ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

行政手続のオンライン化

行政手続のオンライン化を検討するための前提資料の個人的まとめ。

 

 

〇法律

 

ガイドライン

1.「デジタル・ガバメント実行計画」令和元年12 月 20 日 

https://cio.go.jp/sites/default/files/uploads/documents/densei_jikkoukeikaku_20191220.pdf

 

以下、上記実行計画からの抜粋

  • GビズID(法人共通認証基盤)
    法人や個人事業主向けの行政手続であり、同ガイドラインに基づくオンラインによる本人確認の手法がレベル B 又は C(同ガイドライン表 3-3 参照)と整理された手続については、経済産業省が提供する事業者向けの共通的な認証システムであるGビズID(法人共通認証基盤)(以下「GビズID」という。)を利用することができる。
    https://gbiz-id.go.jp/top/

  •  自治体手続のオンライン化
    法令等に基づいて地方公共団体等が行う行政手続についても、国の行政機関等が行う行政手続と合わせてオンライン化を行うのが合理的である場合等には、国が情報システムを整備して、オンラインで利用できるようにするなど、地方公共団体等の意見を十分に聞きながら、可能な限り地方公共団体等の負担にならない仕組みを構築する。また、オンライン化の障壁となる制度についても、必要に応じて見直しを行う。

  •  添付書類の省略(行政機関保有情報)
    既に行政機関が保有している情報について、行政手続において添付書類として提出を求めている場合は、その必要性の精査を行った上で、行政機関間の情報連携等によって添付書類を省略する必要がある。

  • 添付書類の省略(民間保有情報)
    添付書類について、行政機関以外の民間事業者等が作成している場合は、当
    該書類に係る制度を所管する府省や当該書類の提出を求めている行政手続を所
    管する府省において、作成者に対するデジタル化の働きかけを行い、オンライ
    ンによる提出を可能とするように取り組む。
  • 添付書類の省略(登記事項証明書)

    登記事項証明書(商業法人)は、法人の実在等を証明することを目的として、年間約 1,400 万件(平成 30 年)が発行されており、法令に基づく約1,500 種類以上 の国の行政手続において添付を求めることとなっている。また、登記事項証明書(不動産)は、土地・建物の所有権等を証明することを目的として、年間約 3,700 万件(平成 30 年)が発行されており、法令に基づく約 200 種類以上の国の行政手続において添付を求めることとなっている。
    各府省は、登記事項証明書(商業法人)の添付を求めている手続のうち、申請書等に記載された法人の商号(名称)及び本店(主たる事務所)の所在地を確認している場合国税庁が整備・運用している法人番号公表サイトを利用することにより情報を確認することで、添付書類の省略が可能である。
    次に、申請書等に記載された法人の商号(名称)、本店(主たる事務所)及び代表者の資格・氏名を確認している場合、商業登記電子証明書の送信を受けて情報を確認することで、添付書類の省略が可能である。また、登記事項証明書の添付を求めることとなっている法令に基づく国の行政手続について、電気通信回線に
    よる登記情報の提供に関する法律(平成 11 年法律第 226 号)に基づく登記情
    報提供サービスを利用して登記情報(商業法人及び不動産)を確認することで
    も、省略が可能である。
    これらに加えて、法務省において、「登記・法人設立等関係手続の簡素化・
    迅速化に向けたアクションプラン」(平成 28 年 10 月 31 日 CIO 連絡会議決
    定)に基づき、登記情報(商業法人及び不動産)について、2020 年(令和2
    年)10 月以降に、国の行政機関との間の登記情報連携の運用開始を予定

  • 添付書類の省略(戸籍)
    年間約 4,000万件(平成 30 年)が発行されており 、法令に基づく約 500 種類以上の国の行政手続において提出を求めることとなっている。
    2019 年(令和元年)5月に、戸籍法の一部を改正する法律が成立し、番号法に基づく情報連携の対象に戸籍に関する情報が追加されたことで、2023 年度(令和5年度)以降、戸籍情報のマイナンバー制度における情報連携が可能となる予定
    ある。番号法に規定される事務を所管する各府省は、確認すべき事項に係る情
    報を入手でき次第、戸籍謄本等の提出の不要化を実現する。
    また、法務省において、2023 年度(令和5年度)以降、行政機関等が電子的
    に戸籍記録事項の証明情報を確認できる戸籍電子証明書を発行することで、戸
    籍情報を必要とする行政機関等のニーズを踏まえた戸籍情報連携の仕組みの整
    備を予定している。

  • 添付書類の省略(住民票の写し等)
    年間約 7,000 万件(平成 30 年)が発行されており、法令に基づく約1,000 種類以上の国の行政手続において提出を求めることとなっている。
    各府省は、住民票の写し等の添付を求めている手続のうち、申請書に記載された氏名、住所、生年月日及び性別(基本4情報)を確認している場合、マイナンバーカードの券面提示、マイナンバーカードの公的個人認証機能の活用や、住民基本台帳法に規定されている事務では、住民基本台帳ネットワークシステムを用いて本人確認情報の提供を受けることで、添付書類の省略が可能である。また、住民票の写し等で申請書に記載された者が同一世帯の者であることや申請書に記載された者の続柄を確認している場合、番号法に規定されている事務では、マイナンバー制度における情報連携により情報を取得して確認することで、省略が可能である。
  • 添付書類の省略(印鑑証明書)
    印鑑証明書(個人)は、法令に基づく約 100 種類以上の国の行政手続において提出を求めることとなっているが、マイナンバーカードの公的個人認証機能の活用等によって本人確認を行うことで、添付書類の省略が可能である。
    印鑑証明書(法人)は、年間約 1,300 万件(平成 30 年)が発行されており、法令に基づく約100 種類以上の国の行政手続において提出を求めることとなっているが、商業登記電子証明書の送信を受けて情報を確認することで、添付書類の省略が可能である。
  • 添付書類の省略(所得証明書・納税証明書等)
    所得証明書・納税証明書等の提出を求めることとなっている法令に基づく国
    の行政手続は約 200 種類以上ある。
    国税関係情報(納税額、所得金額、未納の税額がないこと等)に関する証明書については、電子納税証明書としてデジタル化が実現しており、さらに、一部の手続については、2020 年度(令和2年度)以降、法人番号等を活用した行政機関間の情報連携による添付書類の省略が検討される予定である。
    地方税関係情報(住民税の課税情報又はその算定の基礎となる収入情報)に関する証明書については、番号法に規定されている事務では、マイナンバー制度における情報連携により情報を取得して確認することで、添付書類の省略が可能となっている。
  • 添付書類の省略(定款等)
    定款、決算書又は各種資格証明書(以下「定款等」という。)の提出を求めることとなっている法令に基づく国の行政手続は約 3,000 種類以上ある。
    定款等の提出については、スキャン等によるイメージデータ等の提出を可能としている手続があるほか、Web サイトでの確認の方法による添付書類の省略
  • 添付書類の省略(その他)
    その他の書面の提出を求めることとなっている法令に基づく国の行政手続
    は、約 7,000 種類以上となっている。
    →水町コメント:その他が多いなあ・・・。もう少し分類化できるといいが。

 

→水町コメント:申請書に記載された〇〇を確認している場合という条件を満たせる場合が、どれくらいあるのかが分からないので、何とも言えない。

2.「行政手続におけるオンラインによる本人確認の手法に関するガイドライン
(平成 31 年2月 25 日CIO 連絡会議決定)

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/cio/kettei/20190225kettei1-1.pdf

 

→水町コメント:このガイドラインは参考になって、いいですね。

 

以下、上記ガイドラインからの抜粋。特に図表がまとまっているので、図表を多く以下で引用します。

 

(1)オンライン手続に関わる脅威と、脅威から生じる「リスクの影響度」を導出する手法
→「付録A.認証方式の合理的な選択を目的としたリスク評価手法」

(2)上記の手法により導出されるリスクの影響度を踏まえ、オンライン手続に求められる認証方式の「保証レベル」を導出する手法
→「付録B.認証方式の保証レベルに係る対策基準」(概要は、付録C)

(3)上記の手法により導出される認証方式の各保証レベルにて求められる「対策基準」

 

データベース:何らかの目的をもって集められたデータを保持する情報システムのこと。

→水町コメント:このデータベースの説明にちょっと笑ってしまった。

 

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オンライン手続における代表的な以下の 3 種類の脅威を考える。
・ 他人になりすまして申請される(なりすまし)
・ 申請後に申請内容を改ざんされる(改ざん)
・ 実際には申請済みであるにもかかわらず、その事実を否認される(事実否認)
電子署名と認証をそれぞれ個別の技術として捉える場合、一般的には、電子署名が上記のいずれの脅威に対しても有効に働き、認証は「なりすまし」を対象とした対策に位置付けられる。

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 〇私の過去ブログ

cyberlawissues.hatenablog.com

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最後にどうでもいい話ですが、内閣官房にいたときに、オン化法ってものすごく検討した覚えがあるのですよね。なんで検討したんだったかさっぱり忘れてしまったのですが、1度すごく検討して、その後特定個人情報保護委員会でもちらっと検討した覚えがあります。

また、弁護士としてオン化法(今のデジタル手続法)にかかわっていると、なんか懐かしいというか、再び感があります。