ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

【マイナンバーQ&A】通知カードがもらえないのですが、私はどうしたらいいのでしょうか

通知カードがもらえません。住民票住所のポストに不在票が入っていたのですが、再配達の連絡をする期間を過ぎてしまいました。自治体に連絡しましたが、受け取るのは1月以降になるそうです。会社から早く出してほしいといわれていて、どうしたらいいか困っています。

今日、テレビ朝日羽鳥慎一モーニングショーを見ていたら、上記のような話が出ていましたので、ブログで取り上げてみたいと思います。

結論からいうと、大丈夫です。全く問題ありません。

マスコミ報道では、マイナンバー=通知カードという風になっていますが、大丈夫です。
通知カードはあくまで「あなたのマイナンバーは何番ですよ」というお知らせです。通知カードでなくても、自分のマイナンバーがわかります。

1.住民票の写しをとる

マイナンバー付きの住民票をください、と自治体窓口に行くと、マイナンバーが記載された住民票の写しをもらえます。
これで自分のマイナンバーがわかりますし、これを会社に出すことができます。

これは、通知カードと同等の法的書面です。通知カードより劣る書類ということではありません。

一度、マイナンバー付きの住民票の写しを会社に出せば、改めて通知カードのコピーを出しなおす必要もありません。
もし会社で、マイナンバー付きの住民票の写しではだめだといわれたら、会社の方の理解が不足しています。会社の方にぜひ、「番号法16条・番号法施行令12条1項1号で認められている」とぜひ言ってください。

2.平成27年中に教えなくても大丈夫

また、会社担当者の方へ。平成27年中に取得できなくても問題ありません。

雇用保険関係でいつ在職者のマイナンバーをハローワークに教えるかが未定になっていましたが、厚生労働省HPで、在職者マイナンバーを一斉報告するようなことはせずに、在職者の個人番号を記載する届出は、雇用継続給付(高年齢雇用継続給付、育児休業給付及び介護休業給付)のみと改められました(ここの追加Q8、元Q6)。

結局のところ、途中入社、途中退社者、雇用継続給付等の場合は別として、多くは年末調整時までに取得できればよいということだと考えられますので、焦る必要はありません。もっとも、健康保険関係がまだ詳細情報が明らかになっていないように思います。厚労省の速やかな情報開示が求められますね。

3.マイナンバー=通知カードではない

マイナンバー制度=カードという報道が多いですが、そのようなことはありません。
マイナンバーというのは、国版のお客様番号のようなイメージです。
お客さま番号を通知した紙が来なくても、お客様番号はなくなりません。

例えば、あるお店のお客様番号があったとします。
これは、ポイントカードに記載されているとします。
この番号をWEB上でも入力することで、店頭買い物のほか、オンラインショッピングのポイントもたまるサービスがあったとします。このポイントカード自体をなくしても、ポイントはなくなりませんし、お店に登録しているお客様情報もなくなりません。

お客さま番号の主眼は、カードにあるのではなく、住所・氏名等でお客様情報を管理していると、引っ越しや改姓の際に誰が誰だかわかりづらくなってしまったり、同姓同名のお客様に間違って商品を発送してしまったりする危険性があるので、コンピュータが扱いやすい番号を使うことで、情報管理の精度を高めるということが目的だと思います。

マイナンバーも同じです。カードは制度の一つの部分にすぎません。マイナンバーはもう存在しています。これは住民基本台帳に記録されています。
マイナンバーがあれば、引っ越しや改姓、同姓同名があっても、この人だということが正確化するということです。あってはならないことですが、これまで、同姓同名者に税金の滞納処分がなされたり、公営住宅の住居費の督促がなされてしまったりということがありました。同じ名前の別人にしてみれば、自分はちゃんと税金を納めているのに、突然、督促状が来たりするわけで、最悪です。自分が税金を納めた、保険料を納めた、いくら還付されるなどといった管理が、いくら同姓同名がいようが何が、きちんとやってもらわなくては困ります。マイナンバーでは、同一番号の人がいないので、同マイナンバーさんは基本的にはいません。これによって、間違った行政処分というのを減らすことができます。また組織を超えて情報をやりとりするにも適しています。これまで健康保険の番号は、健康保険組合によってバラバラでした。そのために、退職して健康保険組合を別にすると、これまでの情報の引継ぎが難しいということがありました(前職の健康診断のデータが引き継がれないなど)。それがマイナンバーだと正確にできるようになるということ、これらがマイナンバーの主眼です。

カードはあくまで、正しい番号を証明する手段であり、それは住民票の写しでもよいのです。
しかし住民票の写しを取りに市区町村に行ってくださいだと大変なので、通知カードが郵送されたということです。

4.関連法令
本人確認書類のうち、従業者の番号確認書類として住民票の写しでよいという点、そして実在確認書類は採用時に本人確認をしていれば不要という点を、太字で以下引用しておきます。

番号法第十六条 個人番号利用事務等実施者は、第十四条第一項の規定により本人から個人番号の提供を受けるときは、当該提供をする者から個人番号カード若しくは通知カード及び当該通知カードに記載された事項がその者に係るものであることを証するものとして主務省令で定める書類の提示を受けること又はこれらに代わるべきその者が本人であることを確認するための措置として政令で定める措置をとらなければならない。
番号法施行令第十二条 法第十六条の政令で定める措置は、個人番号の提供を行う者から次に掲げる書類の提示を受けることその他これに準ずるものとして主務省令で定める措置とする。
一 住民基本台帳法第十二条第一項に規定する住民票の写し又は住民票記載事項証明書であって、氏名、出生の年月日、男女の別、住所及び個人番号が記載されたもの
二 前号に掲げる書類に記載された氏名及び出生の年月日又は住所(以下この条及び次条第三項において「個人識別事項」という。)が記載された書類であって、写真の表示その他の当該書類に施された措置によって、当該書類の提示を行う者が当該個人識別事項により識別される特定の個人と同一の者であることを確認することができるものとして主務省令で定めるもの

番号法施行規則第三条5 個人番号利用事務等実施者は、本人から個人番号の提供を受ける場合であって、その者と雇用関係にあることその他の事情を勘案し、その者が通知カード若しくは令第十二条第一項第一号に掲げる書類に記載されている個人識別事項又は第一項各号に掲げる措置により確認される個人識別事項により識別される特定の個人と同一の者であることが明らかであると個人番号利用事務実施者が認める場合には、法第十六条の主務省令で定める書類又は令第十二条第一項第二号に掲げる書類の提示を受けることを要しない


ちなみに、原稿執筆が終わりません。年始〆切の原稿ですが、9割完成したのに、あとの追い込みがなかなか・・・。あとまとめを書いて、規程を作って、読み直してブラッシュアップなのですが、この作業がつらい・・・。現実逃避にブログを書いてしまいました。