ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

役所敬称:貴省・貴府・貴官房・貴都・貴市

役所に対して敬称を書きたい場合、どういう風に書くかご存じでしょうか。

私個人としては、別に特に役所に敬称は使わなくてもよいのではないかとも思いますが、官公庁営業さん、自治体営業さんの提案書などには、役所宛に敬称が書かれているのですね。

また、官公庁同士でも、相手の府省庁から質問があって回答する場合などに、相手の府省庁に敬称を使ったりしています(役所同士で謎ではありますが)。

 

〇〇省は「貴省」。口頭で呼ぶ場合は、「厚労省さん」とかって「さん」付けで呼ぶこともあります。なんか変ですが。

 

〇〇府は「貴府」。内閣府などは貴府と書かれます。

内閣官房はどう敬称づければよいでしょうか。官公庁営業さんも「貴府」などと書いてしまうことがありますが、おそらく間違えです。「貴官房」が正しいようです。

 

〇〇市は「貴市」。〇〇区は「貴区」。〇〇県あての敬称は見たことない気がしますが、きっと「貴県」なのでしょう。

 

ここで、東京都はどうするか問題になりますが、私は「貴都」という文字を提案書などで見たことがあります。「貴都」ってすごいですよね。「都」って一つしかないのに。

そうすると、きっと北海道は「貴道」なんですかね。これは文字で見たことないですが。

 

さあ、そして自分が自分を呼ぶ場合の名称もあります。「弊社」に該当するものですね。あんまりは「弊省」って書いてある文字を見たことがない気もしますが、まれに見たことがあるような記憶があります。

「弊府」「弊官房」「弊市」「弊区」は、文字として見たことがない気がします。

 

はい、東京都はどう書くでしょうか。「弊都」ではなく、私が最近見たのは「弊庁」でした。役所は庁舎ですから、どんな役所でも「弊庁」で行けそうですね。じゃあ、敬称もすべて「貴庁」で行けるのでしょうかね。

自治体ICTの世界では「庁内連携」という言葉がありますが、これも一般人には理解しにくい用語です。「庁内(ちょうない)」が一般人には「町内」に思ってしまうのです。役所内という概念を指していて、物理的な役所内だけではなく、論理的な役所内(庁外にあるデータセンターも、役所管理であれば、庁内になる)を指しているようです。「社内」に相当する概念ですね。

 

あと、役所用語と言えば、「出社」に相当するものを「登庁」といい、「退社」に相当するものを「退庁」というようです。これ、国家公務員は日常的に使っていました。

私、この言葉遣いが本当に不思議で、なぜ「登る」なのか、と。「〇〇さん(上司)にお仕えした」とかって言う国家公務員も多いので、お城勤めみたいなイメージなのですかね。お城に登る、お殿様にお仕えするとか? でもお城勤めって武士だから、公務員とは関係ない気も。学校も「登校」で「出校」ではないし、役所も「出庁」ではなく「登庁」で、学校とか役場って高いところにありがちなんですかね。学校って確かに小高いところにあったりしますが、役所って結構低い立地にもある気がしますが。