ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

朝日新聞にコメントしました

朝日新聞2022年11月17日『政府は「一切の責任を負わず」? マイナポータル利用規約に疑問の声』にコメントしました。

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利用規約って、事業者側の免責規定が多いのですよね。相対契約ではなくて、約款的なものであって、他方当事者による修正交渉などは予定されていない。一方当事者が一方的に定めて事業者側の免責に寄りがち。ただ、裁判になった際は、故意重過失があれば免責規定も適用されないであろうから、問題は軽過失ですよね。利用規約のありかたとか、利用規約への規制っていうのも、本当は社会的議論が必要かなと。今だとやっぱり官民問わず、事業者サイドのリスクヘッジになっている傾向が。

ドラフトする側にとっても、これは課題です。自分自身に対しても言えることです、本当に。一般的傾向と違うドラフトをするって難しいですよね。もちろん、違法・悪質な規約をドラフトしていたりしたら、そりゃ論外ですが、一般的傾向にならわずに、事業者サイドのリスクヘッジではなく、消費者サイドのリスクヘッジになるような利用規約をドラフトするには、やはり経営判断が必要ではないかなとか。

定型約款、利用規約、この辺りは本当は社会的議論が必要かと思います。昔ながらの古典的定型約款って、厳しい業法があっての約款ですからね。それに対して今のWebとかの利用規約って厳しい業法ないこと多いですし。なかなか難しい問題。

自分自身も常に考えていきたい、見直していきたいところ。ただねえ、経営判断だと思うのですよね。ドラフターの裁量で書ける範囲って限界あると。