ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

改正職業安定法に基づく募集情報等提供事業

※自分用のメモです。

 

1.概要

改正職業安定法が2022(令和4)年10月1日に施行され、「募集情報等提供」の範囲が拡大された。

従来の求人メディア・求人情報誌だけでなく、インターネット上の公開情報等からクローリングした求人情報・求職者情報を提供するサービスや他の求人メディアに掲載されている求人情報を転載するサービスについても、規制対象となった。

以下の厚労省パンフレットがわかりやすい。
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000983825.pdf

 

職業安定法上、「特定募集情報等提供」と「募集情報等提供」とに分けられ、前者は届出等が必要となり義務が重い。後者は届出は不要だが、一定の義務はある。どういう場合に「特定募集情報等提供」/「募集情報等提供」に該当するかは、以下P7が詳しい。

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000992910.pdf

 

なお、個人情報については守秘義務等は個人情報保護法を超える規制があるが、利用目的の特定等については、特段新しい規制が課せられているわけではない。もっとも、利用目的の特定の具体例が、パンフレット等(※)で示されており、これに沿った利用目的の特定が求められる。

※P4
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000983825.pdf

 

2.規制外観

以下にて、それぞれの義務を概観する。

 

義務

概要

特定募集

情報等提供

募集情報等提供

求人等に関する情報の的確な表示

(5条の4)

・虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示をしてはならない

・正確かつ最新の内容に保つための措置を講じなければならない(施行規則4条の3第4項)

*情報提供依頼者又は当該情報に自らに関する情報が含まれる者から、提供中止又は訂正の求めがあつたときは、遅滞なく、中

止又は訂正をする

*当該情報が正確でない、又は最新でないことを確認したときは、遅滞なく、情報提供依頼者に内容訂正の有無を確認し、又は提供を中止
*法4条6項の何号かによって、異なる措置をとる(労働者の募集に関する情報の時点を明らかにするなど)

求職者等の個人情報の取扱い

(5条の5、施行規則4条の4)

・業務に関し、求職者、労働者になろうとする者又は供給される労働者の個人情報は、業務の目的の達成に必要な範囲内で、インターネットの利用その他適切な方法により、当該目的を明らかにして収集し、当該収集目的の範囲内で保管・使用しなければならない。

・ただし、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。

×

・業務に関し、求職者、労働者になろうとする者又は供給される労働者の個人情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない。

特定募集情報等提供事業の届出

(43条の2)

・事業開始、廃止、届出事項変更時の届出義務

×

報酬受領の禁止

(43条の3)

・募集情報等提供に係る労働者の募集に応じた労働者から、当該募集情報等提供に関し、いかなる名義でも、報酬を受けてはならない。

×

事業概況報告書の提出

(43条の5)

・特定募集情報等提供事業の実施状況を記載した事業概況報告書を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならない

×

事業情報の公開の努力義務

(43条の6、施行規則31条の4)

・以下に関する情報提供の努力義務

*労働者の募集に関する情報の的確な表示に関する事項

*苦情の処理に関する事項

*労働者になろうとする者の個人情報を適正に管理するために講じている措置

*労働者の募集に関する情報又は労働者になろうとする者に関する情報に順位を付して表示する場合における当該順位を決定するために用いられる主要な事項(情報提供依頼者からの広告宣伝の費用その他の金銭の支払が、当該決定に影響を及ぼす可能性がある場合には、その旨を含む。)

苦情処理

(43条の7、施行規則31条の5)

・労働者になろうとする者、労働者の募集を行う者、募集受託者、職業紹介事業者その他厚生労働省令で定める者から申出を受けた当該事業に関する苦情を適切かつ迅速に処理しなければならない

・そのために必要な体制を整備しなければならない

業務改善のための努力義務

(43条の8)

・業務の運営に当たつては、その改善向上を図るために必要な措置を講ずるように努めなければならない。

守秘義務(51条)

・正当な理由なく、その業務上取り扱つたことについて知り得た人の秘密を漏らしてはならない

・業務に関して知り得た個人情報その他厚生労働省令で定める者に関する情報を、みだりに他人に知らせてはならない

・退職後も同様

×

その他、行政指導・罰則等あり

 

3.厚労省資料

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000992910.pdf

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000994542.pdf

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000983824.pdf

https://www.mhlw.go.jp/stf/shoukaibosyuukubun.html

 

以下、私の感想。

旧労働系は、法改正時のパンフレット類がとてもわかりやすい。労働法はほぼすべての事業者に影響するため、昔からわかりやすい情報発信をする工夫がされているのだろうか。今回の募集情報等提供事業は、規制対象が限定されるにもかかわらず、このようにわかりやすいパンフレットを整備していて、非常に良いと思う。すべての省庁がこうなるといいと思うし、私も法改正概要をまとめるときなどに、労働系のパンフレットのようにわかりやすい表記を心掛けたいと思った。

 

23.3.30追記

ただ、あれですね、「募集情報等提供事業の業務運営要領」の個人情報部分はわかりにくい気が。個人情報保護法と同じことを記載している箇所と、個人情報保護法で要求されていない事項や個人情報保護法を超えた要求を記載している箇所が、溶け込んで記述されているので、わかりにくいように思う。個人情報保護法のママの要求事項は、その旨を追記した方が良いのでは。

4.関連条文引用

職業安定法

(定義)

第四条 この法律において「職業紹介」とは、求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあつせんすることをいう。

⑤ この法律において「労働者の募集」とは、労働者を雇用しようとする者が、自ら又は他人に委託して、労働者となろうとする者に対し、その被用者となることを勧誘することをいう。

⑥ この法律において「募集情報等提供」とは、次に掲げる行為をいう。

一 労働者の募集を行う者等(労働者の募集を行う者、募集受託者(第三十九条に規定する募集受託者をいう。第三号、第五条の三第一項、第五条の四第一項及び第二項並びに第五条の五第一項において同じ。)又は職業紹介事業者その他厚生労働省令で定める者(以下この項において「職業紹介事業者等」という。)をいう。第四号において同じ。)の依頼を受け、労働者の募集に関する情報を労働者になろうとする者又は他の職業紹介事業者等に提供すること。

二 前号に掲げるもののほか、労働者の募集に関する情報を、労働者になろうとする者の職業の選択を容易にすることを目的として収集し、労働者になろうとする者等(労働者になろうとする者又は職業紹介事業者等をいう。次号において同じ。)に提供すること。

三 労働者になろうとする者等の依頼を受け、労働者になろうとする者に関する情報を労働者の募集を行う者、募集受託者又は他の職業紹介事業者等に提供すること。

四 前号に掲げるもののほか、労働者になろうとする者に関する情報を、労働者の募集を行う者の必要とする労働力の確保を容易にすることを目的として収集し、労働者の募集を行う者等に提供すること。

⑦ この法律において「特定募集情報等提供」とは、労働者になろうとする者に関する情報を収集して行う募集情報等提供をいう。

⑪ この法律において「特定募集情報等提供事業者」とは、第四十三条の二第一項の規定による届出をして特定募集情報等提供事業を行う者をいう。

 

(求人等に関する情報の的確な表示)

第五条の四 公共職業安定所、特定地方公共団体及び職業紹介事業者、労働者の募集を行う者及び募集受託者、募集情報等提供事業を行う者並びに労働者供給事業者は、この法律に基づく業務に関して新聞、雑誌その他の刊行物に掲載する広告、文書の掲出又は頒布その他厚生労働省令で定める方法(以下この条において「広告等」という。)により求人若しくは労働者の募集に関する情報又は求職者若しくは労働者になろうとする者に関する情報その他厚生労働省令で定める情報(第三項において「求人等に関する情報」という。)を提供するときは、当該情報について虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示をしてはならない。

③ 公共職業安定所、特定地方公共団体及び職業紹介事業者、募集情報等提供事業を行う者並びに労働者供給事業者この法律に基づく業務に関して広告等により求人等に関する情報を提供するときは、厚生労働省令で定めるところにより正確かつ最新の内容に保つための措置を講じなければならない

〇施行規則

(法第五条の四に関する事項)

第四条の三 法第五条の四第一項の厚生労働省令で定める方法は、書面の交付の方法、ファクシミリを利用してする送信の方法若しくは電子メール等の送信の方法又は著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)第二条第一項第八号に規定する放送、同項第九号の二に規定する有線放送若しくは同項第九号の五イに規定する自動公衆送信装置その他電子計算機と電気通信回線を接続してする方法その他これらに類する方法とする。

2 法第五条の四第一項の厚生労働省令で定める情報は、次のとおりとする。

一 自ら又は求人者、労働者の募集を行う者若しくは労働者供給を受けようとする者に関する情報

二 法に基づく業務の実績に関する情報

4 法第五条の四第三項の規定により、求人等に関する情報を提供するに当たつては、次に掲げる措置を講じなければならない。

一 当該情報の提供を依頼した者又は当該情報に自らに関する情報が含まれる者から、当該情報の提供の中止又は内容の訂正の求めがあつたときは、遅滞なく、当該情報の提供の中止又は内容の訂正をすること。

二 当該情報が正確でない、又は最新でないことを確認したときは、遅滞なく、当該情報の提供を依頼した者にその内容の訂正の有無を確認し、又は当該情報の提供を中止すること。

三 次のイからヘまでに掲げる区分に応じ、当該イからヘまでに定める措置

ロ 法第四条第六項第一号に掲げる行為に該当する募集情報等提供の事業を行う者 次に掲げるいずれかの措置

(1) 労働者の募集に関する情報の提供を依頼した者に対し、当該労働者の募集が終了したとき又は当該労働者の募集の内容が変更されたときは、速やかにその旨を当該募集情報等提供事業を行う者に通知するよう依頼すること。

(2) 労働者の募集に関する情報の時点を明らかにすること。

ハ 法第四条第六項第二号に掲げる行為に該当する募集情報等提供の事業を行う者 次に掲げるいずれかの措置

(1) 労働者の募集に関する情報を定期的に収集し、及び更新し、並びに当該収集及び更新の頻度を明らかにすること。

(2) 労働者の募集に関する情報を収集した時点を明らかにすること。

ニ 法第四条第六項第三号に掲げる行為に該当する募集情報等提供の事業を行う者 次に掲げるいずれかの措置

(1) 労働者になろうとする者に関する情報の提供を依頼した者に対し、当該情報を正確かつ最新の内容に保つよう依頼すること。

(2) 労働者になろうとする者に関する情報の時点を明らかにすること。

ホ 法第四条第六項第四号に掲げる行為に該当する募集情報等提供の事業を行う者 次に掲げるいずれかの措置

(1) 労働者になろうとする者に関する情報を定期的に収集し、及び更新し、並びに当該収集及び更新の頻度を明らかにすること。

(2) 労働者になろうとする者に関する情報を収集した時点を明らかにすること。

ヘ 労働者供給事業者 次に掲げるいずれかの措置

(1) 労働者供給を受けようとする者又は供給される労働者に対し、定期的に労働者供給又は供給される労働者に関する情報が最新かどうかを確認すること。

(2) 労働者供給又は供給される労働者に関する情報の時点を明らかにすること。

 

(求職者等の個人情報の取扱い)

第五条の五 公共職業安定所、特定地方公共団体、職業紹介事業者及び求人者、労働者の募集を行う者及び募集受託者、特定募集情報等提供事業者並びに労働者供給事業者及び労働者供給を受けようとする者(次項において「公共職業安定所等」という。)は、それぞれ、その業務に関し、求職者、労働者になろうとする者又は供給される労働者の個人情報(以下この条において「求職者等の個人情報」という。)を収集し、保管し、又は使用するに当たつては、その業務の目的の達成に必要な範囲内で、厚生労働省令で定めるところにより、当該目的を明らかにして求職者等の個人情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならないただし、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない

② 公共職業安定所等は、求職者等の個人情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない。

〇施行規則

(法第五条の五に関する事項)

第四条の四 法第五条の五第一項の規定により業務の目的を明らかにするに当たつては、インターネットの利用その他適切な方法により行うものとする。

 

第三章の三 募集情報等提供事業

(特定募集情報等提供事業の届出

第四十三条の二 特定募集情報等提供事業を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、氏名又は名称及び住所その他の厚生労働省令で定める事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。

② 特定募集情報等提供事業者は、前項の規定により届け出た事項に変更があつたときは、遅滞なく、厚生労働省令で定めるところにより、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。

③ 特定募集情報等提供事業者は、第一項の規定による届出に係る特定募集情報等提供事業を廃止したときは、遅滞なく、厚生労働省令で定めるところにより、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。

 

報酬受領の禁止

第四十三条の三 特定募集情報等提供事業者は、その行つた募集情報等提供に係る労働者の募集に応じた労働者から、当該募集情報等提供に関し、いかなる名義でも、報酬を受けてはならない。

 

事業の停止

第四十三条の四 厚生労働大臣は、特定募集情報等提供事業者が第五条の五、前条若しくは第五十一条の規定又は第四十八条の三第一項の規定に基づく命令に違反したときは、期間を定めて当該特定募集情報等提供事業の全部又は一部の停止を命ずることができる。

 

事業概況報告書の提出

第四十三条の五 特定募集情報等提供事業者は厚生労働省令で定めるところにより、その行う特定募集情報等提供事業の実施の状況を記載した事業概況報告書を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならない。

 

事業情報の公開

第四十三条の六 募集情報等提供事業を行う者は厚生労働省令で定めるところにより、労働者の募集に関する情報の的確な表示に関する事項、苦情の処理に関する事項その他厚生労働省令で定める事項に関し情報の提供を行うように努めなければならない

〇施行規則
 (法第四十三条の六に関する事項)

第三十一条の四 法第四十三条の六の規定による情報の提供は、インターネットの利用その他適切な方法により行うものとする。

2 法第四十三条の六の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。

一 法第五条の五第二項の規定に基づき労働者になろうとする者の個人情報を適正に管理するために講じている措置

二 労働者の募集に関する情報又は労働者になろうとする者に関する情報に順位を付して表示する場合における当該順位を決定するために用いられる主要な事項(当該情報の提供を依頼した者からの当該募集情報等提供事業を行う者に対する広告宣伝の費用その他の金銭の支払が、当該決定に影響を及ぼす可能性がある場合には、その旨を含む。)

 

苦情の処理

第四十三条の七 募集情報等提供事業を行う者は、労働者になろうとする者、労働者の募集を行う者、募集受託者、職業紹介事業者その他厚生労働省令で定める者から申出を受けた当該事業に関する苦情を適切かつ迅速に処理しなければならない。

② 募集情報等提供事業を行う者は、前項の目的を達成するために必要な体制を整備しなければならない。

〇施行規則
(法第四十三条の七に関する事項)

第三十一条の五 法第四十三条の七第一項の厚生労働省令で定める者は、第四条第一項に定める者とする。

 

(事業者団体等の責務)

第四十七条の三 職業紹介事業者又は募集情報等提供事業を行う者を直接又は間接の構成員(以下この項において「構成員」という。)とする団体(次項において「事業者団体」という。)は、職業紹介事業又は募集情報等提供事業の適正な運営の確保及び求職者又は労働者になろうとする者の保護が図られるよう、構成員に対し、必要な助言、協力その他の援助を行うように努めなければならない。

 

(指導及び助言)

第四十八条の二 厚生労働大臣は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、募集情報等提供事業を行う者、労働者供給事業者及び労働者供給を受けようとする者に対し、その業務の適正な運営を確保するために必要な指導及び助言をすることができる。

 

(改善命令等)

第四十八条の三 厚生労働大臣は、職業紹介事業者、労働者の募集を行う者、募集受託者、募集情報等提供事業を行う者又は労働者供給事業者が、その業務に関しこの法律の規定又はこれに基づく命令の規定に違反した場合において、当該業務の適正な運営を確保するために必要があると認めるときは、これらの者に対し、当該業務の運営を改善するために必要な措置を講ずべきことを命ずることができる。

② 厚生労働大臣は、求人者又は労働者供給を受けようとする者が、第五条の三第二項若しくは第三項の規定に違反しているとき、若しくは第五条の六第三項の規定による求めに対して事実に相違する報告をしたとき、又はこれらの規定に違反して前条の規定による指導若しくは助言を受けたにもかかわらずなおこれらの規定に違反するおそれがあると認めるときは、当該求人者又は労働者供給を受けようとする者に対し、第五条の三第二項若しくは第三項又は第五条の六第三項の規定の違反を是正するために必要な措置又はその違反を防止するために必要な措置を執るべきことを勧告することができる。

③ 厚生労働大臣は、労働者の募集を行う者に対し第一項の規定による命令をした場合又は前項の規定による勧告をした場合において、当該命令又は勧告を受けた者がこれに従わなかつたときは、その旨を公表することができる。

 

厚生労働大臣に対する申告)

第四十八条の四 特定地方公共団体、職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、募集情報等提供事業を行う者、労働者供給事業者又は労働者供給を受けようとする者がこの法律の規定又はこれに基づく命令の規定に違反する事実がある場合においては、当該特定地方公共団体若しくは職業紹介事業者に求職の申込みをした求職者、当該募集に応じた労働者、当該募集情報等提供事業を行う者から募集情報等提供を受け当該募集情報等提供に係る労働者の募集に応じた労働者若しくは当該募集情報等提供事業を行う者により自らに関する情報を提供された労働者又は当該労働者供給事業者から供給される労働者は、厚生労働大臣に対し、その事実を申告し、適当な措置を執るべきことを求めることができる。

② 厚生労働大臣は、前項の規定による申告があつたときは、必要な調査を行い、その申告の内容が事実であると認めるときは、この法律に基づく措置その他適当な措置を執らなければならない。

      

(募集情報等提供事業を行う者の責務)

第四十三条の八 募集情報等提供事業を行う者は、労働者の適切な職業の選択に資するため、その業務の運営に当たつては、その改善向上を図るために必要な措置を講ずるように努めなければならない

 

(報告及び検査)

第五十条 行政庁は、この法律を施行するために必要な限度において、厚生労働省令で定めるところにより、職業紹介事業を行う者(第二十九条第一項の規定により無料の職業紹介事業を行う場合における特定地方公共団体を除く。)、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、募集情報等提供事業を行う者(募集情報等提供事業を行う場合における地方公共団体を除く。)、労働者供給事業を行う者又は労働者供給を受けようとする者に対し、必要な事項を報告させることができる。

② 行政庁は、この法律を施行するために必要な限度において、所属の職員に、職業紹介事業を行う者(第二十九条第一項の規定により無料の職業紹介事業を行う場合における特定地方公共団体を除く。)、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、募集情報等提供事業を行う者(募集情報等提供事業を行う場合における地方公共団体を除く。)、労働者供給事業を行う者又は労働者供給を受けようとする者の事業所その他の施設に立ち入り、関係者に質問させ、又は帳簿、書類その他の物件を検査させることできる。

③ 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

④ 第二項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

 

(秘密を守る義務等)

第五十一条 職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、特定募集情報等提供事業者、労働者供給事業者及び労働者供給を受けようとする者(以下この条において「職業紹介事業者等」という。)並びにこれらの代理人、使用人その他の従業者は、正当な理由なく、その業務上取り扱つたことについて知り得た人の秘密を漏らしてはならない。職業紹介事業者等及びこれらの代理人、使用人その他の従業者でなくなつた後においても、同様とする。

② 職業紹介事業者等及びこれらの代理人、使用人その他の従業者は、前項の秘密のほか、その業務に関して知り得た個人情報その他厚生労働省令で定める者に関する情報を、みだりに他人に知らせてはならない。職業紹介事業者等及びこれらの代理人、使用人その他の従業者でなくなつた後においても、同様とする。

 

第六十三条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、これを一年以上十年以下の懲役又は二十万円以上三百万円以下の罰金に処する。

一 暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行い、又はこれらに従事したとき。

二 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介、労働者の募集、募集情報等提供若しくは労働者の供給を行い、又はこれらに従事したとき。

 

第六十四条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、これを一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

一 第三十条第一項の規定に違反したとき。

一の二 偽りその他不正の行為により、第三十条第一項の許可、第三十二条の六第二項(第三十三条第四項において準用する場合を含む。)の規定による許可の有効期間の更新、第三十三条第一項の許可、第三十六条第一項の許可又は第四十五条の許可を受けたとき。

二 第三十二条の九第二項(第三十三条第四項、第三十三条の二第七項及び第三十三条の三第二項において準用する場合を含む。)の規定による事業の停止の命令に違反したとき。

三 第三十二条の十(第三十三条第四項、第三十三条の二第七項及び第三十三条の三第二項において準用する場合を含む。)の規定に違反したとき。

四 第三十二条の十一第一項の規定に違反したとき。

五 第三十三条第一項の規定に違反したとき。

六 第三十三条の三第二項において準用する第三十二条の九第一項の規定による事業の廃止の命令に違反したとき。

七 第三十六条第一項の規定に違反したとき。

八 第四十一条第一項(第四十六条において準用する場合を含む。)の規定による労働者の募集の業務若しくは労働者供給事業の停止又は第四十一条第二項の規定による労働者の募集の業務の廃止若しくは停止の命令に違反したとき。

九 第四十三条の四の規定による特定募集情報等提供事業の停止の命令に違反したとき。

十 第四十四条の規定に違反したとき。

 

第六十五条 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、これを六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

一 第十一条第三項の規定に違反したとき。

二 第三十二条の三第一項又は第二項の規定に違反したとき。

三 第三十三条の二第一項又は第三十三条の三第一項の規定による届出をしないで、無料の職業紹介事業を行つたとき。

四 第三十六条第二項又は第三項の規定に違反したとき。

五 第三十七条の規定による制限又は指示に従わなかつたとき。

六 第三十九条、第四十条又は第四十三条の三の規定に違反したとき。

七 第四十三条の二第一項の規定による届出をしないで、特定募集情報等提供事業を行つたとき。

八 第四十八条の三第一項の規定による命令に違反したとき。

九 虚偽の広告をなし、又は虚偽の条件を提示して、職業紹介、労働者の募集、募集情報等提供若しくは労働者の供給を行い、又はこれらに従事したとき。

十 虚偽の条件を提示して、公共職業安定所又は職業紹介を行う者に求人の申込みを行つたとき。

十一 労働条件が法令に違反する工場事業場等のために、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行い、又はこれに従事したとき。