ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

マイナポータルで特別定額給付金の申請をしてみた際に思った雑感

スマホからもPCからもやってみましたが、「システムエラーが発生しました。お手数ですが、お問い合わせフォームからお問い合わせください。」になってしまいました。エラーコードは特に表示なし。最後までいって、署名のところまでいって、最後に出ます。

住所変更もしてないし、有効期限内なのに、なぜなのか?

 

問合せしても、なんか問合せ多そうだし、とりあえず、問い合わせはしないで様子を見ようかな。紙申請でもいいし。

 

→2020.5.7 AM8時

再度PCからやってみたら、エラーが出ずに、出来た。一時的なタイムアウトか何かだったのか??

 

これからやるかたへのアドバイスとしては、以下かと

  • 自分が設定している暗証番号を正確に思い出す必要があるので、ヒントのメモなどがあれば、それを用意してからやった方が良い
    (5回間違うとロックされて、市区町村役場に行かないといけません)
  • 口座名義人のカナ氏名と口座番号が記載されている通帳やキャッシュカードの写真を撮りましょう。
  • 自分の世帯員の氏名を正確に入力する

 

で、今日は、マイナポータルから申請をやってみた感想をブログに書きたいと思います。

 

やってみて思ったこと(UX的な話)

  • iPhone用のマイナポータルAPが、インストールしても、うまく起動できない。削除して、再インストールして、端末を再起動したらうまくいったけど、それをやってくれるユーザばかりではないだろうし、UXとしては望ましくない。アプリを修正できるなら修正すべきだと思う。
    どの事業者がいくらで請け負ったのか。そしてどういう理由でこういう現象が起きているのか。直せるならなぜ直さないのか、はっきりと聞いてみたい。
  • コロナや10万円と書いていなくて、「特別定額給付金」になっているのでわかりづらい? ただ、マイナポータルから既に万単位の申請が来ているっぽいので、意外と、「特別定額給付金」でも迷わず遷移できるのか?赤字で目立つから?
    全国民へ訴求していくためには、行政用語を正確に使うことより、パッとわかりやすい名称を使うべきだと思う。
  • 券面読み取りしても、フリガナだけは読み取れないので、自分で入力する必要がある? それに気づかず、何がエラーかがわからなかったりする可能性がある。
  • 一度保存すると、保存データを読み込んで再開する必要ある? 念のため保存しておいて、続きをどんどん進めたい人向けのUXではないかも??
  • 世帯員の氏名を入力する必要はないのでは? 氏名を間違えたり、別の世帯の人を記入されてしまっても、結局、住民票の世帯情報の人数で計算するしかないのだし。正確な住基情報は自治体で持っているのだから。
    入力する国民側の手間にもなり、かつ受け取る自治体にとっても意味がないかも??国民側だって、誤入力、タイプミス、変換ミスがありえて、それでエラーになっても…。
  • 銀行の支店コードを国民に入力させるのは不親切かも? でもまあ、キャッシュカードに書いてある?
  • キャッシュカードの画像って、「口座番号、カナ氏名等が分かるもの」が要求されているが、私が持っているみずほ銀行のクレジットカード・キャッシュカード一体型だと、クレジットカードなので、ローマ字で名前が書いてあるだけで、これ、NG??通帳も、表紙だとカナ氏名が書いておらず、めくらないと書いていなかった。結構、要件を満たさない画像が来てしまうかも??
  • 水道料や住民税引き落とし口座、児童手当受給口座なら、キャッシュカードのコピー不要(さらにいえば、口座番号等の入力も不要)というのは、マイナポータル申請だとなぜないのか?
  • これ、スマホで全てやるのは結構大変かなあと思った。ただ、私はスマホよりPCの方が慣れているからだけかも。PCからなら特に大変ではない。多くの人はスマホ利用かと思い、スマホのUIを見てみたかったのでスマホからやったけど、PC向きかなあ、と。

 

マイナポータル個人情報保護方針について

  • マイナポータル個人情報保護方針5で「マイナポータルでは、氏名、生年月日その他一般的に個人を識別できる情報は、収集しておりません。利用者が登録した情報(ニックネーム、電子メールアドレス等)は情報提供にかかる事務においてのみ使用します。」とあります。
  • これは、わかりづらいのではないでしょうか。マイナポータルで4情報を持ちたくないからという意味はわかりますが、申請時に氏名、生年月日、家族情報等を入力させ、マイナポータルを経由して、各自治体等にその申請情報が渡るわけですから、「マイナポータルでは氏名等は、収集しておりません」というのは不正確だと思います。
  • ただ、この保護方針、構成が複雑すぎて、それによって、上記の「不正確」は「不正確」とはいえない状態になっているのだと思います。詳細は以下の通りです。
  • マイナポータル個人情報保護方針1で「マイナポータルにおいて提供するサービス(各種の情報提供、ご意見の受付等)の円滑な運営に必要な範囲で、マイナポータルを利用される皆様の情報を収集しています。収集した情報は、利用目的の範囲内で適切に取り扱います」と書いてあります。
  • そしてマイナポータル個人情報保護方針2(3)で「マイナポータル上の各コーナー等において収集する情報の範囲及び利用目的については、各コーナー等において明記します」とあります。
  • ぴったりサービス(特別定額給付金の申請ができるコーナー)は「各コーナー」扱いで、「ぴったりサービス個人情報保護方針」というのが、別途あります。
    こちらの2(2)で「お問い合わせの受付を行うメールフォームのご利用にあたっては、お名前、メールアドレス等(以下「利用者属性」という。)の記入をお願いすることがあります。なお、メールにてお問い合わせの受付を行う場合は、差出人のメールアドレスは受信者側に表示されます。」と書いてあります。つまり、ぴったりサービスでは氏名を取得することがあって、マイナポータル個人情報保護方針は各コーナー以外を説明しているという構成なのでしょう。しかし、ぴったりサービスで氏名を取得しているのに、マイナポータル個人情報保護方針で、氏名を収集しませんというのは、不正確なように思います(法的には、各コーナーの方が個別規定で、個別規定の方が基本方針より優先適用されると考える?? 本当は、優先条項も入れておいた方が良いが。)
  • あと、ぴったりサービス個人情報保護方針では、利用目的が具体的に特定されておらず、修正したほうが良いと思います。まあ、申請情報の利用目的は、取得の状況からみて利用目的が明らかであると思われるので、法的には、利用目的の通知等不要です(行政機関個人情報保護法4条4号(民間でいう個人情報保護法18条4項4号と同様))。