週振り返って、これが忙しかった、こういうのを人に頼めると良いとか、こういうのはかなり時間がかかるとかをまとめていくっていうのを、3カ月ぐらいやれば、いいかな、と。

 

今、都で政策評価の会議に出させていただいているんですが、都の職員さんが、年間の自分の仕事とか、担当課とかの仕事を振り返るのに良い指標は何か、とか、そういうお話をさせていただいていますが、それこそ自分自身はどうなんだ!と思いました。

仕事の一覧表みたいなのは作っているので、年次で振り返るとかはしていますが、年次だと、記憶が薄れちゃうんですよね。大きな意味の振り返りはできますけど、どう効率化するかとか、何を誰に頼むかとかは、年次だと忘れちゃうんで、週次とか月次とかで考えていくのもいいかなと思いました。

あとは、中長期計画じゃないですけど、「〇才の時はこうなりたい」みたいなのも考えてますが、これも結構良いな、と。今の年齢ぐらいまでに「この分野ならこの人って思われるぐらいの人間になりたい」と思ってましたが、そこまで行けたかはわかりませんが、結構専門性は身に付けられたので、もうちょっと先の目標みたいなのも考えていきたいなと思ってます。

 

  • 週次で、日々の仕事状況や今後の仕事の見通しを考える。
  • 月次で、新規にご相談を受けられるかどうか等の仕事の空き状況、見通しを考える。
  • ※仕事状況の見通しは週次か月次か、どの単位が適当か追ってちゃんと考える。
  • 年次で、一年間の仕事を振り返る。
  • 5年ごとぐらいで、大きな目標を立てる。

こんな感じでしょうか。

医療データの提供等の際の問題点(大学に民間企業が提供する場合を想定して)

今、医療データの提供・解析時の個人情報保護の留意点という講演資料を作成していますが、検討過程で、医療データの提供に伴う、個人情報保護法制上の問題点に出くわしましたので、ブログに備忘的に書いておきたいと思います。

 

 

 

1.大学と企業が共同研究する際に、私立大と共同研究した方が企業にとっては、コンプライアンス上有利な場合がある

 

個人情報保護法制が適用除外となるか

私立大と共同で学術研究する企業は、個人情報保護法の義務の適用除外となります(委員愛Q&A Q8-4)。

一方で、国立大や公立大と共同で学術研究する企業は、個人情報保護法の義務の適用除外となるかは定かではありません。

というのも、個人情報保護法は、大学その他が学術研究をする際は、学問の自由に配慮し、同法の適用除外とすることを定めています。これに伴い、私立大学と共同研究する民間企業も同様に、学術研究の範囲内ならば、個人情報保護法の適用除外となれるのです。もっとも、人を対象とする医学系研究に関する倫理指針等に従う必要があります。

 

これに対し、国立大学は、そもそも個人情報保護法の適用ではなく、独立行政法人個人情報保護法の適用です。独立行政法人個人情報保護法では、学術研究であっても、一切の義務が適用除外となるようにはなっていません。

また、公立大学個人情報保護法の適用ではなく、各個人情報保護条例の適用です。個人情報保護条例も、学術研究であっても、一切の義務が適用除外となるようにはなっていません。

なお、独立行政法人個人情報保護法では、学問の自由との調整規定自体はありますが、非識別加工情報に関してとなっています(同48条の8)。

 

そして、国立大学や公立大学とともに共同研究する民間企業、これに対しては、原則個人情報保護法の適用です(委託等の場合、独立行政法人個人情報保護法や個人情報保護条例の適用となる)。

民間企業側は、私立大学との共同研究であれば、個人情報保護法の適用除外であるため、要配慮個人情報であってもオプトアウトによる大学への提供等が可能です(個人情報保護法では要配慮はオプトアウトによる第三者提供不可だが、個人情報保護法が適用されず、また倫理指針上はオプトアウトが可能)。

これに対して、国立や公立との共同研究であると、その民間企業自体が個人情報保護法の適用除外であるかは判然としません。共同研究が個人情報保護法の適用除外である旨を解説している個人情報保護委員会のQ&Aでも、これらの問題については特に触れていません。

法解釈としては、国立や公立との共同研究をする民間企業についても、個人情報保護法の適用除外とした方が望ましいでしょう(なぜならば、私立大と差を設ける必要性がないので)。しかし、政府の公的見解として、このような法解釈はとられていないとも言えます。

 

〇課題・問題

そうすると、もし国立大学や公立大学との共同研究者である民間企業側に個人情報保護法が適用されるとすると、民間企業にしてみると、医療情報を提供するに際し、個人情報保護法の手続に従う必要があり、医療情報は要配慮個人情報であるためオプトアウトが付加となり、匿名加工か、共同利用か、同意取得などの手続を行う必要があります。

 

私立大学との共同研究なら、倫理指針に沿っておけば、匿名加工や共同利用や同意取得しなくても良いのに、均衡がとれていないのではないでしょうか。

また、なぜ私立大学なら個人情報保護法の適用除外なのに、国立や公立は、個人情報保護法制の適用除外とならないのかも、若干疑問が残ります。この点は、国立や公立には、民間よりも高い意識が求められるなどの理由付けは可能ではあるものの、国立大学なんてそれこそ国をリードする研究や世界をリードする研究を頑張ってほしいと思いますが、独立行政法人個人情報保護法の適用のまま、と。私立よりも、コンプライアンスの観点が厳しい、と。適用除外となっても、倫理指針によって、個人情報のルールが厳格化されているのに、さらにそれに加えて、個人情報保護法制を、私立と違って適用させる意味があるのかどうか。

 

委員会Q&A Q8-4

 

(適用除外)
Q8-4 大学等の学術研究機関と民間企業や私立病院等が、学術研究目的の研究を共同で行う場合における個人情報の取扱いに関して留意すべき点を教えてください。
A8-4 法第76条第1項第3号により、大学その他の学術研究を目的とする機関若しくは団体又はそれらに属する者による個人情報等の取扱いの目的の全部又は一部が学術研究の用に供する目的であるときは、当該者に法第4章の規定は適用されないため、例えば、私立大学、研究所、学会(学会に所属する医師等も含む。)等に限らず、1つの主体とみなすことができる共同研究が学術研究の用に供する目的で個人情報等を取り扱う場合には、法第4章の規定は適用されません。
したがって、民間企業や私立病院等であっても、上記の1つの主体とみなすことができる共同研究に属する者と認められる場合には、学術研究の目的に個人情報等を利用する限りにおいて、法第4章の規定は適用されません。

ただし、当該共同研究の目的が営利事業への転用に置かれているなど、必ずしも学術研究の用に供する目的で取り扱っているとはみなされない場合には、法第76条第1項第3号の適用除外には当たらず、法第4章の規定が適用されることに留意が必要です。
また、法第4章の規定が適用される場合であっても、例えば、公衆衛生の向上に特に必要がある場合で本人の同意を得ることが困難であるときは、あらかじめ本人の同意を得ることなく個人データを第三者に提供することができるほか(法第23条第1項第3号)、学術研究機関が学術研究の目的で個人情報等を取り扱う場合に、その者に対して個人情報等を提供する行為については、個人情報保護委員会は権限を行使しないものとされています(法第43条第2項)。
なお、医学系研究等に関する指針としては、例えば以下が定められています。
○「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(文部科学省厚生労働省
○「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」(文部科学省厚生労働省経済産業省
遺伝子治療等臨床研究に関する指針(厚生労働省

 

2.共同研究をしないものの、民間企業が大学にデータを提供する場合、私立大学相手の方がコンプライアンス上ハードルが低いこともある

 

民間企業が共同研究をしていない場合は、民間企業には、依然として個人情報保護法が適用されます。

したがって、医療情報をもらう私立大学は個人情報保護法の適用除外ですが、医療情報を提供する企業は個人情報保護法の適用という問題が起こります。

したがって、民間企業が大学相手とはいえ医療情報を提供する際は、個人情報保護法23条(同意取得、共同利用等)に従うか匿名加工情報にして手続を取るかが必要となります。医療情報は要配慮個人情報のため、オプトアウトによる提供はできません。

 

しかしですね、学問の自由への尊重から、民間企業は私立大学に医療情報を提供する際は、特に個人情報保護法上の対応(23条対応又は匿名加工情報)をしなくとも、行政制裁を受けることはありません。個人情報保護委員会から勧告や命令、立入検査が行われる等の委員会権限は発動されません(個人情報保護法43条2項)。

 

これに対して、提供先が国立大学や公立大学の場合、 個人情報保護法上の対応(23条対応又は匿名加工情報)をしなくとも、行政制裁を受けることはないかは、不明ではあります。

 これも、1と同様、不均衡であり、行政制裁を受けることはない旨、政府解釈として確立する必要があると思います。

3.公立大学の場合、利用目的が漏れていたりした場合にも変更が難しい場合もある

 

無事、医療情報を取得したとして、大学が研究のために医療情報をつかえるかどうかは、大学がそもそも公表している個人情報の「利用目的」によります。

ほとんどすべての大学において、「研究」を利用目的にしていると思いますが、万一それを失念して書き忘れてしまっている大学がいた場合、公立大学だと、利用目的を変更するのが難しい場合があります。

個人情報保護法でも、独立行政法人個人情報保護法でも、利用目的は、一定の範囲内で変更を認めています。

個人情報保護条例でも、通常は同様ですが、条例によっては、利用目的の変更の規定を置いていないことがあります。おいていなくても、密接関連する範囲であれば変更できると解釈するのが普通だと思いますが、そうじゃないと、利用目的のただの記載ミスとかすら直せなくなってしまう恐れもありますので。

でも、自治体では、利用目的の変更の規定がない場合、利用目的は変更できないと、地方公務員側で判断してしまう可能性もあります。

そうすると、公立大学で「研究」を利用目的に書き忘れてしまっていた場合に、利用目的の変更ができず、目的外利用の手続を経る必要も考えられます。

とはいえ、まあこれはほぼ発生しない事態かなあとは思います。だってさすがに「研究」を書き忘れている人はいないような気がするからです。

 

4.個人情報保護法制全体を所管する組織が必要

上に記載したように、国立大学でも公立大学でも私立大学でも、法令を当てはめた結果は同じようになるべきだと考えます。

しかし、これを政府解釈として確立するのには現状では困難があります。

というのも、私立大学に適用される個人情報保護法については内閣府の外局である個人情報保護委員会が所管しています。民間企業も個人情報保護法適用なので、個人情報保護委員会の所管ではありますが、国立大学と民間企業の共同研究になってくると、まあ個人情報保護委員会側も本当なら解釈を出せる範囲だとは思いますが、独立行政法人個人情報保護法総務省(行政管理局)所管なので、個人情報保護委員会では判断できないと述べる可能性がそれなりに高いです。公立大学に適用される個人情報保護条例にいたっては、総務省自治部局)所管とはいえ、個々の条例解釈は総務省の権限ではなく、個々の自治体の権限ですので、政府で統一した解釈を出すことは困難です。とはいえ、法令担当がしっかりした自治体であればいざしらず、全国2000の普通地方公共団体特別地方公共団体で個別に解釈してねと言われても、自治体側も困ってしまうというのが現実だと思います。

昔は、民間向けの個人情報保護法が存在していなくて、自治体の個人情報保護条例や行政機関個人情報保護法(の前身)が先んじて存在していましたが、もはや今の時代、個人情報保護法もあり、主体ごとに適用法令を分けて、こうやっていくと、法適用と法解釈が複雑になりすぎて法の適用の結果の結論も不自然になりがちです。

さらに政府統一見解を出すというのも難しい状況にあります。

やはりここは行政機関であっても自治体でもあっても独立行政法人等であっても民間であっても等しく同じ法令が適用されるようにして、その所管は個人情報保護委員会に一元化するのが良いのではないかと思います。

個人情報保護委員会マンパワーなどの問題があるにしても、民間企業や国民にとっては、主体ごとに法令適用がちがって、政府の統一解釈が出せないとなると、私立大学と共同研究すればいいのに、国立・公立だとこんなわけわからない状況に陥りかねないって、本当に、企業や国民目線で見れば意味不明な状況で、本来、国とか行政機関というのは、民(たみ)のためにあるわけであって、国のために民が存在するわけではないので、行政機関側のマンパワー、省庁間調整などの都合で、企業や国民目線で困った状況に陥るというのは、改善すべき事態だと思います。

消費者問題消費者庁と消費者委員会に一元化できているのですよね。なぜ個人情報だけせっかく三条委員会作ったのに難しいのでしょうか。

行政の肥大化の懸念という問題も確かにありますが、行政が取り組むべき課題として、やはり優先付けが必要で、今の時代、ITとか個人情報とかって、かなり大きなテーマであると思うのです。そういったものに対して、切れ目のないサポートを提供できるような弾力的な行政機関であってほしいなと思います。