ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

次世代医療基盤法改正

次世代医療基盤法に法改正がありました。

書籍への修正が間に合うか微妙ですが、とりあえずブログにまとめます。

 

 改正

令和元年9月14日施行

成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律に基づく改正

 (医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律の一部改正)
第二条 医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律(平成二十九年法律第二十八号)の一部を次のように改正する。
  第八条第三項第一号ハ(1)を次のように改める。
    (1) 心身の故障により匿名加工医療情報作成事業を適正に行うことができない者として主務省令で定めるもの

次世代医療基盤法への溶け込み

(認定)
第八条  匿名加工医療情報作成事業を行う者(法人に限る。)は、申請により、匿名加工医療情報作成事業を適正かつ確実に行うことができるものと認められる旨の主務大臣の認定を受けることができる。 
2  (略)
3  主務大臣は、第一項の認定の申請が次に掲げる基準に適合すると認めるときは、同項の認定をしなければならない。 
一  申請者が次のいずれにも該当しないこと。 
イ (略)
ロ (略)
ハ 匿名加工医療情報作成事業を行う役員又は主務省令で定める使用人のうちに次のいずれかに該当する者があるもの
(1) 心身の故障により匿名加工医療情報作成事業を適正に行うことができない者として主務省令で定めるもの

(2)以下略  

次世代医療基盤法施行規則

(心身の故障により匿名加工医療情報作成事業を適正に行うことができない者)
第四条の二  法第八条第三項第一号ハ(1)の主務省令で定めるものは、精神の機能の障害により匿名加工医療情報作成事業を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者とする。 

改正前後比較

改正前

3 主務大臣は、第一項の認定の申請が次に掲げる基準に適合すると認めるときは、同項の認定をしなければならない。
一 申請者が次のいずれにも該当しないこと。
イ この法律その他個人情報の適正な取扱いに関する法律で政令で定めるもの又はこれらの法律に基づく命令の規定に違反し、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
ロ 第十五条第一項又は第十六条第一項(これらの規定を第二十九条において準用する場合を含む。)の規定により認定を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
ハ 匿名加工医療情報作成事業を行う役員又は主務省令で定める使用人のうちに次のいずれかに該当する者があるもの
(1) 成年被後見人若しくは被保佐人又は外国の法令上これらに相当する者
(2) 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者又は外国の法令上これに相当する者
(3) この法律その他個人情報の適正な取扱いに関する法律で政令で定めるもの又はこれらの法律に基づく命令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者
(4) 第一項又は第二十八条の認定を受けた者が第十五条第一項又は第十六条第一項(これらの規定を第二十九条において準用する場合を含む。)の規定により認定を取り消された場合において、その処分のあった日前三十日以内に当該認定に係る事業を行う役員又は主務省令で定める使用人であった者で、その処分のあった日から二年を経過しないもの

改正後

3  主務大臣は、第一項の認定の申請が次に掲げる基準に適合すると認めるときは、同項の認定をしなければならない。 
一  申請者が次のいずれにも該当しないこと。 イ この法律その他個人情報の適正な取扱いに関する法律で政令で定めるもの又はこれらの法律に基づく命令の規定に違反し、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者ロ 第十五条第一項又は第十六条第一項(これらの規定を第二十九条において準用する場合を含む。)の規定により認定を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者ハ 匿名加工医療情報作成事業を行う役員又は主務省令で定める使用人のうちに次のいずれかに該当する者があるもの(1) 心身の故障により匿名加工医療情報作成事業を適正に行うことができない者として主務省令で定めるもの(2) 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者又は外国の法令上これに相当する者(3) この法律その他個人情報の適正な取扱いに関する法律で政令で定めるもの又はこれらの法律に基づく命令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者(4) 第一項又は第二十八条の認定を受けた者が第十五条第一項又は第十六条第一項(これらの規定を第二十九条において準用する場合を含む。)の規定により認定を取り消された場合において、その処分のあった日前三十日以内に当該認定に係る事業を行う役員又は主務省令で定める使用人であった者で、その処分のあった日から二年を経過しないもの
趣旨

成年後見制度を利用していることをもって資格等から一律に排除する扱いを改め、資格等に相応しい能力の有無を個別的・実質的に審査・判断する仕組み(個別審査規定)へと見直されました。具体的な仕組みについては、それぞれの資格等を所管する担当省庁が適正に整備し、運用していくことになります。具体的には、「成年被後見人又は被保佐人」といったこれまでの形式的な条項を削除し、「心身の故障により業務を適正に行うことができない」等の個別審査規定を整備し、これに該当するかを審査・判断することとなります。

https://www.mhlw.go.jp/content/newsletter-17-2019.7.3.pdf

 

www.nikkei.com