ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

自治体でのデータ利活用

自治体でのデータ利活用について、東京都の都政改革アドバイザリー会議で発言しましたので、ブログにも発言内容を貼り付けておきたいと思います。

 

○水町委員 では、データ活用について、意見を述べたいと思います。
 デジタルガバメントとかデジタル活用を都として非常に強く打ち出されている姿勢は、本当に素晴らしいことであるというふうに思います。霞ヶ関でも基礎自治体でも、ほかの都道府県でも、やりたいと、やっていくというようなことは言っていても、なかなか難しい事例も多いと。なので、やはり強力なリーダーシップというのが非常に求められるというふうに思います。特に、局をまたいで様々なデータが散在しておりますので、局をまたいで調整、強力な調整能力が効くような強いリーダーシップが必要だと思います。
 色々な地方公務員の方の御意見を聞いていると、現場のほうがやりたいという意見もあるんですね。現場が逆にデジガバをやりたい、データ活用をやりたいんだけれど、やはりリスクをおそれてなかなか進めないという場合もあります。そういったやりたい現場をサポートするような、そういう制度所管というのがあるともっと進むんじゃないか。なかなか、当局内当局になりがちというか、リスクを抑える本部的な機能でという、そういうものもありがちなんですけれども、逆にやりたいと思っている、このSociety5.0の時代に即したことをやりたいと思っている人を助けるようなサポート部局というのもあったほうがいいんじゃないかと。
 その反面、今度は現場がやりたくないという声もよく聞きます。データを出すことで何のメリットもない、現場的には何のメリットもないのに、リスクを負うというのを嫌がる声は非常に多いです。こういったことは、やはり具体的に都としてどういう方針で、どういうものをやっていくのか。リスクといっても、高いものから低いものまで様々なパターンがあり得て、何も出すことが全部リスクになるわけではないので、そういう丁寧な検討、現場の何が阻害要因になっているのか、例えば、目標設定であるとか、基準設定であるとか、そういったものをやっぱり強力に打ち出していくということも重要じゃないかなというふうに思います。
 あと、やっぱり個人情報も含まれておりますので、データの中に個人情報が含まれておりますので、個人情報保護というのがもう大前提になろうかと思います。個人情報保護はもう絶対大前提なんですが、なかなか個人情報保護とデータ利活用が相対立するものという捉え方をしてしまうともう進まないんですね。自治体なんかでよくあるパターンなんですけれども、そうではなくて、個人情報保護をやりながら、データ活用も同時に進めていく、そういう発想の転換というか、そういった観点から、個人情報保護の担当とデータ活用の担当を一つにするということも、ある意味、意義が高いのではないかというふうに思います。個人情報保護条例、東京都は非常に昔からよくやっていらっしゃるとは思うんですけれども、やはり今の時代に即した個人情報保護条例、個人情報保護のルールがあってもいいんじゃないかなと思いますので、もちろん保護というのは大前提なんですけれども、時代に即した保護というのも御検討いただけると嬉しいなと思います。
 あと、民間との活用についての意見なんですけれども、横浜市なんかの取組もいいと思うんですけれども、もうちょっと、例えば今やっているような委託形態でも様々なパターンがあり得るんじゃないかなと思っています。都の事業ですと、大規模で長期間で非常に責任が強いような取組、事業が多いので、入札する民間事業側にかなりの能力や資格を求めているような場合もあると思うんですね。それは非常に大事なことであると思います。ただ、もうちょっと軽い案件ですね。例えば、RFI、リクエスト・フォー・インフォメーションとか、RFPレベルのものであるとか、軽いコンサルティング、あとアイデアが必要なもの、企画、調査、こういったものは、入札の要件をもっと軽くして、逆に1社提案、1社だけ採用するのではなくて、例えば20社、30社から提案が来て、よい上位5社と契約しますとか、10社と契約しますというようなやり方、例えば、もう随契レベルの金額でもいいと思うんですけれども、そういったことでより、今のやり方、調達のやり方を少し変えるだけでも、結構様々なアイデアが集まってくるんじゃないかなと思いました。
 以上です。