ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

公的統計調査等調査票(個人情報等)の学術研究利用

※ただの自分用のメモです。

 

調査票情報の提供について(e-stat)

https://www.e-stat.go.jp/microdata/sites/default/files/share/data-use/onsite_intro.pdf

総務省など国の行政機関で実施した統計調査の結果は、ホームページ(政府統計の総合窓口 e-Stat)等を通じて広く一般の方にご利用いただいています。このような調査結果の提供に加え、公益性のある学術研究等にご活用いただくため、調査対象の秘密の保護を図った上で世帯単位や事業所単位といった集計する前の個票形式のデータを提供しています。この個票形式のデータをミクロデータ(調査票情報)と言います。ミクロデータ(調査票情報)を用いることで、研究者の方々は、より自由で多様な分析を行うことが可能となるため、新たな発見につながることが期待されます。

 

統計法

① (法第33条第1項第2号に基づく提供)

統計法

(調査票情報の提供)
第三十三条 行政機関の長又は指定独立行政法人等は、次の各号に掲げる者が当該各号に定める行為を行う場合には総務省令で定めるところにより、これらの者からの求めに応じ、その行った統計調査に係る調査票情報をこれらの者に提供することができる
一 行政機関等その他これに準ずる者として総務省令で定める者 統計の作成等又は統計調査その他の統計を作成するための調査に係る名簿の作成
二 前号に掲げる者が行う統計の作成等と同等の公益性を有する統計の作成等として総務省令で定めるものを行う者 当該総務省令で定める統計の作成等※1
2 行政機関の長又は指定独立行政法人等は、前項(第一号を除く。以下この項及び次項において同じ。)の規定により調査票情報を提供したときは、総務省令で定めるところにより、次に掲げる事項をインターネットの利用その他の適切な方法により公表しなければならない。
一 前項の規定により調査票情報の提供を受けた者の氏名又は名称
二 前項の規定により提供した調査票情報に係る統計調査の名称
三 前二号に掲げるもののほか、総務省令で定める事項
3 第一項の規定により調査票情報の提供を受けた者は、当該調査票情報を利用して統計の作成等を行ったときは、総務省令で定めるところにより、遅滞なく、作成した統計又は行った統計的研究の成果を当該調査票情報を提供した行政機関の長又は指定独立行政法人等に提出しなければならない
4 行政機関の長又は指定独立行政法人等は、前項の規定により統計又は統計的研究の成果が提出されたときは、総務省令で定めるところにより、次に掲げる事項をインターネットの利用その他の適切な方法により公表するものとする。
一 第二項第一号及び第二号に掲げる事項
二 前項の規定により提出された統計若しくは統計的研究の成果又はその概要
三 前二号に掲げるもののほか、総務省令で定める事項

統計法施行規則

※1(調査票情報の提供を受けることができる統計の作成等)
第十一条 法第三十三条第一項第二号の総務省令で定める統計の作成等は、次の各号に掲げるものとする。
一 行政機関等又は前条に規定する者(以下「公的機関等」という。)が、これらの者以外の者に委託し、又はこれらの者以外の者と共同して行う調査研究に係る統計の作成等であって、第四十二条に規定する調査票情報を適正に管理するために必要な措置が講じられているもの
二 その実施に要する費用の全部又は一部を公的機関等が公募の方法により補助する調査研究に係る統計の作成等であって、第四十二条に規定する調査票情報を適正に管理するために必要な措置が講じられているもの
三 行政機関の長又は地方公共団体の長その他の執行機関が、その政策の企画、立案、実施又は評価に有用であると認める統計の作成等その他法第三十三条第一項第二号に規定する同等の公益性を有するものとして特別な事由があると認める統計の作成等であって、第四十二条に規定する調査票情報を適正に管理するために必要な措置が講じられているもの
2 前項の統計の作成等を行う者は、次のいずれにも該当しない者とする。
一 法、個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十八号)若しくは独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十九号)又はこれらの法律に基づく命令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しない者
二 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員(以下この号において「暴力団員」という。)又は暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者(以下「暴力団員等」という。)
三 法人等であって、その役員のうちに前二号のいずれかに該当する者がある者
四 暴力団員等がその事業活動を支配する者又は暴力団員等をその業務に従事させ、若しくは当該業務の補助者として使用するおそれのある者
五 前各号に掲げる者のほか、調査票情報若しくは匿名データを利用して不適切な行為をしたことがある又は関係法令の規定に反した等の理由により法第三十三条第一項の規定により調査票情報を提供することが不適切であると行政機関の長又は指定独立行政法人等が認めた者

②(法第33条の2第1項に基づく提供)

統計法

第三十三条の二 行政機関の長又は指定独立行政法人等は、前条第一項に定めるもののほか、総務省令で定めるところにより、一般からの求めに応じ、その行った統計調査に係る調査票情報を学術研究の発展に資する統計の作成等その他の行政機関の長又は指定独立行政法人等が行った統計調査に係る調査票情報の提供を受けて行うことについて相当の公益性を有する統計の作成等として総務省令で定めるものを行う者に提供することができる。※2
2 前条第二項及び第四項の規定は前項の規定により調査票情報を提供した行政機関の長又は指定独立行政法人等について、同条第三項の規定は前項の規定により調査票情報の提供を受けた者について、それぞれ準用する。この場合において、同条第二項中「前項(第一号を除く。以下この項及び次項において同じ。)」とあり、同項第一号及び第二号中「前項」とあり、並びに同条第三項中「第一項」とあるのは、「次条第一項」と読み替えるものとする。

統計法施行規則

※2(法第三十三条の二第一項の規定による調査票情報の提供を受けて行うことについて相当の公益性を有する統計の作成等)
第十九条 法第三十三条の二第一項の調査票情報の提供を受けて行うことについて相当の公益性を有する統計の作成等は、次の各号に掲げるものとする。
一 学術研究の発展に資すると認められる統計の作成等であって、次に掲げる要件の全てに該当すると認められるもの
イ 次に掲げるものであって、調査票情報を学術研究の用に供することを直接の目的とすること。
(1) 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する大学若しくは高等専門学校若しくは同法第百二十四条に規定する専修学校(同法第百二十五条第一項に規定する専門課程に限る。)(以下「大学等」という。)若しくは公益社団法人若しくは公益財団法人が行う調査研究公益社団法人又は公益財団法人が行う調査研究については、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成十八年法律第四十九号)第二条第四号に規定する公益目的事業((3)において「公益目的事業」という。)に該当するものに限る。以下この(1)において同じ。)又はこれらの者がこれらの者以外の者に委託し、若しくはこれらの者以外の者と共同して行う調査研究に係る統計の作成等
(2) 大学等に所属する教員が行う調査研究、又は当該教員がこれら以外の者と共同して行う調査研究に係る統計の作成等
(3) その実施に要する費用の全部又は一部を大学等、公益社団法人又は公益財団法人が公募の方法により補助公益社団法人又は公益財団法人が行う補助については、公益目的事業に該当するものに限る。)する調査研究に係る統計の作成等
(4) 行政機関の長又は地方公共団体の長その他執行機関が、法第三十三条の二第一項に規定する相当の公益性を有するものとして特別な事由があると認める統計の作成等
ロ 調査票情報を利用して行った研究の成果が公表(法第三十三条の二第二項の規定により準用する法第三十三条第四項の規定により行う公表を除く。)されること。
ハ 個人及び法人の権利利益、国の安全等を害するおそれがないこと。
ニ 第四十二条に規定する調査票情報を適正に管理するために必要な措置が講じられていること。
二 高等教育の発展に資すると認められる統計の作成等であって、次に掲げる要件の全てに該当すると認められるもの
イ 調査票情報を大学等の行う教育の用に供することを直接の目的とすること。
ロ 調査票情報を利用して行った教育内容が公表(法第三十三条の二第二項の規定により準用する法第三十三条第四項の規定により行う公表を除く。)されること。
ハ 前号ハ及びニに掲げる要件に該当すること。
2 前項の統計の作成等を行う者は、次のいずれにも該当しない者とする。
一 法、個人情報の保護に関する法律行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律若しくは独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律又はこれらの法律に基づく命令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しない者
二 暴力団員等
三 法人等であって、その役員のうちに前二号のいずれかに該当する者がある者
四 暴力団員等がその事業活動を支配する者又は暴力団員等をその業務に従事させ、若しくは当該業務の補助者として使用するおそれのある者
五 前各号に掲げる者のほか、調査票情報若しくは匿名データを利用して不適切な行為をしたことがある又は関係法令の規定に反した等の理由により法第三十三条の二第一項の規定により調査票情報を提供することが不適切であると行政機関の長又は指定独立行政法人等が認めた者

 

統計法 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=420M60000008145

統計法施行規則 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=419AC0000000053

総務省HP https://www.soumu.go.jp/toukei_toukatsu/index/seido/2jiriyou.htm

 

人口動態調査

厚労省

https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/81-1b.html

JAEA

https://atomica.jaea.go.jp/dic/detail/dic_detail_2195.html

人口動態調査死亡票とは、出生、死亡、死産、婚姻及び離婚について、その届出を受けた市町村長が作成する人口動態調査票のうち死亡に関するもので、厚生労働省が集計したものである。人口動態調査の調査票は、個人情報が記載されているため統計の目的以外に使用することは原則として禁止されているが、公益的な学術研究などについては、総務大臣の承認を得ることによって例外的にその使用が認められている。現在放射線疫学調査センターが行っている「原子力発電施設等の放射線業務従事者に係る疫学調査」では、調査対象者の生死と死因を把握し、これらと被ばく線量との関係を統計的に解析する調査であり、この調査に「人口動態調査死亡票」が用いられるのは、この例外的な使用例である。

死亡調査票イメージ

https://www.pref.yamanashi.jp/gyousei-kk/documents/shiryou4-3_r20612.pdf