ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

通信販売・電話勧誘販売・訪問販売(特商法)のまとめ

ひと昔前までは、特商法といえば、文字通り特定のカテゴリのビジネス以外には規制が課せられないともいえました。しかしながら昨今は、ネット通販、アプリでのマネタイズ、ゲームでの課金等が増え、特商法の規制対象に該当するビジネスもどんどん増えているように感じます。

「え?これが通販に該当するの?」「え?これが訪問販売?」と思われる方もいらっしゃると思われ、今日は、通信販売・電話勧誘販売・訪問販売についての定義・特商法の規制・関連資料をまとめたいと思います。消費者庁Webサイトがとてもよくまとまっているので、私のブログはいらないと思いますが、自分用にまとめます。

 

ブログ執筆に当たり、ミス・誤記等があり得るため、ご利用される際は必ず原典(法律、ガイドライン、逐条解説等)をご確認ください。また、平たい表現を使っている部分があるため、正確な定義等は、必ず原典をご確認ください。

23.10月現在、いまだ作成途中。

 

1.特商法とは

特商法とは、特定商取引に関する法律が正式名称です。よくネット通販のサイトに「特商法表示事項」などと書いてあるのを見かけると思いますが、あの特商法です。

誤解を恐れずに言うと、何らかの消費者トラブルが見られた類型の取引について、一定の規制を課す法律、というとイメージしやすいかもしれません。しかし冒頭記載した通り、現代は、結構この特商法で規制されるビジネスが多くなっているのです。

 

規制対象は以下の通りです。

  • 訪問販売
  • 信販
  • 電話勧誘販売
  • 訪問購入:事業者が消費者の自宅等を訪問して、物品の購入を行う取引のこと。
  • 連鎖販売取引:平たく言うとマルチ。個人を販売員として勧誘し、更にその個人に次の販売員の勧誘をさせるという形で、販売組織を連鎖的に拡大して行う商品(権利)・役務の取引のこと。
  • 特定継続的役務提供:長期・継続的な役務の提供と、これに対する高額の対価を約する取引のこと。現在、エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室の7つの役務が対象とされています。
  • 業務提供誘引販売取引:平たく言うと内職商法。「仕事を提供するので収入が得られる」と消費者を誘引し、仕事に必要であるとして、商品等を売って金銭負担を負わせる取引のこと

特商法は、消費者庁Webサイトがものすごくよくまとまっていてわかりやすいです。中国事業者にも配慮した作りになっているようで、中国語の読み上げ機能が走ることがあります(最初、「なんだ?この音声は?」と思うかもしれません)。

 

このブログでは、通信販売、電話勧誘販売、訪問販売を取り上げます。

 

2.通信販

(1)通信販売とは

Web、郵便、電話、FAX、電報、払込で申込(≒依頼)を受ける形態

特商法2条2項 この章及び第五十八条の十九において「通信販売」とは、販売業者又は役務提供事業者が郵便その他の主務省令で定める方法(以下「郵便等」という。)により売買契約又は役務提供契約(役務を有償で提供する契約)の申込みを受けて行う商品若しくは特定権利の販売又は役務の提供であつて電話勧誘販売に該当しないものをいう。

 

特商法施行規則2条 (郵便等)
第二条 法第二条第二項の主務省令で定める方法は、次の各号に掲げるものとする。
一 郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者による同条第二項に規定する信書便
二 電話機、ファクシミリ装置その他の通信機器又は情報処理の用に供する機器を利用する方法
三 電報
四 預金又は貯金の口座に対する払込み

(2)通信販売の規制

信販売に対する規制は、訪問販売・電話勧誘販売に比べると比較的弱いです。私個人的に思うのは、①メール・②FAX広告のオプトイン規制、③広告表示事項、④特定申込規制、⑤画面表記のわかりやすさ(顧客の意に反して契約の申込みをさせようとする行為の禁止)以外は、善良な事業者にはあまりかかわりのない規制なのではと思います。

 

※通信販売の場合、書面交付は不要。広告時の表示義務と、特定申込時の表示義務がある。

※通信販売の場合、返品特約(⑩)があればクーリングオフしないことも事業者に認められる。

 

①未承諾者に対する電子メール広告の提供の禁止(12条の3、12条の4)

そもそも特電法があるので、通販だけの規制ではありませんが、特商法で、通販の条件について、承諾なくメール広告することが禁止されています。

以下のガイドラインあり。
電子メール広告をすることの承諾・請求の取得等に係る「容易に認識できるように表示していないこと」に係るガイドライン

 

(承諾をしていない者に対する電子メール広告の提供の禁止等)
第十二条の三 販売業者又は役務提供事業者は、次に掲げる場合を除き、通信販売をする場合の商品若しくは特定権利の販売条件又は役務の提供条件について、その相手方となる者の承諾を得ないで電子メール広告(当該広告に係る通信文その他の情報を電磁的方法により送信し、これを当該広告の相手方の使用に係る電子計算機の映像面に表示されるようにする方法により行う広告をいう。以下同じ。)をしてはならない。
一 相手方となる者の請求に基づき、通信販売をする場合の商品若しくは特定権利の販売条件又は役務の提供条件に係る電子メール広告(以下この節において「通信販売電子メール広告」という。)をするとき。
二 当該販売業者の販売する商品若しくは特定権利若しくは当該役務提供事業者の提供する役務につき売買契約若しくは役務提供契約の申込みをした者又はこれらにつき売買契約若しくは役務提供契約を締結した者に対し、主務省令で定める方法により当該申込み若しくは当該契約の内容又は当該契約の履行に関する事項を通知する場合において、主務省令で定めるところにより通信販売電子メール広告をするとき。
三 前二号に掲げるもののほか、通常通信販売電子メール広告の提供を受ける者の利益を損なうおそれがないと認められる場合として主務省令で定める場合において、通信販売電子メール広告をするとき。
2 前項に規定する承諾を得、又は同項第一号に規定する請求を受けた販売業者又は役務提供事業者は、当該通信販売電子メール広告の相手方から通信販売電子メール広告の提供を受けない旨の意思の表示を受けたときは、当該相手方に対し、通信販売電子メール広告をしてはならない。ただし、当該意思の表示を受けた後に再び通信販売電子メール広告をすることにつき当該相手方から請求を受け、又は当該相手方の承諾を得た場合には、この限りでない。
3 販売業者又は役務提供事業者は、通信販売電子メール広告をするときは、第一項第二号又は第三号に掲げる場合を除き、当該通信販売電子メール広告をすることにつきその相手方の承諾を得、又はその相手方から請求を受けたことの記録として主務省令で定めるものを作成し、主務省令で定めるところによりこれを保存しなければならない。
4 販売業者又は役務提供事業者は、通信販売電子メール広告をするときは、第一項第二号又は第三号に掲げる場合を除き、当該通信販売電子メール広告に、第十一条各号に掲げる事項のほか、主務省令で定めるところにより、その相手方が通信販売電子メール広告の提供を受けない旨の意思の表示をするために必要な事項として主務省令で定めるものを表示しなければならない。
5 前二項の規定は、販売業者又は役務提供事業者が他の者に次に掲げる業務の全てにつき一括して委託しているときは、その委託に係る通信販売電子メール広告については、適用しない。
一 通信販売電子メール広告をすることにつきその相手方の承諾を得、又はその相手方から請求を受ける業務
二 第三項に規定する記録を作成し、及び保存する業務
三 前項に規定する通信販売電子メール広告の提供を受けない旨の意思の表示をするために必要な事項を表示する業務

 

第十二条の四 販売業者又は役務提供事業者から前条第五項各号に掲げる業務の全てにつき一括して委託を受けた者(以下この節並びに第六十六条第六項及び第六十七条第一項第四号において「通信販売電子メール広告受託事業者」という。)は、次に掲げる場合を除き、当該業務を委託した販売業者又は役務提供事業者(以下この節において「通信販売電子メール広告委託者」という。)が通信販売をする場合の商品若しくは特定権利の販売条件又は役務の提供条件について、その相手方となる者の承諾を得ないで通信販売電子メール広告をしてはならない。
一 相手方となる者の請求に基づき、通信販売電子メール広告委託者に係る通信販売電子メール広告をするとき。
二 前号に掲げるもののほか、通常通信販売電子メール広告委託者に係る通信販売電子メール広告の提供を受ける者の利益を損なうおそれがないと認められる場合として主務省令で定める場合において、通信販売電子メール広告委託者に係る通信販売電子メール広告をするとき。
2 前条第二項から第四項までの規定は、通信販売電子メール広告受託事業者による通信販売電子メール広告委託者に係る通信販売電子メール広告について準用する。この場合において、同条第三項及び第四項中「第一項第二号又は第三号」とあるのは、「次条第一項第二号」と読み替えるものとする。

 

〇施行規則

(契約の内容等の通知の方法等)
第二十八条 法第十二条の三第一項第二号の主務省令で定める方法は電磁的方法とする。
2 法第十二条の三第一項第二号の規定により通信販売電子メール広告をするときは、契約の申込みの受理及び当該申込みの内容、契約の成立及び当該契約の内容、並びに契約の履行に係る事項のうち重要なものの通知に付随して、通信販売電子メール広告をするものとする。

(法第十二条の三第一項第三号の主務省令で定める場合)
第二十九条 法第十二条の三第一項第三号の主務省令で定める場合は次のいずれかの場合とする。
一 相手方の請求に基づいて、又はその承諾を得て電磁的方法により送信される電磁的記録の一部に掲載することにより広告がなされる場合
二 電磁的方法により送信しようとする電磁的記録の一部に広告を掲載することを条件として利用者に電磁的方法の使用に係る役務を提供する者(販売業者又は役務提供事業者が当該役務を提供する者である場合を含む。)による当該役務の提供に際して、広告がなされる場合(利用者を誘引し、又は強制し、当該役務を利用して電磁的記録を送信させることにより、当該役務の提供に際して広告をするときを除く。)

第三十条 法第十二条の三第三項の主務省令で定めるものは次に掲げるものとする。
一 電子情報処理組織を使用する方法(電磁的方法を除く。)により相手方から承諾を得、又は請求を受けた場合にあつては、承諾又は請求ごとに当該承諾又は請求があつたことを示す書面又は電磁的記録(以下この条、第三十五条、第七十五条及び第百十六条において「書面等」という。)。ただし、販売業者又は役務提供事業者が、当該承諾を得、又は請求を受けるために定型的な内容を表示しており、かつ、当該承諾を得、又は請求を受けたときに当該承諾又は請求の内容に係る情報を一覧性のある電磁的記録として自動的に編集する方法を用いている場合であつて、当該定型的な内容の表示において、当該電子計算機の操作が当該相手方に通信販売電子メール広告をすることを承諾し、又は請求するものであることを容易に認識できるよう表示している場合には、当該承諾を得、又は請求を受けるために表示した定型的な内容を示す書面等及び当該内容の表示がされた時期を示す書面等。
二 電磁的方法、書面その他の方法により相手方から承諾を得、又は請求を受けた場合にあつては、承諾又は請求ごとに当該承諾又は請求があつたことを示す書面等。ただし、販売業者又は役務提供事業者が、当該承諾を得、又は請求を受けるために定型的な内容を表示しており、かつ、当該承諾を得、又は請求を受けたときに当該承諾又は請求の内容に係る情報を一覧性のある書面等として正確に編集する方法を用いている場合であつて、当該定型的な内容の表示において、当該電磁的方法による電磁的記録の送信、当該書面への記入その他の行為が当該相手方に通信販売電子メール広告をすることを承諾し、又は請求するものであることを容易に認識できるよう表示している場合には、当該承諾を得、又は請求を受けるために表示した定型的な内容を示す書面等及び当該内容の表示がされた時期を示す書面等。
2 前項の書面等は、相手方に対し通信販売電子メール広告を行つた日から三年間保存しなければならない。

(連絡方法の表示)
第三十一条 法第十二条の三第四項の主務省令で定めるものは、次のいずれかの事項とし、当該事項は、当該通信販売電子メール広告の本文に容易に認識できるように表示しなければならない。
一 電子メールアドレス(相手方が通信販売電子メール広告の提供を受けない旨の意思の表示をすることができるものに限る。)
二 電子情報処理組織において識別するための文字、記号その他の符号若しくはこれらの結合(電子計算機に入力されることによつて当該電子計算機の映像面に表示される手続に従うことにより、相手方が通信販売電子メール広告の提供を受けない旨の意思の表示をすることができるものに限る。)又はこれに準ずるもの

②未承諾者に対するファクシミリ広告の提供の禁止(12条の5)

通販の条件について、承諾なくFAX広告することも禁止されています。最近はFAX広告は少ないかな?弁護士業界だとまだFAX広告が来ることがありますが。

〇法

(承諾をしていない者に対するファクシミリ広告の提供の禁止等)
第十二条の五 販売業者又は役務提供事業者は、次に掲げる場合を除き、通信販売をする場合の商品若しくは特定権利の販売条件又は役務の提供条件について、その相手方となる者の承諾を得ないでファクシミリ広告(当該広告に係る通信文その他の情報をファクシミリ装置を用いて送信する方法により行う広告をいう。第一号において同じ。)をしてはならない。
一 相手方となる者の請求に基づき、通信販売をする場合の商品若しくは特定権利の販売条件又は役務の提供条件に係るファクシミリ広告(以下この条において「通信販ファクシミリ広告」という。)をするとき。
二 当該販売業者の販売する商品若しくは特定権利若しくは当該役務提供事業者の提供する役務につき売買契約若しくは役務提供契約の申込みをした者又はこれらにつき売買契約若しくは役務提供契約を締結した者に対し、主務省令で定める方法により当該申込み若しくは当該契約の内容又は当該契約の履行に関する事項を通知する場合において、主務省令で定めるところにより通信販ファクシミリ広告をするとき。
三 前二号に掲げるもののほか、通常通信販ファクシミリ広告の提供を受ける者の利益を損なうおそれがないと認められる場合として主務省令で定める場合において、通信販ファクシミリ広告をするとき。
2 前項に規定する承諾を得、又は同項第一号に規定する請求を受けた販売業者又は役務提供事業者は、当該通信販ファクシミリ広告の相手方から通信販ファクシミリ広告の提供を受けない旨の意思の表示を受けたときは、当該相手方に対し、通信販ファクシミリ広告をしてはならない。ただし、当該意思の表示を受けた後に再び通信販ファクシミリ広告をすることにつき当該相手方から請求を受け、又は当該相手方の承諾を得た場合には、この限りでない。
3 販売業者又は役務提供事業者は、通信販ファクシミリ広告をするときは、第一項第二号又は第三号に掲げる場合を除き、当該通信販ファクシミリ広告をすることにつきその相手方の承諾を得、又はその相手方から請求を受けたことの記録として主務省令で定めるものを作成し、主務省令で定めるところによりこれを保存しなければならない。
4 販売業者又は役務提供事業者は、通信販ファクシミリ広告をするときは、第一項第二号又は第三号に掲げる場合を除き、当該通信販ファクシミリ広告に、第十一条各号に掲げる事項のほか、主務省令で定めるところにより、その相手方が通信販ファクシミリ広告の提供を受けない旨の意思の表示をするために必要な事項として主務省令で定めるものを表示しなければならない。

 

③広告表示事項(11条)

広告をするときは、一定事項を表示する義務があります。消費者庁サイトがわかりやすいですが、念のため消費者庁サイトの記載事項を下に貼っておきます。より詳細な説明もあるため、消費者庁サイト(通信販売の説明ページ通信販売広告の説明ページ通信販売広告Q&A)を見ると良いと思います。

 

 

返品特約の件は、「通信販売における返品特約の表示についてのガイドライン」がある。

  • 返品特約法15条の3は広告をした事業者で、商品又は特定権利について。返品が観念できない役務の通信販売や、広告を媒介としない通信販売業者に対しては対象とならない(逐条解説P125)。もっとも、広告表示義務法11条5号は役務提供契約の申込みの撤回又は解除に関する事項も含まれており、同条に関する法逐条解説P83では、以下の記載有。
    役務提供契約の場合は、1回の役務提供を行う契約であれば申込みの撤回の可否やその方法等を、複数回又は一定期間の役務提供を行う契約であれば契約途中の解約に係る方法等を分かりやすく表示しなければならない。 また、例えば、定期購入契約において、解約の申出に期限がある場合には、その申出の期限も、さらに、解約時に違約金その他の不利益が生ずる契約内容である場合には、その旨及び内容も含まれる。
  • 法15条の3・施行規則24・44・同ガイドラインで示しているのは、あくまで契約適合した商品の返品特約であって、契約不適合の事業者責任についての特約は、法11条6号・規則23条5号で表示義務あり(GLP2)。後者は特約を定める場合のみ表示義務付けであって、前者と後者を明確にする必要がある。仮にどちらか区別がつかない表示の場合は、前者と解され、後者については民商法一般原則による(GLP3)。
  • 返品可否、返品条件、返品に係る送料負担の有無(「返品特約における重要事項」)は、他の事項に比してより明瞭な方法での表示が必要。消費者が必ず確認する事項に近接して表示する、商品の価格等と同じ文字の大きさとする、色文字・太文字を用いる、返金方法等よりも大きな文字とする等(GLP2)。
    もっとも、ご利用ガイド等、全ての商品に適用される共通表示部分で一括して返品特約を表示しても、わかりやすい場合もある(GLP2)が、共通表示部分と各商品部分とでこのように記載しなさいなどの記載がGLにあり(P3~)。
  • 返品特約すべてについて、広告、各商品ページ、最終確認画面で、他の事項に埋没しないように見やすい場所に表示する(12ポイント以上、色文字・太文字等)(GLP6-10)。インデックスタブもよい(GLP7-8)。

期限の定めを設けていない定期契約や、2回以上継続して契約締結する場合は、商品の引き渡しや代金の支払いが1回限りではないことを消費者が容易に認識できるようにすることが望ましい。契約期間も、消費者から解約通知がない限り契約継続の無期限契約である旨を示す。複数回の商品引き渡しや代金支払を約することとなる場合は、法11①~③により、代金総額等をすべて正確に表示する(規則23⑦、逐条解説P88-89)。

*1

 

〇法

(通信販売についての広告)
第十一条 販売業者又は役務提供事業者は、通信販売をする場合の商品若しくは特定権利の販売条件又は役務の提供条件について広告をするときは、主務省令で定めるところにより、当該広告に、当該商品若しくは当該権利又は当該役務に関する次の事項を表示しなければならない。ただし、当該広告に、請求により、これらの事項を記載した書面を遅滞なく交付し、又はこれらの事項を記録した電磁的記録を遅滞なく提供する旨の表示をする場合には、販売業者又は役務提供事業者は、主務省令で定めるところにより、これらの事項の一部を表示しないことができる。
一 商品若しくは権利の販売価格又は役務の対価(販売価格に商品の送料が含まれない場合には、販売価格及び商品の送料)
二 商品若しくは権利の代金又は役務の対価の支払の時期及び方法
三 商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期
四 商品若しくは特定権利の売買契約又は役務提供契約に係る申込みの期間に関する定めがあるときは、その旨及びその内容
五 商品若しくは特定権利の売買契約又は役務提供契約の申込みの撤回又は解除に関する事項(第十五条の三第一項ただし書に規定する特約がある場合にはその内容を、第二十六条第二項の規定の適用がある場合には同項の規定に関する事項を含む。)
六 前各号に掲げるもののほか、主務省令で定める事項

 

〇施行規則

(通信販売についての広告)
第二十三条 法第十一条第六号の主務省令で定める事項は、次に掲げるものとする。
一 販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称、住所及び電話番号
二 販売業者又は役務提供事業者が法人であつて、電子情報処理組織を使用する方法により広告をする場合には、当該販売業者又は役務提供事業者の代表者又は通信販売に関する業務の責任者の氏名
三 販売業者又は役務提供事業者が外国法人又は外国に住所を有する個人であつて、国内にその行う事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるもの(以下この号、第七十一条第三号及び第百十二条第三号において「事務所等」という。)を有する場合には、当該事務所等の所在場所及び電話番号
四 法第十一条第一号に定める金銭以外に購入者又は役務の提供を受ける者の負担すべき金銭があるときは、その内容及びその額
五 引き渡された商品が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合の販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容
六 磁気的方法又は光学的方法によりプログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)を記録した物を販売する場合、又は電子計算機を使用する方法により映画、演劇、音楽、スポーツ、写真若しくは絵画、彫刻その他の美術工芸品を鑑賞させ、若しくは観覧させる役務を提供する場合、若しくはプログラムを電子計算機に備えられたファイルに記録し、若しくは記録させる役務を提供する場合には、当該商品又は役務を利用するために必要な電子計算機の仕様及び性能その他の必要な条件
七 商品若しくは特定権利の売買契約又は役務提供契約を二回以上継続して締結する必要があるときは、その旨及び金額、契約期間その他の販売条件又は提供条件
八 前四号に掲げるもののほか商品の販売数量の制限その他の特別の商品若しくは特定権利の販売条件又は役務の提供条件があるときは、その内容
九 広告の表示事項の一部を表示しない場合であつて、法第十一条ただし書の書面又は電磁的記録を請求した者に当該書面又は電磁的記録に係る金銭を負担させるときは、その額
十 通信販売電子メール広告(法第十二条の三第一項第一号の通信販売電子メール広告をいう。以下同じ。)をするときは、販売業者又は役務提供事業者の電子メールアドレス

第二十四条 法第十一条本文の規定により通信販売をする場合の商品若しくは特定権利の販売条件又は役務の提供条件について広告をするときは、次に定めるところにより表示しなければならない。
一 商品の送料を表示するときは、金額をもつて表示すること。
二 商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期は期間又は期限をもつて表示すること。
三 商品若しくは特定権利の売買契約又は役務提供契約の申込みの撤回又は解除に関する事項(法第十五条の三第一項ただし書に規定する特約がある場合には、その内容を含む。)については、顧客にとつて見やすい箇所において明瞭に判読できるように表示する方法その他顧客にとつて容易に認識することができるよう表示すること。

 

第二十五条 法第十一条ただし書の規定により同条第一号及び第二十三条第四号に定める購入者又は役務の提供を受ける者の負担すべき金銭を表示しないことができる場合はその金銭を全部表示しない場合とし、この場合において法第十一条第一号から第三号まで、第五号及び第六号に定める事項(第二十三条第六号から第十号までに掲げる事項並びに法第十五条の三第一項ただし書に規定する特約がある場合にあつては、商品若しくは特定権利の売買契約の申込みの撤回又は売買契約の解除(以下この条において、「申込みの撤回等」という。)の可否、申込みの撤回等が可能である場合にあつては申込みの撤回等が可能である期間その他申込みの撤回等が可能となる条件及び商品又は特定権利の引取り又は返還に要する費用の負担に係る事項を除く。)の一部を表示しないことができる。
2 購入者又は役務の提供を受ける者の負担すべき金銭の全部を表示する場合は、法第十一条第二号、第三号、第五号及び第六号に定める事項(第二十三条第四号及び第六号から第十号までに掲げる事項及び法第十五条の三第一項ただし書に規定する特約がある場合にあつては申込みの撤回等の可否、申込みの撤回等が可能である場合にあつては申込みの撤回等が可能である期間その他申込みの撤回等が可能となる条件及び商品又は特定権利の引取り又は返還に要する費用の負担に係る事項を除く。)の一部を表示しないことができる。ただし、売買契約又は役務提供契約に係る金銭の全部又は一部の支払が商品の引渡し若しくは権利の移転又は役務の提供前である場合にあつては商品若しくは権利の代金又は役務の対価の支払時期、売買契約又は役務提供契約の申込みを受けた後遅滞なく当該申込みに係る商品を送付しない場合若しくは権利を移転しない場合又は役務を提供しない場合にあつては法第十一条第三号に掲げる事項及び引き渡された商品が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合に販売業者がその不適合の責任を負わない場合にあつては販売業者の責任に関する事項についてはこの限りでない。
3 販売業者又は役務提供事業者は、電子情報処理組織を使用する方法により広告をする場合であつて、次に掲げる方法により法第十一条各号に掲げる事項の一部を提供する旨の表示をするときは、当該事項の一部を表示しないことができる。
一 販売業者又は役務提供事業者の使用に係る電子計算機と顧客の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法
二 販売業者又は役務提供事業者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された書面に記載すべき事項を電気通信回線を通じて顧客の閲覧に供し、当該顧客の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該事項を記録する方法
三 顧客の使用に係る電子計算機に書面に記載すべき事項を記録するためのファイルが備えられていない場合に、販売業者又は役務提供事業者の使用に係る電子計算機に備えられたファイル(専ら当該顧客の用に供するものに限る。次項第二号において「顧客ファイル」という。)に記録された当該事項を電気通信回線を通じて顧客の閲覧に供する方法
4 前項に掲げる方法は、次に掲げる技術的基準に適合するものでなければならない。
一 前項第一号又は第二号に掲げる方法にあつては、顧客がファイルへの記録を出力することによる書面を作成することができるものであること。
二 前項第三号に掲げる方法にあつては、顧客ファイルへの記録がされた書面に記載すべき事項を、当該顧客ファイルに記録された時から起算して六月間、消去し、又は改変できないものであること。

 

④特定申込みを受ける際の表示(12条の6)

事業者側が定めた様式やWeb等で申込(=特定申込み)を受ける場合に、記載すべき事項があります。例えば、カタログショッピングの申し込みはがきで申し込みさせる場合や、Webやアプリ上から申込させる場合等、消費者側が正しく価格等を理解できるように、この規制があります。

通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン」あり。 

(特定申込みを受ける際の表示)
第十二条の六 販売業者又は役務提供事業者は、当該販売業者若しくは当該役務提供事業者若しくはそれらの委託を受けた者が定める様式の書面により顧客が行う通信販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込み又は当該販売業者若しくは当該役務提供事業者若しくはそれらの委託を受けた者が電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により顧客の使用に係る電子計算機の映像面に表示する手続に従つて顧客が行う通信販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込み(以下「特定申込み」と総称する。)を受ける場合には、当該特定申込みに係る書面又は手続が表示される映像面に、次に掲げる事項を表示しなければならない。
一 当該売買契約に基づいて販売する商品若しくは特定権利又は当該役務提供契約に基づいて提供する役務の分量
二 当該売買契約又は当該役務提供契約に係る第十一条第一号から第五号までに掲げる事項
2 販売業者又は役務提供事業者は、特定申込みに係る書面又は手続が表示される映像面において、次に掲げる表示をしてはならない。
一 当該書面の送付又は当該手続に従つた情報の送信が通信販売に係る売買契約又は役務提供契約の申込みとなることにつき、人を誤認させるような表示
二 前項各号に掲げる事項につき、人を誤認させるような表示


⑤顧客の意に反して契約の申込みをさせようとする行為の禁止(14条)

平たく言うと、これが申込なのね、同意なのねということを消費者側が容易に認識できるようにすること、そして内容の確認・訂正が容易にできるようにしておくことが求められます。

通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン」あり。

(指示等)
第十四条 主務大臣は、販売業者又は役務提供事業者が第十一条、第十二条、第十二条の三(第五項を除く。)、第十二条の五、第十二条の六、第十三条第一項若しくは前条の規定に違反し、又は次に掲げる行為をした場合において、通信販売に係る取引の公正及び購入者又は役務の提供を受ける者の利益が害されるおそれがあると認めるときは、その販売業者又は役務提供事業者に対し、当該違反又は当該行為の是正のための措置、購入者又は役務の提供を受ける者の利益の保護を図るための措置その他の必要な措置をとるべきことを指示することができる。

二 顧客の意に反して通信販売に係る売買契約又は役務提供契約の申込みをさせようとする行為として主務省令で定めるもの

三 前二号に掲げるもののほか、通信販売に関する行為であつて、通信販売に係る取引の公正及び購入者又は役務の提供を受ける者の利益を害するおそれがあるものとして主務省令で定めるもの

2 主務大臣は、通信販売電子メール広告受託事業者が第十二条の四第一項若しくは同条第二項において準用する第十二条の三第二項から第四項までの規定に違反し、又は次に掲げる行為をした場合において、通信販売に係る取引の公正及び購入者又は役務の提供を受ける者の利益が害されるおそれがあると認めるときは、その通信販売電子メール広告受託事業者に対し、必要な措置をとるべきことを指示することができる。
一 顧客の意に反して通信販売電子メール広告委託者に対する通信販売に係る売買契約又は役務提供契約の申込みをさせようとする行為として主務省令で定めるもの
二 前号に掲げるもののほか、通信販売に関する行為であつて、通信販売に係る取引の公正及び購入者又は役務の提供を受ける者の利益を害するおそれがあるものとして主務省令で定めるもの
3 主務大臣は、第一項の規定による指示をしたときは、その旨を公表しなければならない。
4 主務大臣は、第二項の規定による指示をしたときは、その旨を公表しなければならない。

 

〇施行規則
(通信販売における禁止行為)
第四十二条 法第十四条第一項第二号の主務省令で定める行為は、販売業者又は役務提供事業者が、電子契約(販売業者又は役務提供事業者と顧客との間で電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信技術を利用する方法により電子計算機の映像面を介して締結される売買契約又は役務提供契約であつて、販売業者若しくは役務提供事業者又はこれらの委託を受けた者が当該映像面に表示する手続に従つて、顧客がその使用する電子計算機を用いて送信することによつてその申込みを行うものをいう。以下この項及び第三項において同じ。)の申込みを受ける場合において、申込みの内容を、顧客が電子契約に係る電子計算機の操作(当該電子契約の申込みとなるものに限る。)を行う際に容易に確認し及び訂正することができるようにしていないこととする。
2 法第十四条第一項第三号の主務省令で定める行為は、次に掲げるものとする。
一 販売業者又は役務提供事業者が、電子情報処理組織を使用する方法(電磁的方法を除く。)により電子計算機を用いて送信することにより行われる通信販売電子メール広告をすることについての承諾を得、又は請求を受ける場合において、顧客の意に反する承諾又は請求が容易に行われないよう、顧客の電子計算機の操作(通信販売電子メール広告をすることについての承諾又は請求となるものに限る。次号において同じ。)が当該通信販売電子メール広告を受けることについての承諾又は請求となることを、顧客が当該操作を行う際に容易に認識できるように表示していないこと。
二 販売業者又は役務提供事業者が、電磁的方法による電磁的記録の送信、書面への記入その他の行為により行われる通信販売電子メール広告をすることについての承諾を得、又は請求を受ける場合において、当該通信販売電子メール広告をすることについての承諾を得、又は請求を受けるための表示を行う際に、顧客の意に反する承諾又は請求が容易に行われないよう、顧客の電磁的方法による電磁的記録の送信、書面への記入その他の行為が当該通信販売電子メール広告を受けることについての承諾又は請求となることを、顧客が容易に認識できるように表示していないこと。
三 販売業者又は役務提供事業者が、法第十二条の四第一項及び同条第二項で準用する法第十二条の三第二項から第四項までの規定のいずれかに違反する行為を行つている者に、同条第五項各号に掲げる業務の全てにつき一括して委託すること。
3 法第十四条第二項第一号の主務省令で定める行為は、通信販売電子メール広告受託事業者が、通信販売電子メール広告委託者が電子契約の申込みを受けるための電子メール広告を行う場合において、電子契約に係る電子計算機の操作(当該電子契約の申込みとなるものに限る。)が当該電子契約の申込みとなることを、顧客が当該操作を行う際に容易に認識できるように表示していないこととする。
4 法第十四条第二項第二号の主務省令で定める行為は、次に掲げるものとする。
一 通信販売電子メール広告受託事業者が、電子情報処理組織を使用する方法(電磁的方法を除く。)により電子計算機を用いて送信することにより行われる通信販売電子メール広告委託者に係る通信販売電子メール広告をすることについての承諾を得、又は請求を受ける場合において、顧客の意に反する承諾又は請求が容易に行われないよう、顧客の電子計算機の操作(通信販売電子メール広告委託者に係る通信販売電子メール広告をすることについての承諾又は請求となるものに限る。次号において同じ。)が当該通信販売電子メール広告を受けることについての承諾又は請求となることを、顧客が当該操作を行う際に容易に認識できるように表示していないこと
二 通信販売電子メール広告受託事業者が、電磁的方法による電磁的記録の送信、書面への記入その他の行為により行われる通信販売電子メール広告委託者に係る通信販売電子メール広告をすることについての承諾を得、又は請求を受ける場合において、当該通信販売電子メール広告をすることについての承諾をし、又は請求を受けるための表示を行う際に、顧客の意に反する承諾又は請求が容易に行われないよう、顧客の電磁的方法による電磁的記録の送信、書面への記入その他の行為が当該通信販売電子メール広告を受けることについての承諾又は請求となることを、顧客が容易に認識できるように表示していないこと

 

⑥前払式通信販売の承諾等の通知(13条)

全部前払い又は一部でも前払いの場合、申し込みを受けるか断るか通知する義務がありますが、通知しなくても、前払い金の受け取りから遅滞なく商品を送付したり、権利を移転したり、サービス等(=役務)を提供すればよいとされています。

(通信販売における承諾等の通知)
十三条 販売業者又は役務提供事業者は、商品若しくは特定権利又は役務につき売買契約又は役務提供契約の申込みをした者から当該商品の引渡し若しくは当該権利の移転又は当該役務の提供に先立つて当該商品若しくは当該権利の代金又は当該役務の対価の全部又は一部を受領することとする通信販売をする場合において、郵便等により当該商品若しくは当該権利又は当該役務につき売買契約又は役務提供契約の申込みを受け、かつ、当該商品若しくは当該権利の代金又は当該役務の対価の全部又は一部を受領したときは、遅滞なく、主務省令で定めるところにより、その申込みを承諾する旨又は承諾しない旨(その受領前にその申込みを承諾する旨又は承諾しない旨をその申込みをした者に通知している場合には、その旨)その他の主務省令で定める事項をその者に書面により通知しなければならない。ただし、当該商品若しくは当該権利の代金又は当該役務の対価の全部又は一部を受領した後遅滞なく当該商品を送付し、若しくは当該権利を移転し、又は当該役務を提供したときは、この限りでない。
2 販売業者又は役務提供事業者は、前項の規定による書面による通知に代えて、政令で定めるところにより、当該申込みをした者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該販売業者又は当該役務提供事業者は、当該書面による通知をしたものとみなす。

 

〇施行規則

(通信販売における承諾等の通知)
第三十七条 法第十三条第一項の主務省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 申込みを承諾する旨又は承諾しない旨(当該商品若しくは当該権利の代金又は当該役務の対価の受領前にその申込みを承諾する旨又は承諾しない旨をその申込みをした者に通知している場合には、その旨)
二 販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称、住所及び電話番号
三 受領した金銭の額及びそれ以前に受領した金銭があるときはその合計額
四 当該金銭を受領した年月日
五 申込みを受けた商品名及びその数量又は権利若しくは役務の種類
六 申込みを承諾するときは、その商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期

 

第三十八条 法第十三条第一項の規定により申込みをした者に書面により通知するときは、次の各号に定めるところにより行わなければならない。
一 申込みを承諾しない旨を通知するときは、既に受領している金銭を直ちに返還する旨及びその方法を記載すること。
二 商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期は期間又は期限をもつて表示すること。
2 前項の書面には日本産業規格Z八三〇五に規定する八ポイント以上の大きさの文字及び数字を用いなければならない。

 

政令

(法第四条第二項の規定による承諾に関する手続等)
第四条 法第四条第二項の規定による承諾は、販売業者又は役務提供事業者が、主務省令で定めるところにより、あらかじめ、当該承諾に係る申込みをした者に対し同項の規定による電磁的方法による提供に用いる電磁的方法の種類及び内容を示した上で、当該申込みをした者から書面又は電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて主務省令で定めるもの(以下「書面等」という。)によつて得るものとする。
2 販売業者又は役務提供事業者は、前項の承諾を得た場合であつても、当該承諾に係る申込みをした者から書面等により法第四条第二項の規定による電磁的方法による提供を受けない旨の申出があつたときは、当該電磁的方法による提供をしてはならない。ただし、当該申出の後に当該申込みをした者から再び前項の承諾を得た場合は、この限りでない。
3 販売業者又は役務提供事業者は、法第四条第三項に規定する事項を同項に規定する電磁的方法により申込みをした者に提供したときは、当該申込みをした者に対し、当該事項が当該申込みをした者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録されたか否か及び当該事項の閲覧に支障があるか否かを主務省令で定める方法により確認するものとする。
4 前三項の規定は、法第五条第三項において法第四条第二項及び第三項の規定を準用する場合について準用する。この場合において、前三項中「申込みをした者」とあるのは、「購入者又は役務の提供を受ける者」と読み替えるものとする。

 

⑦誇大広告の禁止(12条)

特定商取引に関する法律第6条の2等の運用指針- 不実勧誘・誇大広告等の規制に関する指針」がある。

(誇大広告等の禁止)
第十二条 販売業者又は役務提供事業者は、通信販売をする場合の商品若しくは特定権利の販売条件又は役務の提供条件について広告をするときは、当該商品の性能又は当該権利若しくは当該役務の内容、当該商品若しくは当該権利の売買契約又は当該役務の役務提供契約の申込みの撤回又は解除に関する事項(第十五条の三第一項ただし書に規定する特約がある場合には、その内容を含む。)その他の主務省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。

 

〇施行規則

(誇大広告等の禁止)
第二十六条 法第十二条の主務省令で定める事項は次のとおりとする。
一 商品の種類、性能、品質若しくは効能、役務の種類、内容若しくは効果又は権利の種類、内容若しくはその権利に係る役務の種類、内容若しくは効果
二 商品、権利若しくは役務、販売業者若しくは役務提供事業者又は販売業者若しくは役務提供事業者の営む事業についての国、地方公共団体、通信販売協会その他著名な法人その他の団体又は著名な個人の関与
三 商品の原産地若しくは製造地、商標又は製造者名
四 法第十一条各号に掲げる事項

⑧不実の告知の禁止(13条の2)

申込みの撤回や解除を妨げるため、不実のことを告げる行為をしてはいけません(当たり前ですね)。

(不実の告知の禁止)
十三条の二 販売業者又は役務提供事業者は、通信販売に係る売買契約又は役務提供契約の申込みの撤回又は解除を妨げるため、当該売買契約若しくは当該役務提供契約の申込みの撤回若しくは当該売買契約若しくは当該役務提供契約の解除に関する事項(第十五条の三の規定に関する事項を含む。)又は顧客が当該売買契約若しくは当該役務提供契約の締結を必要とする事情に関する事項につき、不実のことを告げる行為をしてはならない。

 

⑨契約解除に伴う債務不履行の禁止(14条)

解除によつて生ずる債務の全部又は一部の履行を拒否し、又は不当に遅延させることは禁止されています(14条1項1号)。

(指示等)
第十四条 主務大臣は、販売業者又は役務提供事業者が第十一条、第十二条、第十二条の三(第五項を除く。)、第十二条の五、第十二条の六、第十三条第一項若しくは前条の規定に違反し、又は次に掲げる行為をした場合において、通信販売に係る取引の公正及び購入者又は役務の提供を受ける者の利益が害されるおそれがあると認めるときは、その販売業者又は役務提供事業者に対し、当該違反又は当該行為の是正のための措置、購入者又は役務の提供を受ける者の利益の保護を図るための措置その他の必要な措置をとるべきことを指示することができる。
一 通信販売に係る売買契約若しくは役務提供契約に基づく債務又は通信販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の解除によつて生ずる債務の全部又は一部の履行を拒否し、又は不当に遅延させること。
三 前二号に掲げるもののほか、通信販売に関する行為であつて、通信販売に係る取引の公正及び購入者又は役務の提供を受ける者の利益を害するおそれがあるものとして主務省令で定めるもの

 

⑩契約の申込みの撤回又は契約の解除(15条の3)

広告をした事業者から商品を買ったり特定権利を買ったりした消費者は、商品の引き渡しや特定権利の移転を受けた日から起算して8日を経過するまでの間は、申し込みの撤回や契約解除ができます。但し、広告(※電子消費者契約の場合は、主務省令参照)にこれと異なる返品特約がある場合は、広告に表示されている返品特約の方が優先され、クーリングオフできません。引き取り・返還費用は消費者側の負担です。

(通信販売における契約の解除等)
第十五条の三 信販売をする場合の商品又は特定権利の販売条件について広告をした販売業者が当該商品若しくは当該特定権利の売買契約の申込みを受けた場合におけるその申込みをした者又は売買契約を締結した場合におけるその購入者(次項において単に「購入者」という。)は、その売買契約に係る商品の引渡し又は特定権利の移転を受けた日から起算して八日を経過するまでの間は、その売買契約の申込みの撤回又はその売買契約の解除(以下この条において「申込みの撤回等」という。)を行うことができるただし、当該販売業者が申込みの撤回等についての特約を当該広告に表示していた場合(当該売買契約が電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律第二条第一項に規定する電子消費者契約に該当する場合その他主務省令で定める場合にあつては、当該広告に表示し、かつ、広告に表示する方法以外の方法であつて主務省令で定める方法により表示していた場合には、この限りでない
2 申込みの撤回等があつた場合において、その売買契約に係る商品の引渡し又は特定権利の移転が既にされているときは、その引取り又は返還に要する費用は、購入者の負担とする。

 

〇施行規則

(申込みの撤回等についての特約を表示する方法)
第四十四条 法第十五条の三第一項ただし書の主務省令で定める方法は、顧客の電子計算機の映像面に表示される顧客が商品又は特定権利の売買契約の申込みとなる電子計算機の操作を行うための表示において、顧客にとつて見やすい箇所に明瞭に判読できるように表示する方法その他顧客にとつて容易に認識することができるよう表示する方法とする。

 

⑪契約の申込みの意思表示の取消し(15条の4)

特定申込の場合で、不実表示があって誤認したか、表示義務違反があって表示がされていない事項が存在しないと誤認したか、人を誤認させるような表示等があって申込にならないと誤認したか、表示事項について誤認させるような表示があって誤認した場合には、消費者側は取り消すことができます。

(通信販売における契約の申込みの意思表示の取消し)
構造
第十五条の四 特定申込みをした者は、販売業者又は役務提供事業者が当該特定申込みを受けるに際し次の各号に掲げる行為をしたことにより、当該各号に定める誤認をし、それによつて当該特定申込みの意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
一 第十二条の六第一項の規定に違反して不実の表示をする行為 当該表示が事実であるとの誤認
二 第十二条の六第一項の規定に違反して表示をしない行為 当該表示がされていない事項が存在しないとの誤認
三 第十二条の六第二項第一号に掲げる表示をする行為 同号に規定する書面の送付又は手続に従つた情報の送信が通信販売に係る売買契約又は役務提供契約の申込みとならないとの誤認
四 第十二条の六第二項第二号に掲げる表示をする行為 同条第一項各号に掲げる事項についての誤認
2 第九条の三第二項から第五項までの規定は、前項の規定による特定申込みの意思表示の取消しについて準用する。

 

3.電話勧誘販売

(1)電話勧誘販売とは

  1. 電話をかけて勧誘した結果、顧客から申込(≒依頼)をWeb、郵便、電話、FAX、電報、払込で受けたり、契約(≒事業者からの承諾)したりする形態。
  2. 勧誘と告げずに、又は著しく有利な条件で電話をかけるよう要請して、電話で勧誘した結果、顧客から申込(≒依頼)をWeb、郵便、電話、FAX、電報、払込で受けたり、契約(≒事業者からの承諾)したりする形態。

 

特商法2条3項
3 この章及び第五十八条の二十第一項において「電話勧誘販売」とは、販売業者又は役務提供事業者が、電話をかけ又は政令で定める方法により電話をかけさせその電話において行う売買契約又は役務提供契約の締結についての勧誘(以下「電話勧誘行為」という。)により、その相手方(以下「電話勧誘顧客」という。)から当該売買契約の申込みを郵便等により受け若しくは電話勧誘顧客と当該売買契約を郵便等により締結して行う商品若しくは特定権利の販売又は電話勧誘顧客から当該役務提供契約の申込みを郵便等により受け、若しくは電話勧誘顧客と当該役務提供契約を郵便等により締結して行う役務の提供をいう。

 

政令

(電話をかけさせる方法)
第二条 法第二条第三項の政令で定める方法は、次のいずれかに該当する方法とする。
一 電話、郵便、信書便、電報、ファクシミリ装置を用いて送信する方法若しくは電磁的方法により、若しくはビラ若しくはパンフレットを配布し、又は広告を新聞、雑誌その他の刊行物に掲載し、若しくはラジオ放送、テレビジョン放送若しくはウェブページ等(インターネットを利用した情報の閲覧の用に供される電磁的記録で主務省令で定めるもの又はその集合物をいう。第十九条において同じ。)を利用して、当該売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げずに電話をかけることを要請すること。
二 電話、郵便、信書便、電報、ファクシミリ装置を用いて送信する方法又は電磁的方法により、他の者に比して著しく有利な条件で当該売買契約又は役務提供契約を締結することができる旨を告げ、電話をかけることを要請すること(当該要請の日前に当該販売又は役務の提供の事業に関して取引のあつた者に対して要請する場合を除く。)。

(2)電話勧誘販売の規制

①事業者の氏名等の明示(16条)

事業者は、電話勧誘販売をしようとするときは、勧誘に先立って、
ⅰ)事業者氏名又は名称、
ⅱ)勧誘を行う者の氏名、
ⅲ)商品若しくは権利又は役務の種類、
ⅳ)電話が契約締結について勧誘をするためのものであること
を、告げなければなりません。

電話勧誘販売における氏名等の明示)
第十六条 販売業者又は役務提供事業者は、電話勧誘販売をしようとするときは、その勧誘に先立つて、その相手方に対し、販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称及びその勧誘を行う者の氏名並びに商品若しくは権利又は役務の種類並びにその電話が売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げなければならない。


②再勧誘の禁止(17条)

契約を締結しない意思を表示した者に、勧誘の継続したり再勧誘したりすることは禁止されています。何をもって「契約を締結しない」のか「再勧誘なのか」など詳しくは逐条解説を見る必要があります。

(契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘の禁止)
第十七条 販売業者又は役務提供事業者は、電話勧誘販売に係る売買契約又は役務提供契約を締結しない旨の意思を表示した者に対し、当該売買契約又は当該役務提供契約の締結について勧誘をしてはならない。

 

③書面の交付(18条、19条)

★追って記載

契約書面等に記載すべき事項の電磁的方法による提供に係るガイドライン」があるので、よく読む。

電話勧誘販売における書面の交付)

第十八条 販売業者又は役務提供事業者は、電話勧誘行為により、電話勧誘顧客から商品若しくは特定権利につき当該売買契約の申込みを郵便等により受け、又は役務につき当該役務提供契約の申込みを郵便等により受けたときは、遅滞なく、主務省令で定めるところにより、次の事項についてその申込みの内容を記載した書面をその申込みをした者に交付しなければならない。ただし、その申込みを受けた際その売買契約又は役務提供契約を締結した場合においては、この限りでない。
一 商品若しくは権利又は役務の種類
二 商品若しくは権利の販売価格又は役務の対価
三 商品若しくは権利の代金又は役務の対価の支払の時期及び方法
四 商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期
五 第二十四条第一項の規定による売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回又は売買契約若しくは役務提供契約の解除に関する事項(同条第二項から第七項までの規定に関する事項(第二十六条第二項、第四項又は第五項の規定の適用がある場合にあつては、当該各項の規定に関する事項を含む。)を含む。)
六 前各号に掲げるもののほか、主務省令で定める事項
2 販売業者又は役務提供事業者は、前項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、当該申込みをした者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該販売業者又は当該役務提供事業者は、当該書面を交付したものとみなす。
3 前項前段の規定による書面に記載すべき事項の電磁的方法(主務省令で定める方法を除く。)による提供は、当該申込みをした者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該申込みをした者に到達したものとみなす。

 

第十九条 販売業者又は役務提供事業者は、次の各号のいずれかに該当するときは、次項に規定する場合を除き、遅滞なく、主務省令で定めるところにより、前条第一項各号の事項(同項第五号の事項については、売買契約又は役務提供契約の解除に関する事項に限る。)についてその売買契約又は役務提供契約の内容を明らかにする書面を購入者又は役務の提供を受ける者に交付しなければならない。
一 電話勧誘行為により、電話勧誘顧客と商品若しくは特定権利につき当該売買契約を郵便等により締結したとき又は役務につき当該役務提供契約を郵便等により締結したとき。
二 電話勧誘行為により電話勧誘顧客から商品若しくは特定権利又は役務につき当該売買契約又は当該役務提供契約の申込みを郵便等により受け、その売買契約又は役務提供契約を締結したとき。
2 販売業者又は役務提供事業者は、前項第二号に該当する場合において、その売買契約又は役務提供契約を締結した際に、商品を引き渡し、若しくは特定権利を移転し、又は役務を提供し、かつ、商品若しくは特定権利の代金又は役務の対価の全部を受領したときは、直ちに、主務省令で定めるところにより、前条第一項第一号及び第二号の事項並びに同項第五号の事項のうち売買契約又は役務提供契約の解除に関する事項その他主務省令で定める事項を記載した書面を購入者又は役務の提供を受ける者に交付しなければならない。
3 前条第二項及び第三項の規定は、前二項の規定による書面の交付について準用する。この場合において、同条第二項及び第三項中「申込みをした者」とあるのは、「購入者又は役務の提供を受ける者」と読み替えるものとする。

★追って記載

禁止行為(法21条)

特定商取引に関する法律第6条の2等の運用指針- 不実勧誘・誇大広告等の規制に関する指針」がある。

クーリングオフ(法24条の2)

住宅リフォームの過料販売については「訪問販売又は電話勧誘販売における住宅リフォーム工事の役務提供に係る 過量販売規制に関する考え方」がある。

4.訪問販売

(1)訪問販売とは

  1. 営業所等以外の場所で申込(≒依頼)を受けたり、契約(≒事業者からの承諾)したりする形態。
  2. 営業所等以外の場所で呼び止めるか、勧誘と告げずに又は著しく有利な条件で来訪要請して、営業所等で申込(≒依頼)を受けたり、契約(≒事業者からの承諾)したりする形態。

第二条 この章及び第五十八条の十八第一項において「訪問販売」とは、次に掲げるものをいう。
一 販売業者又は役務の提供の事業を営む者(以下「役務提供事業者」という。)が営業所、代理店その他の主務省令で定める場所(以下「営業所等」という。)以外の場所において、売買契約の申込みを受け、若しくは売買契約を締結して行う商品若しくは特定権利の販売又は役務を有償で提供する契約(以下「役務提供契約」という。)の申込みを受け、若しくは役務提供契約を締結して行う役務の提供
二 販売業者又は役務提供事業者が、営業所等において営業所等以外の場所において呼び止めて営業所等に同行させた者その他政令で定める方法により誘引した者(以下「特定顧客」という。)から売買契約の申込みを受け、若しくは特定顧客と売買契約を締結して行う商品若しくは特定権利の販売又は特定顧客から役務提供契約の申込みを受け、若しくは特定顧客と役務提供契約を締結して行う役務の提供

 

政令

(特定顧客の誘引方法)
第一条 特定商取引に関する法律(以下「法」という。)第二条第一項第二号の政令で定める方法は、次のいずれかに該当する方法とする。
一 電話、郵便、民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者による同条第二項に規定する信書便(以下「信書便」という。)、電報、ファクシミリ装置を用いて送信する方法若しくは法第四条第二項に規定する電磁的方法(以下「電磁的方法」という。)により、若しくはビラ若しくはパンフレットを配布し若しくは拡声器で住居の外から呼び掛けることにより、又は住居を訪問して、当該売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げずに営業所その他特定の場所への来訪を要請すること。
二 電話、郵便、信書便、電報、ファクシミリ装置を用いて送信する方法若しくは電磁的方法により、又は住居を訪問して、他の者に比して著しく有利な条件で当該売買契約又は役務提供契約を締結することができる旨を告げ、営業所その他特定の場所への来訪を要請すること(当該要請の日前に当該販売又は役務の提供の事業に関して取引のあつた者に対して要請する場合を除く。)。

 

〇施行規則

(営業所等)
第一条 特定商取引に関する法律(以下「法」という。)第二条第一項第一号の主務省令で定める場所は、第一号から第四号まで及び第六号に掲げるものとし、法第五十八条の四において定める場所は第一号から第三号まで、第五号及び第六号に掲げるものとする。
一 営業所
二 代理店
三 露店、屋台店その他これらに類する店
四 前三号に掲げるもののほか、一定の期間にわたり、商品を陳列し、当該商品を販売する場所であつて、店舗に類するもの
五 第一号から第三号までに掲げるもののほか、一定の期間にわたり、購入する物品の種類を掲示し、当該種類の物品を購入する場所であつて、店舗に類するもの
六 自動販売機その他の設備であつて、当該設備により売買契約又は役務提供契約の締結が行われるものが設置されている場所

(2)訪問販売の規制

①事業者の氏名等の明示(3条)
②契約を締結しない旨の意思表示をした者への勧誘禁止(4条)

相手方に勧誘を受ける意思があることを確認するよう努めなければならない(1項)。

 

また、契約を締結しない旨の意思を表示した者に対し、契約締結について勧誘してはならない(2項)。以下、逐条解説18-19Pより。別途指針(「特定商取引に関する法律第3条の2等の運用指針 ―再勧誘禁止規定に関する指針― 」があるので、よく読む。

  • 契約を締結しない旨とは、「いりません」「結構です*2」等。「忙しいので後日にしてほしい」と言われた場合は、その時点での再勧誘は禁止だが、後日の勧誘は禁止されない。「訪問販売お断り」の張り紙だけでは、「契約を締結しない旨の意思」に該当しない。
  • 「このサプリメントはいりません」と言われた場合は、当該サプリメントについての売買契約を締結しない旨の意思表示となる。
    ある浄水器の勧誘の際に「浄水器はいりません」と言われた場合は、広く浄水器全般についての契約を締結しない旨の意思表示となる。
  • その訪問時に勧誘を継続することも、改めて訪問勧誘することも禁止。同一会社の他の勧誘員が勧誘することも禁止。
  • 相当な期間が経過した場合は、別の商品等の契約であると考える場合もある。
③書面交付義務(4・5条)

4条は、(Ⅰ)営業所等以外の場所で申し込みを受けたとき又は(Ⅱ)営業所等で特定顧客から申し込みを受けたときに直ちに書面交付を義務付けるもの。

契約書面等に記載すべき事項の電磁的方法による提供に係るガイドライン」があるので、よく読む。


(Ⅲ)申込みを受けた際に契約締結した場合(4条1項但書・5条)は直ちに、(Ⅳ)営業所等以外の場所で契約締結したとき(5条1項1号、もっとも営業所等で特定顧客以外の顧客から申し込みを受け、営業所等以外の場所で契約締結した場合は義務対象外)、(Ⅴ)営業所等以外の場所で申し込みを受けて営業所等で契約締結したとき(5条1項2号)、(Ⅵ)営業所等で特定顧客と契約締結したとき(5条1項3号)は遅滞なく、契約内容を明らかにする書面交付が義務付けられる(5条)。

 

ⅣⅤⅥのいずれかに該当する場合で、契約締結の際に商品引き渡し、特定権利移転、役務提供し、かつ対価の全部を受領したときは、直ちに書面交付義務があるものの、記載事項が限定される(5条2項)。

 

相手の承諾があれば電磁的方法も可能(4条2項・5条3項)。

 

クーリングオフについても書面記載事項である(5号、省令7条1号)。赤枠の中に赤字で記載しなければならない(省令7条6項)。

  • 交付書面受領日から起算して8日経過する日までは、書面又は電磁的記録により申し込みの撤回又は解除ができること
  • 上記にかかわらず、販売業者等が法第六条第一項の規定に違反して商品の売買契約の申込みの撤回又はその売買契約の解除に関する事項につき不実のことを告げる行為をしたことにより誤認をし、又は販売業者等が同条第三項の規定に違反して威迫したことにより困惑し、これらによつて申込者等が当該契約の申込みの撤回又は契約の解除を行わなかつた場合には、当該販売業者等が交付した法第九条第一項ただし書の書面を当該申込者等が受領した日から起算して八日を経過するまでは、当該申込者等は、書面又は電磁的記録により当該契約の申込みの撤回又は契約の解除を行うことができること

  • 契約の申込みの撤回又は契約の解除は、申込者等が、当該契約の申込みの撤回又は契約の解除に係る書面又は電磁的記録による通知を発した時に、その効力を生ずること

  • 契約の申込みの撤回又は契約の解除があつた場合においては、販売業者等は、申込者等に対し、その契約の申込みの撤回又は契約の解除に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができないこと

  • 契約の申込みの撤回又は契約の解除があつた場合において、その売買契約に係る商品の引渡しが既にされているときは、その引取りに要する費用は販売業者の負担とすること(役務については同様の規定なし)

  • 契約の申込みの撤回又は契約の解除があつた場合には、既に当該売買契約に基づき引き渡された商品が使用されたとき(特定権利の場合は権利行使により施設が利用され又は役務が提供されたとき、役務の場合は役務が提供されたとき)においても、当該販売業者等は、申込者等に対し、当該商品の使用により得られた利益に相当する金銭(特定権利の場合は権利行使により得られた利益に相当する金銭、役務の場合は役務の対価その他の金銭)の支払を請求することができないこと

  • 契約の申込みの撤回又は契約の解除があつた場合において、商品(権利)の代金が支払われている(役務の場合、契約に関連して金銭を受領している)ときは、販売業者等は、申込者等に対し、速やかに、その全額を返還すること。

  • 契約の申込みの撤回又は契約の解除を行った場合において、当該権利(役務提供契約)に係る役務の提供に伴い申込者等の土地又は建物その他の工作物の現状が変更されたときは、当該販売業者等に対し、その原状回復に必要な措置を無償で講ずることを請求することができること(商品の場合、同様の規定はない。)

また、交付書面記載事項のうち省令に落とされている部分(法4条1項6号、規則5条)で、「契約の解除に関する定めの内容」(規則5条8号)も記載が求められており、

  • 購入者等からの契約の解除ができない旨が定められていないこと
  • 販売業者等の責に帰すべき事由により契約が解除された場合における販売業者等の義務に関し、民法第545条(契約が解除された場合の効果として、双方の原状回復義務・付利息義務・損害賠償義務が規定されている。)に規定するものより購入者等に不利な内容が定められていないこと。すなわち、これらの義務を軽減するような特約、例えば、代金を受け取っている場合に「お金を受け取りにくること。」、「既に受け取っている金銭に利息は付けない。」、「損害賠償には応じられない。」などの規定を定めることはできない。
④禁止行為(6条)

特定商取引に関する法律第6条の2等の運用指針- 不実勧誘・誇大広告等の規制に関する指針」がある。

(禁止行為)
第六条 販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の締結について勧誘をするに際し、又は訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、次の事項につき、不実のことを告げる行為をしてはならない。
一 商品の種類及びその性能若しくは品質又は権利若しくは役務の種類及びこれらの内容その他これらに類するものとして主務省令で定める事項
二 商品若しくは権利の販売価格又は役務の対価
三 商品若しくは権利の代金又は役務の対価の支払の時期及び方法
四 商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期
五 当該売買契約若しくは当該役務提供契約の申込みの撤回又は当該売買契約若しくは当該役務提供契約の解除に関する事項(第九条第一項から第七項までの規定に関する事項(第二十六条第二項、第四項又は第五項の規定の適用がある場合にあつては、当該各項の規定に関する事項を含む。)を含む。)
六 顧客が当該売買契約又は当該役務提供契約の締結を必要とする事情に関する事項
七 前各号に掲げるもののほか、当該売買契約又は当該役務提供契約に関する事項であつて、顧客又は購入者若しくは役務の提供を受ける者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの
2 販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするに際し、前項第一号から第五号までに掲げる事項につき、故意に事実を告げない行為をしてはならない。
3 販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約を締結させ、又は訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、人を威迫して困惑させてはならない。
4 販売業者又は役務提供事業者は、訪問販売に係る売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げずに営業所等以外の場所において呼び止めて同行させることその他政令で定める方法により誘引した者に対し、公衆の出入りする場所以外の場所において、当該売買契約又は当該役務提供契約の締結について勧誘をしてはならない。

⑤合理的根拠を示す資料の提出(6条の2)

特定商取引に関する法律第6条の2等の運用指針- 不実勧誘・誇大広告等の規制に関する指針」がある。

(合理的な根拠を示す資料の提出)
第六条の二 主務大臣は、前条第一項第一号に掲げる事項につき不実のことを告げる行為をしたか否かを判断するため必要があると認めるときは、当該販売業者又は当該役務提供事業者に対し、期間を定めて、当該告げた事項の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。この場合において、当該販売業者又は当該役務提供事業者が当該資料を提出しないときは、次条第一項及び第八条第一項の規定の適用については、当該販売業者又は当該役務提供事業者は、同号に掲げる事項につき不実のことを告げる行為をしたものとみなす。

行政処分(7・8条・8条の2)
クーリングオフ(9条)

通常は8日以内(特商法9条1項、24条1項)

過量販売(※具体的には以下ご参照)時は1年以内に解約可(特商法9条の2第1項、24条の2第1項)。住宅リフォームの過料販売については「訪問販売又は電話勧誘販売における住宅リフォーム工事の役務提供に係る 過量販売規制に関する考え方」がある。

  • 日常生活において通常必要とされる回数、期間若しくは分量を著しく超えるもの
  • 申込者等にとつて回数若しくは期間若しくはその分量がその日常生活において通常必要とされる回数、期間若しくは分量を著しく超えることとなることを事業者側が知りながら、申込みを受けたり、又は契約締結した場合
  • 申込者等にとつて回数若しくは期間若しくはその分量がその日常生活において通常必要とされる回数、期間若しくは分量を既に著しく超えていることを事業者側が知りながら、申込みを受けたり、又は契約締結した場合
  • ただし、申込者等に当該契約の締結を必要とする特別の事情があつたときは、クーリングオフ不可(各1項但書)

 

通知を発出すればクーリングオフの効力を生じる(法9条2項)。民法97条の到達主義の例外。

 

クーリングオフに伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない(法9条3項)。これに対し、クーリングオフではなく契約解除の損害賠償額の予定又は違約金の定めがある場合は、上限あり(法10条)。

クーリングオフで商品・権利の引き取り・返還費用は事業者負担(法9条4項)。

 

商品が既に使われていたり、権利が行使されていたり、役務が提供されたときでも、商品使用・権利行使により得られた利益や、役務対価の支払いを請求できない(法9条5項)。

 

役務提供契約に関連して金銭を受領しているときは、速やかに返還(法9条6項)。6項は、出来無提供契約の性質によっては解除の効果が非遡及となるため(民法620、652等)、返還義務を明定したものであって(逐条解説64P)、商品の場合でも原状回復義務から代金は返還する(逐条解説61P)

 

申込者等の土地・建物その他の工作物の現状が変更されたときは、申込者等は、原状回復に必要な措置を無償で請求できる(法9条7項)。

 

これらより不利な特約は無効(法9条8項)。

⑧契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し(法9条の3)

(訪問販売における契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し)
第九条の三 申込者等は、販売業者又は役務提供事業者が訪問販売に係る売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするに際し次の各号に掲げる行為をしたことにより、当該各号に定める誤認をし、それによつて当該売買契約若しくは当該役務提供契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
一 第六条第一項の規定に違反して不実のことを告げる行為 当該告げられた内容が事実であるとの誤認
二 第六条第二項の規定に違反して故意に事実を告げない行為 当該事実が存在しないとの誤認
2 前項の規定による訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消しは、これをもつて善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。
3 第一項の規定は、同項に規定する訪問販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込み又はその承諾の意思表示に対する民法(明治二十九年法律第八十九号)第九十六条の規定の適用を妨げるものと解してはならない。
4 第一項の規定による取消権は、追認をすることができる時から一年間行わないときは、時効によつて消滅する。当該売買契約又は当該役務提供契約の締結の時から五年を経過したときも、同様とする。
5 民法第百二十一条の二第一項の規定にかかわらず、訪問販売に係る売買契約又は役務提供契約に基づく債務の履行として給付を受けた申込者等は、第一項の規定により当該売買契約若しくは当該役務提供契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消した場合において、給付を受けた当時その意思表示が取り消すことができるものであることを知らなかつたときは、当該売買契約又は当該役務提供契約によつて現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。

 

⑨損害賠償額の制限(法10条)

たとえ購入者等の責に帰すべき事由により契約が解除された場合であっても販売業者等が一定額を超えて損害賠償等を請求することができない旨を規定・販売業者等の責に帰すべき事由により契約が解除された場合に販売業者等が本項に定める金額に相当する違約金を請求できるという意味ではない。

約定解除に関する規定であって合意解約の場合は適用されないものの、合意解約の場合もこれに準じて取り扱うことが望ましいとされている(消費者庁逐条解説P74)。

 

  • 商品(権利)が返還された場合、通常の使用料の額(販売価格から転売可能価格を引いた額が、通常の使用料の額を超えているときにはその額)
  • 商品(権利)が返還されない場合、販売価格に相当する額
  • 役務を提供した後の解除である場合、提供した役務の対価に相当する額
  • 商品(権利)をまだ渡していない場合(役務を提供する前である場合)、契約の締結や履行に通常要する費用の額
  • これらに法定利率による遅延損害金の額が加算。
 ⑩適格消費者団体(法58条の18)

 

(訪問販売における契約の解除等に伴う損害賠償等の額の制限)
関連
第十条 販売業者又は役務提供事業者は、第五条第一項各号のいずれかに該当する売買契約又は役務提供契約の締結をした場合において、その売買契約又はその役務提供契約が解除されたときは、損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにおいても、次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める額にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える額の金銭の支払を購入者又は役務の提供を受ける者に対して請求することができない
一 当該商品又は当該権利が返還された場合 当該商品の通常の使用料の額又は当該権利の行使により通常得られる利益に相当する額(当該商品又は当該権利の販売価格に相当する額から当該商品又は当該権利の返還された時における価額を控除した額が通常の使用料の額又は当該権利の行使により通常得られる利益に相当する額を超えるときは、その額
二 当該商品又は当該権利が返還されない場合 当該商品又は当該権利の販売価格に相当する額
三 当該役務提供契約の解除が当該役務の提供の開始後である場合 提供された当該役務の対価に相当する額
四 当該契約の解除が当該商品の引渡し若しくは当該権利の移転又は当該役務の提供の開始前である場合 契約の締結及び履行のために通常要する費用の額
2 販売業者又は役務提供事業者は、第五条第一項各号のいずれかに該当する売買契約又は役務提供契約の締結をした場合において、その売買契約についての代金又はその役務提供契約についての対価の全部又は一部の支払の義務が履行されない場合(売買契約又は役務提供契約が解除された場合を除く。)は、損害賠償額の予定又は違約金の定めがあるときにおいても、当該商品若しくは当該権利の販売価格又は当該役務の対価に相当する額から既に支払われた当該商品若しくは当該権利の代金又は当該役務の対価の額を控除した額にこれに対する法定利率による遅延損害金の額を加算した金額を超える額の金銭の支払を購入者又は役務の提供を受ける者に対して請求することができない

5.特商法の適用除外(26条)

  • 営業のため、又は営業として締結するもの
  • 海外にいる人に対する販売又は役務の提供
  • 国、地方公共団体が行う販売又は役務の提供
  • 特別法に基づく組合、公務員の職員団体、労働組合がそれぞれの組合員に対して行う販売又は役務の提供
  • 事業者がその従業員に対して行う販売又は役務の提供の場合
  • 株式会社以外が発行する新聞紙の販売
  • 他の法令で消費者の利益を保護することができる等と認められるもの(例:金融商品取引法に基づき登録を受けた金融商品取引業者が行う販売又は役務の提供)

(適用除外)
第二十六条 前三節の規定は、次の販売又は役務の提供で訪問販売、通信販売又は電話勧誘販売に該当するものについては、適用しない。
一 売買契約又は役務提供契約で、第二条第一項から第三項までに規定する売買契約若しくは役務提供契約の申込みをした者が営業のために若しくは営業として締結するもの又は購入者若しくは役務の提供を受ける者が営業のために若しくは営業として締結するものに係る販売又は役務の提供
二 本邦外に在る者に対する商品若しくは権利の販売又は役務の提供
三 国又は地方公共団体が行う販売又は役務の提供
四 次の団体がその直接又は間接の構成員に対して行う販売又は役務の提供(その団体が構成員以外の者にその事業又は施設を利用させることができる場合には、これらの者に対して行う販売又は役務の提供を含む。)
イ 特別の法律に基づいて設立された組合並びにその連合会及び中央会
ロ 国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百八条の二又は地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第五十二条の団体
ハ 労働組合
五 事業者がその従業者に対して行う販売又は役務の提供
六 株式会社以外の者が発行する新聞紙の販売
七 弁護士が行う弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第三条第一項に規定する役務の提供及び同法第三十条の二に規定する弁護士法人が行う同法第三条第一項又は第三十条の五に規定する役務の提供並びに外国弁護士による法律事務の取扱い等に関する法律(昭和六十一年法律第六十六号)第二条第四号に規定する外国法事務弁護士が行う同法第三条第一項、第五条第一項、第六条第一項又は第七条に規定する役務の提供、同法第二条第五号に規定する外国法事務弁護士法人が行う同法第五十九条に規定する役務の提供及び同法第二条第六号に規定する弁護士・外国法事務弁護士共同法人が行う弁護士法第三条第一項又は外国弁護士による法律事務の取扱い等に関する法律第七十一条に規定する役務の提供
八 次に掲げる販売又は役務の提供
イ 金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第九項に規定する金融商品取引業者が行う同条第八項に規定する金融商品取引業に係る販売又は役務の提供、同条第十二項に規定する金融商品仲介業者が行う同条第十一項に規定する金融商品仲介業に係る役務の提供、同項に規定する登録金融機関が行う同法第三十三条の三第一項第六号イに規定する登録金融機関業務に係る販売又は役務の提供、同法第七十九条の十に規定する認定投資者保護団体が行う同法第七十九条の七第一項各号に掲げる業務に係る役務の提供及び同法第二条第三十項に規定する証券金融会社が行う同法第百五十六条の二十四第一項に規定する業務又は同法第百五十六条の二十七第一項各号に掲げる業務に係る役務の提供
ロ 宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)第二条第三号に規定する宅地建物取引業者(信託会社又は金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項の認可を受けた金融機関であつて、宅地建物取引業法第二条第二号に規定する宅地建物取引業を営むものを含む。)が行う同条第二号に規定する商品の販売又は役務の提供
ハ 旅行業法(昭和二十七年法律第二百三十九号)第六条の四第一項に規定する旅行業者及び同条第三項に規定する旅行業者代理業者が行う同法第二条第三項に規定する役務の提供
ニ イからハまでに掲げるもののほか、他の法律の規定によつて訪問販売、通信販売又は電話勧誘販売における商品若しくは特定権利の売買契約又は役務提供契約について、その勧誘若しくは広告の相手方、その申込みをした者又は購入者若しくは役務の提供を受ける者の利益を保護することができると認められる販売又は役務の提供として政令で定めるもの
2 第九条から第九条の三まで、第十五条の三、第十五条の四及び第二十四条から第二十四条の三までの規定は、会社法(平成十七年法律第八十六号)その他の法律により詐欺又は強迫を理由として取消しをすることができないものとされている株式若しくは出資の引受け又は基金の拠出としてされた特定権利の販売で訪問販売、通信販売又は電話勧誘販売に該当するものについては、適用しない。
3 第四条、第五条、第九条、第十八条、第十九条及び第二十四条の規定は、その全部の履行が契約の締結後直ちに行われることが通例である役務の提供として政令で定めるものであつて、訪問販売又は電話勧誘販売に該当するものの全部又は一部が、契約の締結後直ちに履行された場合(主務省令で定める場合に限る。)については、適用しない。
4 第九条及び第二十四条の規定は、次の販売又は役務の提供で訪問販売又は電話勧誘販売に該当するものについては、適用しない。
一 その販売条件又は役務の提供条件についての交渉が、販売業者又は役務提供事業者と購入者又は役務の提供を受ける者との間で相当の期間にわたり行われることが通常の取引の態様である商品又は役務として政令で定めるものの販売又は提供
二 契約の締結後速やかに提供されない場合には、その提供を受ける者の利益を著しく害するおそれがある役務として政令で定める役務の提供
5 第九条及び第二十四条の規定は、訪問販売又は電話勧誘販売に該当する販売又は役務の提供が次に掲げる場合に該当する場合における当該販売又は役務の提供については、適用しない。
一 第九条第一項に規定する申込者等又は第二十四条第一項に規定する申込者等が第四条第一項若しくは第五条第一項若しくは第二項又は第十八条第一項若しくは第十九条第一項若しくは第二項の書面を受領した場合において、その使用若しくは一部の消費により価額が著しく減少するおそれがある商品として政令で定めるものを使用し又はその全部若しくは一部を消費したとき(当該販売業者が当該申込者等に当該商品を使用させ、又はその全部若しくは一部を消費させた場合を除く。)。
二 第九条第一項に規定する申込者等又は第二十四条第一項に規定する申込者等が第四条第一項若しくは第五条第一項若しくは第二項又は第十八条第一項若しくは第十九条第一項若しくは第二項の書面を受領した場合において、相当の期間品質を保持することが難しく、品質の低下により価額が著しく減少するおそれがある商品として政令で定めるものを引き渡されたとき。
三 第五条第二項又は第十九条第二項に規定する場合において、当該売買契約に係る商品若しくは特定権利の代金又は当該役務提供契約に係る役務の対価の総額が政令で定める金額に満たないとき。
6 第四条から第十条までの規定は、次の訪問販売については、適用しない。
一 その住居において売買契約若しくは役務提供契約の申込みをし又は売買契約若しくは役務提供契約を締結することを請求した者に対して行う訪問販売
二 販売業者又は役務提供事業者がその営業所等以外の場所において商品若しくは特定権利若しくは役務につき売買契約若しくは役務提供契約の申込みを受け又は売買契約若しくは役務提供契約を締結することが通例であり、かつ、通常購入者又は役務の提供を受ける者の利益を損なうおそれがないと認められる取引の態様で政令で定めるものに該当する訪問販売
7 第十八条、第十九条及び第二十一条から前条までの規定は、次の電話勧誘販売については、適用しない。
一 売買契約若しくは役務提供契約の申込みをし又は売買契約若しくは役務提供契約を締結するために電話をかけることを請求した者(電話勧誘行為又は政令で定める行為によりこれを請求した者を除く。)に対して行う電話勧誘販売
二 販売業者又は役務提供事業者が電話勧誘行為により商品若しくは特定権利若しくは役務につき当該売買契約若しくは当該役務提供契約の申込みを郵便等により受け又は当該売買契約若しくは当該役務提供契約を郵便等により締結することが通例であり、かつ、通常購入者又は役務の提供を受ける者の利益を損なうおそれがないと認められる取引の態様で政令で定めるものに該当する電話勧誘販売
8 第十条及び前条の規定は、割賦販売(割賦販売法(昭和三十六年法律第百五十九号)第二条第一項に規定する割賦販売をいう。以下同じ。)で訪問販売又は電話勧誘販売に該当するものについては、適用しない。
9 第十一条及び第十三条の規定は、割賦販売等(割賦販売、割賦販売法第二条第二項に規定するローン提携販売、同条第三項に規定する包括信用購入あつせん又は同条第四項に規定する個別信用購入あつせんに係る販売をいう。次項において同じ。)で通信販売に該当するものについては、適用しない。
10 第二十条の規定は、割賦販売等で電話勧誘販売に該当するものについては、適用しない。

 

6.その他

(1)役務とは

役務は以下の通り、かなり幅広いものを指すと考えられる。

逐条解説8P

「役務」とは、労務や便益のことを指す。賃貸借(リース、レンタル)契約については、その取引形態に着目し、売買契約又は役務提供契約と区別して、異なる契約であると構成することも考えられるが、賃貸借の対象となるものの実際の利用に着目して役務(便益)の提供と構成することとしている。「役務を有償で提供する契約」としたのは、「売買契約」についてはその定義から有償性は明らかとなっているが、「役務」の「提供」だけでは無償で行う場合も含まれてしまうからである。 

 

 

 

*1:これ、当たり前と言えば当たり前なのだが、特商法表記時に見落としがちなので要注意

*2:結構です商法は禁止