ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

匿名診療等関連情報(医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案)

医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案の匿名…情報について。きちんと整理はせずに、断片的なメモです。

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健康保険法、国民健康保険法、健康保険法、高齢者の医療の確保に関する法律(高確法)、介護保険法、国民年金法、社会保険診療報酬支払基金法改正。

改正内容は、

1.オンライン資格確認の導入【健康保険法、国民健康保険法、高齢者の医療の確保に関する法律(高確法)】

・ オンライン資格確認の導入に際し、資格確認の方法を法定化するとともに、個人単位化する被保険者番号について、個人情報保護の観点から、健康保険事業の遂行等の目的以外で告知を求めることを禁止(告知要求制限)する。

2.オンライン資格確認や電子カルテ等の普及のための医療情報化支援基金の創設【地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律】

3.NDB、介護DB等の連結解析等【高確法、介護保険法、健康保険法】

医療保険レセプト情報等のデータベース(NDB)と介護保険レセプト情報等のデータベース(介護DB)について、各DBの連結解析を可能とするとともに、公益目的での利用促進のため、研究機関等への提供に関する規定の整備(審議会による事前審査、情報管理義務、国による検査等)を行う。(DPCデータベースについても同様の規定を整備。)

4.高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施等【高確法、国民健康保険法、介護保険法】

・ 75歳以上高齢者に対する保健事業を市町村が介護保険の地域支援事業等と一体的に実施することができるよう、国、後期高齢者医療広域連合、市町村の役割等について定めるとともに、市町村等において、各高齢者の医療・健診・介護情報等を一括して把握できるよう規定の整備等を行う。

5.被扶養者等の要件の見直し、国民健康保険の資格管理の適正化【健康保険法、国民年金法、国民健康保険法】

(1) 被用者保険の被扶養者等の要件について、一定の例外を設けつつ、原則として、国内に居住していること等を追加する。

(2) 市町村による関係者への報告徴収権について、新たに被保険者の資格取得に関する事項等を追加する。

6.審査支払機関の機能の強化【社会保険診療報酬支払基金法、国民健康保険法】

(1) 社会保険診療報酬支払基金(支払基金)について、本部の調整機能を強化するため、支部長の権限を本部に集約する。

(2) 医療保険情報に係るデータ分析等に関する業務を追加する(支払基金国保連共通)。

(3) 医療の質の向上に向け公正かつ中立な審査を実施する等、審査支払機関の審査の基本理念を創設する(支払基金国保連共通)。

7.その他

・ 未適用事業所が遡及して社会保険に加入する等の場合に発生し得る国民健康保険と健康保険の間における保険料の二重払いを解消するため、所要の規定を整備する。【国民健康保険法】

 

※社会保障審議会医療保険部会資料(平成31年1月17日)

 

  • 匿名診療等関連情報とは、
    診療等関連情報に係る特定の被保険者その他の厚生労働省令で定める者(「本人」)を識別すること及びその作成に用いる診療等関連情報を復元することができないようにするために厚生労働省令で定める基準に従い加工した診療等関連情報をいう(健康保険法150条の2第1項)
  • 匿名診療等関連情報の提供を受けることができるものは以下(同項)
    一 国の他の行政機関及び地方公共団体 適正な保健医療サービスの提供に資する施策の企画及び立案に関する調査
    二 大学その他の研究機関 疾病の原因並びに疾病の予防、診断及び治療の方法に関する研究その他の公衆衛生の向上及び増進に関する研究
    三 民間事業者その他の厚生労働省令で定める者 医療分野の研究開発に資する分析その他の厚生労働省令で定める業務(特定の商品又は役務の広告又は宣伝に利用するために行うものを除く。)
  • 診療等関連情報とは、
    保険医療機関のうち病院であって厚生労働省令で定めるものに入院する患者に提供する医療の内容その他の厚生労働大臣が定める情報(健康保険法77条3項)
  • 電子資格確認とは、
    保険医療機関等(第六十三条第三項各号に掲げる病院若しくは診療所又は薬局をいう。)から療養を受けようとする者又は第八十八条第一項に規定する指定訪問看護事業者から同項に規定する指定訪問看護を受けようとする者が、保険者に対し、個人番号カードに記録された利用者証明用電子証明書を送信する方法により、被保険者又は被扶養者の資格に係る情報(保険給付に係る費用の請求に必要な情報を含む。)の照会を行い、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により、保険者から回答を受けて当該情報を当該保険医療機関等又は指定訪問看護事業者に提供し、当該保険医療機関等又は指定訪問看護事業者から被保険者又は被扶養者であることの確認を受けることをいう(健康保険法3条13項)
  • 匿名医療保険等関連情報とは、
    医療保険等関連情報に係る特定の被保険者その他の厚生労働省令で定める者(「本人」)を識別すること及びその作成に用いる医療保険等関連情報を復元することができないようにするために厚生労働省令で定める基準に従い加工した医療保険等関連情報をいう(高齢者の医療の確保に関する法律第十六条の二第一項)
    提供を受けられる者は、健康保険法とパラレル
    ※参考→改正後高確法16条
    (医療費適正化計画の作成等のための調査及び分析等)
    第十六条 厚生労働大臣は、全国医療費適正化計画及び都道府県医療費適正化計画の作成、実施及び評価に資するため、次に掲げる事項に関する情報(以下「医療保険等関連情報」という。)について調査及び分析を行い、その結果を公表するものとする。
    一 医療に要する費用に関する地域別、年齢別又は疾病別の状況その他の厚生労働省令で定める事項
    二 医療の提供に関する地域別の病床数の推移の状況その他の厚生労働省令で定める事項
    2 保険者及び後期高齢者医療広域連合は、厚生労働大臣に対し、医療保険等関連情報を、厚生労働省令で定める方法により提供しなければならない。
    3 厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、都道府県及び市町村に対し、医療保険等関連情報を、厚生労働省令で定める方法により提供するよう求めることができる。
  • 匿名介護保険等関連情報とは、
    介護保険等関連情報に係る特定の被保険者その他の厚生労働省令で定める者(「本人」)を識別すること及びその作成に用いる介護保険等関連情報を復元することができないようにするために厚生労働省令で定める基準に従い加工した介護保険等関連情報をいう(介護保険法第百十八条の三第一項)
    ※参考 改正後118条の2
    市町村介護保険事業計画の作成等のための調査及び分析等)
    第百十八条の二 厚生労働大臣は、市町村介護保険事業計画及び都道府県介護保険事業支援計画の作成、実施及び評価並びに国民の健康の保持増進及びその有する能力の維持向上に資するため、次に掲げる事項に関する情報(以下「介護保険等関連情報」という。)について調査及び分析を行い、その結果を公表するものとする。
    一 介護給付等に要する費用の額に関する地域別、年齢別又は要介護認定及び要支援認定別の状況その他の厚生労働省令で定める事項
    二 被保険者の要介護認定及び要支援認定における調査に関する状況その他の厚生労働省令で定める事項
    2 市町村は、厚生労働大臣に対し、介護保険等関連情報を、厚生労働省令で定める方法により提供しなければならない。
    3 厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、都道府県及び市町村に対し、介護保険等関連情報を、厚生労働省令で定める方法により提供するよう求めることができる。

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