ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

個人情報保護法は好きですか

すごくどうでもいい話ですが、つい先日、自分の認識に明らかな誤解があることに気づきました。

私は個人情報が大好きでこれまでやってきたのですが、私が個人情報について論文を書き出したころ(10年ぐらい前)と比べると、最近は本当に個人情報が流行ってきているなと思ったんです。

で、自分の気持ちと他者の気持ちが違うことは当然なのですが、それが明らかにわかっていなくて、自分が個人情報が好きだから、多くの人も好きだろうと思っていました。

 

子供などにありがちな主観と客観の混同というやつですね。

「私がチョコレートを好きだから、みんなもチョコレートを好きに決まっている」というやつですね。しかしチョコレートを好きな人は多数派だが、個人情報を好きな人はそんなに多数派ではない(もしかしたら少数派?)…。

 

「個人情報がお好きとのことですが、どこが好きなのですか?」とクライアントから聞かれまして、そう聞かれると、どことはいいがたい…。そして個人情報が好きな人間は別にそんなに多数派ではないんだと急に気づきまして。

たまに個人情報が好きっていう人も私みたいにいるんでしょうけど、法務の方とか事業企画の方とかITの方とかは別に好きじゃないけど、仕事として検討しなければならないっていう方の方が多いんでしょうね。

認識が明らかに間違っていました。

そして、それ以降、自分は個人情報のどこが好きなんだろうと考えていますが、なかなか理由が見つからず。

 

ITと法律の融合がやりたかったんですよね、もともと。

会社に勤めていた時に、IT開発の訴訟事案を傍聴して、裁判官も弁護士もその当時全然ITのことがわかっていなかったので、ITと法律が両方わかったらいいなって思って、今後はそれが来るなと思って、で、ロースクールに行ったんですが、就職するときもITの法律がやりたかったのですが、当時はこんなにITも情報も流行っていなくて、で、IP専門事務所はありますが、IT事務所ってなくて(今でも、うちの事務所以外は本当の意味でのIT専門事務所はないのではないかとも思います)、で、大手に入れば、IT案件もあるだろうと思って大手に入って、でITをやりたいやりたい言い続けていたら、マイナンバーの仕事が来て。もともと会社員に向いていないなって思って会社を辞めて、自分には自営業が向いているなとは会社員時代に気づいてはいたのですが、やはり自営業というのは勇気がいるので、寄らば大樹じゃないですが就職して。でもやはりどう考えても自営業にしか向いていないというか、その流れで、大手事務所を経て役所に入った後は、もう独立だなという流れで独立して、で、自分の好きなことをやっていたら、個人情報とマイナンバーだった、みたいな。

個人情報保護法制はかなり理解しているので、それを現実の新しいサービスに当てはめて考えてみたときに、法律解釈はどうなるのかを考えるのが好きだし、あとはそういうことを繰り返しているうちに、実務に即していない法制を考えたり、どう法制を改善すればいいかを考えたり、そもそも個人情報保護で目指す究極の法益は何かなとか、自分の個人情報だったらどう思うかなとか、事業者側だったらどう思うかなとかを考えるのが好きです。