ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

測量成果の公表

測量成果は個人情報ではないのかという論点について検討するための、個人的基礎資料のまとめ。

 

 

測量法

 

基本測量
  • 「基本測量」とは、すべての測量の基礎となる測量で、国土地理院の行うものをいう(4条)
  • 国土交通大臣は、基本測量の測量成果のうち地図その他一般の利用に供することが必要と認められるものについては、これらを刊行し、又はこれらの内容である情報を電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法をいう。以下同じ。)であつて国土交通省令で定めるものにより不特定多数の者が提供を受けることができる状態に置く措置をとらなければならない(27条2項)
    3 国土地理院の長は、基本測量の測量成果及び測量記録を保管し、国土交通省令で定めるところにより、これを一般の閲覧に供しなければならない。(27条3項)
公共測量
  • 「公共測量」とは、基本測量以外の測量で次に掲げるものをいい、建物に関する測量その他の局地的測量又は小縮尺図の調製その他の高度の精度を必要としない測量で政令で定めるものを除く(5条)
    一 その実施に要する費用の全部又は一部を国又は公共団体が負担し、又は補助して実施する測量
    二 基本測量又は前号の測量の測量成果を使用して次に掲げる事業のために実施する測量で国土交通大臣が指定するもの
    イ 行政庁の許可、認可その他の処分を受けて行われる事業
    ロ その実施に要する費用の全部又は一部について国又は公共団体の負担又は補助、貸付けその他の助成を受けて行われる事業
  • 測量計画機関は、公共測量の測量成果を得たときは、遅滞なく、その写を国土地理院の長に送付しなければならない。(40条1項)
  • 国土地理院の長は、第四十条第一項の測量成果の写し及び同条第二項の測量記録の写しを保管し国土交通省令で定めるところにより、これらを一般の閲覧に供しなければならない。(42条1項)
    2 前項に規定する測量成果の写し及び測量記録の写しの謄本又は抄本の交付を受けようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、国土地理院の長に申請をしなければならない。この場合においては、第二十八条第二項の規定を準用する。(42条2項)
  • 「測量計画機関」とは、前二条に規定する測量を計画する者をいう。測量計画機関が、自ら計画を実施する場合には、測量作業機関となることができる。(7条)
  • 測量成果」とは、当該測量において最終の目的として得た結果をいい、「測量記録」とは、測量成果を得る過程において得た作業記録をいう。(9条)
  • 測量結果の複製申請の例 https://www.city.niihama.lg.jp/soshiki/tokei/sokuryouseikanoshouninnshinsei.html

 

国土地理院 個人情報保護・二次利用促進に関するガイドライン

※某会議で教えていただきました。ありがとうございます。

https://www.gsi.go.jp/chirikukan/guideline.html

 

地理空間情報の活用における個人情報の取扱いに関するガイドライン 

https://www.gsi.go.jp/common/000055897.pdf

基本的なことが書いてある。基礎知識がある人は特に読まないでもよいかもしれない。

 

地理空間情報の活用における個人情報の取扱いに関するガイドライン測量成果等編)

https://www.gsi.go.jp/common/000063604.pdf

※但し平成23年のものなので、現在の画像データのレベルは不明。

 

  • 測量は、現地実測、あるいは空中写真等を使用して、地物、地貌を計測し、表現するものであり、測量の結果、作製される地図等は、基本的には現実を抽象化して記号等で表現されたものであり、外部から確認できるものが記載される。
    公共測量作業規程を作成するための一般的な規範である「作業規程の準則」の付属資料の公共測量標準図式における数値地形図データ取得分類コード表は、一般的に公共測量で数値地形図を作成するときに取得する地物等に網羅的にコードを付しているものであるが、外部から確認できる現実のものを抽象化して表現しているものであり、単独で特定の個人を識別する情報はない。
  • また、空中写真や衛星画像の画像データについては、デジタル航空カメラの出現により撮影された画像の解像度が高くなり、空中写真においては人影程度であれば識別できるようになったものの、現状の技術レベルで撮影し提供されている空中写真の解像度(地上画素寸法 5cm 程度)では、特定の個人を識別することはできない。(空中写真の解像度については、「4 主な地理空間情報の利用・提供推進の考え方」を参照)
  • 他方、測量記録の点の記においては、測量標の利用者が所在地及び所有者の確認の目的に作成されるものである。したがって、点の記では、作業者の氏名や土地の所有者の氏名が記載されているものであり、単体で特定の個人を識別できる可能性がある。しかし、点の記の作成時には、土地の所有者等から承諾を得て、その際に、点の記が閲覧によって公開されること等について、本人の確認を取ったり、承諾書等に公開することを明記するなど、個人情報を含む情報の公開のための手続きを行っている。この手続きを経た場合、個人情報保護法の提供制限の例外規定が適用され、個人情報を含む情報を提供することができる。
    また、公共測量成果の地図においては、利用目的に応じて個人の氏名が記載されている場合がある。この場合は、個人情報を含むため、取扱いに注意しなければならない。
  • 他の情報と照合することで個人情報になる場合有
  • このガイドラインはすごく丁寧に説明もあるし検討もされているし、図示も丁寧で良いと思う。

 

地理空間情報二次利用促進に関するガイドライン

https://www.gsi.go.jp/common/000056028.pdf

 

地理空間情報二次利用促進に関するガイドライン測量成果等編)

https://www.gsi.go.jp/common/000063605.pdf

 

 

測量のデジタル化等の資料

昔の資料だが、測量のデジタル化等について参考になる資料(平成17年11月11日国土地理院「第 10 回農業・土地住宅 WG(土地住宅分野)国土交通省ヒアリングにおける質問事項③に対する回答」)

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/old/minutes/wg/2005/1111/item051111_02-03.pdf

 

公共測量成果のビジネス利用可とのグレーゾーン解消制度

https://aigid.jp/?page_id=569

 

 感想

測量成果がどの程度の解像度なのか等、成果のデータの具体的内容・精度によって、個人情報該当性や個人情報保護の話は変わってくるように思う。ただ個人情報であっても、公共財的な価値から、公開が義務付けられているということか?測量や固定資産税資料などでどのようなデータがあるのかがよくわからないので、なんともいえないので、勉強していこうかと思う。