医療保険の当事者間の法的関係性についてのメモです。
登場人物:患者(被保険者+α)、保険者(健康保険組合、市町村国保、国保組合等)、保険医療機関、審査支払機関(支払基金、国保連=国民健康保険団体連合会)、厚生労働大臣
保険者と保健医療機関の関係
- 公法上の契約関係(双務契約)。厚生労働大臣が個別の保険者に代わって、医療機関との契約を締結する(第三者のためにする契約)。裁判例では、診療報酬請求の減点査定について争われてきた。
- 近時の通説では、保険医療機関の指定自身は行政処分であり、かかる行政処分の効果として保険者と保険医療機関との間で公法上の契約関係が成立するとの解釈。
- 保険医療機関は保険者の履行補助者とする見解もある→厚労省資料の11ページ。
健康保険法
- (組合管掌健康保険)
- 第六条 健康保険組合は、その組合員である被保険者の保険を管掌する。
- (保険給付の種類)
- (療養の給付)
- 第六十三条 被保険者の疾病又は負傷に関しては、次に掲げる療養の給付を行う。
- 一 診察
- 二 薬剤又は治療材料の支給
- 三 処置、手術その他の治療
- 四 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
- 五 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
- 第六十三条 被保険者の疾病又は負傷に関しては、次に掲げる療養の給付を行う。
保険者と審査支払機関の関係
小泉規制改革
- 診療報酬審査支払事務について、保険者の直接審査や民間への委託が可能に。医科・歯科レセは医療機関の同意を得る。調剤レセは薬局の同意を得る(医療機関の同意は撤廃)。
- 支払基金か国保連か、審査支払機関を選択できる(健康保険法76条5項、国保45条6項)。
- 保険者は保険医療機関と割引契約を締結できる(健康保険法76条3項)。
参考文献
- 石田道彦「医療保険制度と契約」
- 社会保障判例百選
- 厚労省資料(医療機関の未収金問題に関する検討会資料)