「地方公共団体における押印見直しマニュアル」が令和2年12月18日付で出ていた。
感想
- 押印・署名廃止を検討する自治体にとって役に立つと思う
- ただ、民訴228条4項についての一般論はその通りだけれども、あまりに推定はほぼ意味ないみたいに強調しすぎると、反対の方向の誤解を生みそうではある(署名又は押印があっても何にも意味ないよね、的な反対の方向の誤解)。
確かに「ハンコ」をありがたく思い、なぜかハンコさえ押してあれば良いと思う文化を改革するためには民訴228条4項に対する正しい理解が必要だし、ハンコさえあれば良い、自署さえあれば良いというものではないことを説明することが必要だけれども。説明のさじ加減が難しいというか、0-1ではない、NGかOKの二択みたいに明快に割り切れれば説明も簡単だけど、そうじゃない現状があって、そのOKとNGの間のグラデーションを正しく理解しておかないといけないと思った。それこそ、研修所の授業的なものを、やった方が良いのではないか。
(文書の成立)第二百二十八条 文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。2 文書は、その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認めるべきときは、真正に成立した公文書と推定する。3 公文書の成立の真否について疑いがあるときは、裁判所は、職権で、当該官庁又は公署に照会をすることができる。4 私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。5 第二項及び第三項の規定は、外国の官庁又は公署の作成に係るものと認めるべき文書について準用する。
「行政手続のオンライン化に当たっての本人確認の考え方」という文書も出ていた模様。(令和2年11月16日)
ただ、こちらは内容がないように感じた。
だって、「ⅰ) 認印のみで本人確認を行っていた場合」なんてあるの? ざるすぎじゃない? 三文判のハンコだけで、「本人確認」といえるのか? それは「本人確認」の体をなしていない。これまで、ⅰ) 認印のみで本人確認を行っていた場合、または、ⅱ) 実印だが印鑑証明の提出による印影の確認をせずに本人確認を行っていた場合は、原則として、必要な保証レベルは「該当しない」と判定する。