10万円一律給付、申請方法を限定した方が、一般論としては処理が速いと思います。なので、今から述べる方法はかえって遅いと思っていましたが、封筒がない、プレ印字に時間がかかるという報道を見て、逆に今から述べる方法の方が、早いのではとも思い出しましたので、ブログに書きたいと思います。
方法としては、年金や児童手当の受給口座、地方税や水道や国民健康保険料の口座振替している口座を活用するという方法です。年金と児童手当の受給口座だけで、概算で4千万人分ぐらい、申請なしに、振り込むことができるのではないでしょうか。
国や自治体では、国民の銀行口座を把握しています。ただ、全国民の口座を把握しているわけではなくて、例えば、上に書いたような目的に限って、把握しているわけです。これを活用する方法を今日はブログに書きたいと思います。
年金や児童手当の受給口座に、申請なしに、勝手に振り込むという方法です。しかしこの方法を取ると、誰に振り込んで、誰に振り込んでいないかを全国民分管理するという処理が発生します。ここで効果を発揮するのがマイナンバーです。マイナンバーは一人一つなので、このマイナンバーにはこの口座に振り込んだというのを管理すれば、二重払いは防ぐことができます。
具体的には以下の方法が考えられます。
1.既に10万円支給を始めている自治体名をリストアップし、そこの住民は、今からいう方法からは除外する
- 手渡しなどで既に支給できているところは、その方法の方が速いだろうから、除く。
- 自治体名から該当する住民票住所地の範囲を特定でき、それで除外できるはず。
- J-LISの住基ネット情報を使うのが一番良い(住基法法改正が必要なら速やかに対応する)ので、J-LISの全住民情報(以下「全住民リスト」と呼ぶ)をまずは保管する。そしてそこから、既に10万円支給を始めている自治体の住民にフラグをたてておいて除外する。
2.日本年金機構で、年金の受給口座に勝手に振り込んでしまい、振込済の住民のマイナンバーを控えて、除外する
- 年金はマイナンバーを使う事務(個人番号利用事務)なので、年金受給者の情報とマイナンバーが既に紐づいている。
- 日本年金機構で一括処理できるならそうしてしまい、「全住民リスト」で除外フラグが立っている人を除いて、口座が分かる人すべてに振り込んでしまう。そして振込済のマイナンバーを、控えておく。「全住民リスト」に、日本年金機構で振込済の住民にフラグを立てておいて除外する。
- 日本年金機構でこの処理ができない事情がある場合、各自治体で対応しなければならず、3に年金分も織り込むことになる?
- この2だけで、4千万人分振り込める可能性あり
平成30年2月現在年金受給者数は44,818,961人で、そのうち口座振り込みを選択している人が多いはずなので。
夫婦同時に振り込んでいるような気もするが、それは夫婦2人分のマイナンバーを1個の振り込みで除外フラグを立てておく。 - また、国民年金保険料を支払っている人は、6千万人ぐらい? そのうち口座振替納付の人の割合を仮に1割で見積もったとして、600万人程度に振り込める。
厚生年金系は事業所経由で支払われるので、事業所の口座に振り込んでしまうと、事業所が従業員分を勝手に使ってしまう問題も発生しかねないので、国民年金だけの加入者で個人の口座振替をしている人だけに振り込む? - 2を先にやるのが、一番人数が多そうなので2を先にやるのがいいと思ったけど、これを本当にやると、「なぜ年金受給者だけ優遇されるのか!本当に困っているのは、年金支給額が変わらない人じゃなくて、解雇になった労働者、時給労働の労働者、個人事業主、中小企業だ!」と批判が殺到しそうなので、その場合4→3→2の順にするということも考えられる。
3.自治側で把握している口座に勝手に振り込んでしまい、振込済の住民のマイナンバーを控えて、除外する
- 児童手当で受給口座を把握している住民データ、地方税で振替口座等を把握している住民データ、国民健康保険で振替口座等を把握している住民データを、マイナンバー付きでリスト化(CSVデータなどでシステムから吐き出す)。これらは個人番号利用事務なので、これらの住民情報とマイナンバーを紐づけることは技術的に可能。
- 水道料金の振替口座や、その他、個人番号利用事務以外で、口座を把握しているものを特定する。これらも可能なら、上記と同様の処理をする。
- 出来上がったリストをくっつける。同じマイナンバーが2件あれば、それは重複データということ。児童手当と地方税で同じ人の口座を把握しているということで、これは1とカウントして、どちらかを優先して、どちらかを削除しないといけない(優先順位を国で決めておかないと混乱が起きるので国で決める)。でも、マイナンバーさえあれば、同一人の重複を排除できる。このプログラムが必要なので、これは国で開発して、各自治体に配る。そんなに難しいプログラムではないはず。
- そして、「全住民リスト」で除外フラグが立っている人を除いて、一人のマイナンバーには一回の振り込みを行う。「全住民リスト」に、今回振り込んだ住民にフラグを立てておいて除外する。
- ただし3の一番上の●の、既存事務からのデータ吐き出しは、各自治体で対応する必要がある。もしこれに時間がかかる自治体がいれば、この対応はあきらめ、4に移るという手もあり得る。もっとも、通常のパッケージシステムであれば、リスト化(CSV等の吐き出し)は通常機能でついているのではないかとも思う(要調査)
- 児童手当受給者数は900万人程度? ただ、対象の児童も把握できるでしょうから、対象児童は保護者口座に振り込んでしまえば、2000万人分ぐらい、これでカバーできますか?
- 水道料の口座振替は豊中市アンケートだと27%だけ。しかも過去に1度でもやったことがある人なので、生きている口座だと、もっと少ない?
4.国税庁(税務署)で把握している口座に勝手に振り込んでしまい、振込済の住民のマイナンバーを控えて、除外する
- 国税庁で把握している銀行口座の数・種類にもよるが、2と3以外の口座があるかどうか。あまりないなら、この4はカットする。ありそうならカットしない。
5.マイナンバーカードなしで、マイナンバーが分かる人はスマホ・パソコンから電子申請できるようにする
- 4までやったうえで、電子申請を受け付ける
- マイナンバーカードを持っている人は少ないので、マイナンバーカードなしで電子申請できるようにする
- ただ、自分のマイナンバーが分かる人しか、電子申請できない
- この電子申請で申請を受け付けて、既に振り込み済みのマイナンバーから申請が来た場合は、「全住民リスト」を参照しながら、エラーではじく。振込未済の場合は振込処理をする。で、「全住民リスト」に、振込済の住民にフラグを立てておいて除外する。
6.紙で、申請できるようにする
- ここまでやると、1~5でかなり対象者が減っているはず。そうすると、返信用封筒不足問題、封筒への宛名付け・書類挿入問題、プレ印字問題、配送する郵便局の負荷問題、人の目で本人確認書類や銀行口座名義人をチェックするという自治体側の負荷が、抑えられるのではないか。
上記においてマイナンバーを利用する法的根拠については、別日に別途ブログを書いて検討します(このマイナンバーの法的根拠こそが私の専門ですので)。