ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

マイナンバー法改正(情報提供用個人識別符号関連)

マイナンバー法改正、今回のデジタル手続法と一緒に行われた分、別表第一と第二の追加程度と、あとは通知カード廃止程度だと思って、あまりよく見ていなかったところ、「機関別符号」(昔でいうところの「リンクコード」)関連の改正があったので、ブログにメモしておきます。

政令事項から法律事項への格上げですかね。と思ったけど、戸籍法改正関係の話が加わってますね。国会答弁を見たけど、大した情報は発言されていないので、資料請求してよく検討する必要があろうかと思ってます。

 ※19/6/27総務省令更新(令和元年六月十九日公布(令和元年総務省令第十五号)改正)

 

番号法

(情報提供用個人識別符号の取得)
第二十一条の二  情報照会者又は情報提供者(以下この条において「情報照会者等」という。)は、情報提供用個人識別符号(第十九条第七号又は第八号の規定による特定個人情報の提供を管理し、及び当該特定個人情報を検索するために必要な限度で第二条第五項に規定する個人番号に代わって用いられる特定の個人を識別する符号であって、同条第八項に規定する個人番号であるものをいう。以下この条及び第四十五条の二第一項において同じ。)総務大臣から取得することができる。 
2  前項の規定による情報提供用個人識別符号の取得は、政令で定めるところにより、情報照会者等が取得番号当該取得に関し割り当てられた番号であって、当該情報提供用個人識別符号により識別しようとする特定の個人ごとに異なるものとなるように割り当てられることにより、当該特定の個人を識別できるもののうち、個人番号又は住民票コードでないものとして総務省令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)を、機構を通じて総務大臣に対して通知し、及び総務大臣が当該取得番号と共に当該情報提供用個人識別符号を、当該情報照会者等に対して通知する方法により行うものとする。 
3  情報照会者等、総務大臣及び機構は、第一項の規定による情報提供用個人識別符号の取得に係る事務を行う目的の達成に必要な範囲を超えて、取得番号を保有してはならない。 
4  前項に規定する者は、同項に規定する目的以外の目的のために取得番号を自ら利用してはならない。 
5  第十九条(第五号及び第十二号から第十六号までに係る部分に限る。)の規定は、第三項に規定する者による取得番号の提供について準用する。この場合において、同条中「次の」とあるのは「第二十一条の二第二項の規定による通知を行う場合及び次の」と、同条第十二号中「第三十五条第一項」とあるのは「第二十一条の二第八項において準用する第三十五条第一項」と読み替えるものとする。 
6  前項(次項において準用する場合を含む。)において準用する第十九条(第五号及び第十二号から第十六号までに係る部分に限る。)の規定により取得番号の提供を受けた者は、その提供を受けた目的の達成に必要な範囲を超えて、当該取得番号を保有してはならない。 
7  第四項及び第五項の規定は、前項に規定する者について準用する。この場合において、第四項中「同項に規定する」とあるのは、「その提供を受けた」と読み替えるものとする。 
8  第六章の規定は、取得番号の取扱いについて準用する。この場合において、第三十三条中「個人番号利用事務等実施者」とあるのは「第二十一条の二第三項又は第六項に規定する者」と、第三十六条中「第十九条第十四号」とあるのは「第二十一条の二第五項(同条第七項において準用する場合を含む。)において準用する第十九条第十四号」と読み替えるものとする。 

(特定個人情報の提供)
第二十二条  情報提供者は、第十九条第七号の規定により特定個人情報の提供を求められた場合において、当該提供の求めについて第二十一条第二項の規定による総務大臣からの通知を受けたときは、政令で定めるところにより、情報照会者に対し、当該特定個人情報を提供しなければならない。 
2  前項の規定による特定個人情報の提供があった場合において、他の法令の規定により当該特定個人情報と同一の内容の情報を含む書面の提出が義務付けられているときは、当該書面の提出があったものとみなす。 

 

水町コメント:令和元年法律第十七号、戸籍法の一部を改正する法律 による改正っぽい。戸籍でマイナンバーを使わず、機関別符号で管理するための措置の模様。取得番号は、機関別符号取得のための番号か。要調査・精査。

 

番号法施行令

(特定個人情報の提供の求めがあった場合の総務大臣の措置)
第二十六条  総務大臣は、法第十九条第七号の規定により特定個人情報の提供の求めがあった場合において、当該提供の求めに係る情報提供者が当該特定個人情報に係る本人に係る情報提供用個人識別符号を取得しているときは、法第二十一条第二項各号に掲げる場合を除き、当該情報提供者に対し、当該情報提供用個人識別符号、当該特定個人情報の項目及び当該提供の求めをした情報照会者の名称その他総務省令で定める事項を通知するものとする。 
2  総務大臣は、法第十九条第七号の規定により特定個人情報の提供の求めがあった場合において、当該提供の求めに係る情報提供者が当該特定個人情報に係る本人に係る情報提供用個人識別符号を取得していないときは、法第二十一条第二項各号に掲げる場合を除き、当該提供の求めをした情報照会者に対し、当該情報提供者が当該特定個人情報に係る本人に係る情報提供用個人識別符号を取得していない旨を通知するものとする。 
3  前項の規定による通知を受けた情報照会者は、同項の情報提供者に対し、同項の特定個人情報に係る本人に係る情報提供用個人識別符号を取得するよう求めることができる。この場合において、当該情報照会者は、当該情報提供者に対し、当該特定個人情報に係る本人の氏名、出生の年月日、男女の別及び住所を通知するものとする。 
4  総務大臣は、法第十九条第七号の規定により特定個人情報の提供の求めがあった場合において、法第二十一条第二項各号のいずれかに該当するときは、当該提供の求めをした情報照会者に対し、その旨を通知するものとする。 
5  第一項、第二項及び前項の規定による通知は、総務省令で定めるところにより、総務大臣の使用に係る電子計算機から情報提供ネットワークシステムを使用して第一項の情報提供者又は第二項若しくは前項の情報照会者の使用に係る電子計算機に送信する方法により行うものとする。 
6  総務大臣は、次条第五項の規定による情報提供用個人識別符号の生成並びに第一項及び第二項の規定による通知に関する事務を適切に処理するため、一の情報提供用個人識別符号により識別される特定の個人と他の情報提供用個人識別符号により識別される特定の個人とが同一の者であるかどうかを確認することができるように、それぞれの情報提供用個人識別符号及び同条第五項の規定による通知先を情報提供ネットワークシステムに記録して、これを管理するものとする。 

(情報提供用個人識別符号の取得)
第二十七条  情報照会者又は情報提供者(以下この条において「情報照会者等」という。)は、法第二十一条の二第二項の規定により情報提供用個人識別符号を取得しようとするときは、機構に対し、当該取得に係る取得番号及び当該情報提供用個人識別符号により識別しようとする特定の個人の個人番号その他総務省令で定める事項(次項において「通知事項」という。)を通知するものとする。 
2  前項の規定による通知は、次のいずれかの方法により行うものとする。 
一  総務省令で定めるところにより、情報照会者等の使用に係る電子計算機から電気通信回線を通じて機構の使用に係る電子計算機に通知事項を送信する方法 
二  総務省令で定めるところにより、情報照会者等から通知事項を記録した電磁的記録媒体(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって電子計算機による情報処理の用に供されるものに係る記録媒体をいう。第三十条において同じ。)を機構に送付する方法 
3  機構は、情報照会者等から第一項の規定による通知を受けたときは、総務大臣に対し、同項の取得番号及び同項の特定の個人に係る住民票に記載された住民票コードを通知するものとする。 
4  前項の規定による通知は、総務省令で定めるところにより、機構の使用に係る電子計算機から電気通信回線を通じて総務大臣の使用に係る電子計算機に送信する方法により行うものとする。 
5  総務大臣、第三項の規定による通知を受けたときは、総務省令で定めるところにより、情報提供ネットワークシステムを使用して、次に掲げる要件に該当する情報提供用個人識別符号を生成し、速やかに、同項の情報照会者等に対し、第一項の取得番号を付して通知するものとする。 
一  第三項の住民票コードを変換して得られるものであること。 
二  前号の住民票コードを復元することのできる規則性を備えるものでないこと。 
三  当該情報照会者等が取得した他のいずれの情報提供用個人識別符号とも異なること。 
四  第一項の特定の個人について他のいずれの情報照会者等が取得した情報提供用個人識別符号とも異なること。 
6  前項の規定による通知は、総務省令で定めるところにより、総務大臣の使用に係る電子計算機から情報提供ネットワークシステムを使用して情報照会者等の使用に係る電子計算機に送信する方法により行うものとする。 

(情報照会者又は条例事務関係情報照会者による特定個人情報の提供の求め)
第二十条  情報照会者による法第十九条第七号の規定による特定個人情報の提供の求めは、総務省令で定めるところにより、情報照会者の使用に係る電子計算機から情報提供ネットワークシステムを使用して総務大臣の使用に係る電子計算機に、当該特定個人情報に係る本人に係る情報提供用個人識別符号、当該特定個人情報の項目及び当該特定個人情報を保有する情報提供者の名称その他総務省令で定める事項を送信する方法により行うものとする。 
2  前項の規定は、法第十九条第八号の規定による条例事務関係情報照会者による特定個人情報の提供の求めについて準用する。この場合において、同項中「情報提供者」とあるのは、「条例事務関係情報提供者」と読み替えるものとする。 

 

総務省

行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の規定による通知カード及び個人番号カード並びに情報提供ネットワークシステムによる特定個人情報の提供等に関する省令

(特定個人情報の提供の求めがあった場合の総務大臣の措置に係る通知の方法等)
第四十一条 令第二十六条第一項の総務省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。
一 法第十九条第七号の規定による提供の求めがあった特定個人情報を保有する情報提供者の名称
二 法第十九条第七号の規定による提供の求めの日時
三 前条第二項第二号から第四号までに掲げる事項
四 法第二十一条第二項の規定による提供の求めがあった旨の通知の有効期間
五 前各号に掲げるもののほか、総務大臣が定める事項
2 令第二十六条第五項の規定による通知は、電子計算機の操作によるものとし、情報提供ネットワークシステムを使用した送信の方法に関する技術的基準については、総務大臣が定める。
3 情報提供者が法第二十一条第二項の規定による提供の求めがあった旨の通知を受けた場合において、当該通知の有効期間内に当該情報提供者による法第二十二条第一項の規定による特定個人情報の提供が行われることなく当該期間を経過したときは、当該期間を経過した日に法第二十一条第二項の規定による提供の求めがあった旨の通知は、その効力を失う。
(取得番号)
第四十一条の二 法第二十一条の二第二項の総務省令で定めるものは、総務大臣が定めるところにより生成された取得番号とすべき番号のうち、情報照会者等が情報提供用個人識別符号により識別しようとする特定の個人ごとに異なるものとなるように割り当てた番号とする。
(情報照会者等による通知事項の通知の方法)
第四十二条 令第二十七条第二項第一号及び第二号の規定による通知は、電子計算機の操作によるものとし、電気通信回線を通じた送信又は電磁的記録媒体の送付の方法に関する技術的基準については、総務大臣が定める。
(機構による住民票コードの通知の方法)
第四十三条 令第二十七条第四項の規定による通知は、電子計算機の操作によるものとし、電気通信回線を通じた送信の方法に関する技術的基準については、総務大臣が定める。
(住民票コードの通知を受けた場合の総務大臣の措置)
第四十四条 総務大臣は、令第二十七条第三項の規定により住民票コードの通知を受けた場合において、同条第一項の規定による通知をした情報照会者等が同項の特定の個人に係る情報提供用個人識別符号を取得していないときは、情報提供ネットワークシステムを使用して、当該特定の個人に係る情報提供用個人識別符号を生成し、速やかに、当該情報照会者等に対し、通知するものとする。
2 総務大臣は、令第二十七条第三項の規定により住民票コードの通知を受けた場合において、同条第一項の規定による通知をした情報照会者等が同項の特定の個人に係る情報提供用個人識別符号を取得しているときは、情報提供ネットワークシステムを使用して、速やかに、当該情報照会者等に対し、既に当該情報提供用個人識別符号を取得している旨を通知するものとする。
総務大臣による情報提供用個人識別符号の通知の方法)
第四十五条 令第二十七条第六項の規定による通知は、電子計算機の操作によるものとし、情報提供ネットワークシステムを使用した送信の方法に関する技術的基準については、総務大臣が定める。

 

水町コメント:以前のブログでは改正前の総務省令を貼り付けていたので、修正。取得番号の定義を定める総務省令も41条の2にあった。

ただ、e-Govでは最新総務省令が反映されているのに、私の契約している有料法令検索だと、最新総務省令が出てこない。なぜ?有料なのに?e-Govは総務省所管だから総務省令の反映は早いのか?

 

 

 

〇国会議事録より

第198回国会 法務委員会 第15号
令和元年五月二十三日(木曜日)

○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 戸籍と十二桁のマイナンバーそのものをひも付けることによりますと、マイナンバーから戸籍の情報が漏れるのではないか、こういったような国民の懸念を配慮いたしまして、この法律案では戸籍とマイナンバーとを直接ひも付けない方策を取ることとしております。
 具体的には、法務大臣におきまして、戸籍の副本から、情報連携におきます情報提供のために必要となる戸籍関係情報を整備するわけでございますが、戸籍関係情報と十二桁のマイナンバーに代わって、各行政機関において用いられます符号であります情報提供用個人識別符号とをひも付けて管理することとしております。
石井苗子君 直接的にはひも付けていないんですけれども、これ、よく詳しく見ると、情報提供ネットワークシステムを介して間接的にはこれひも付いているということになりませんか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 なかなかその間接的にひも付けられているかどうかという、そこのどう考えるかということにもよろうかと思いますが、あくまでもこの情報提供用個人識別符号といいますものは特定個人情報の連携のために用いられる符号でありまして、十二桁のマイナンバーそのものではないということでございます。
 もちろん、今回のこの情報連携がマイナンバー制度を活用したものであるということは、ここは事実でございます。
石井苗子君 つまり、戸籍というのは我々の生活に密着しているものですので、やっぱり、直接的にはひも付いていないけど間接的には分かるんだということになると、これは、マイナンバー制度とはそういう意味では間接的にはひも付いておりますという御説明を受けたということでよろしいかと思うんですが。
 

○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 このマイナンバー制度に基づく情報連携のために法務大臣が新たに作成する戸籍関係情報でございますが、磁気ディスクをもって調製された戸籍又は除かれた戸籍の副本に記録されている情報を用いて作成するものでございまして、これらの戸籍又は除籍の副本に記録されている情報は、現在でも法務大臣が保管、管理しているものでございます。
○仁比聡平君 現在もデータベースは保管、管理している。しかし、現在は、七十五条にあるように、市区町村から管轄法務局に電気通信回線を通じて送信しなければならないとしているだけであって、逆のルートはないわけですね。それから、蓄積したデータベースから何か別の提供する、あるいは利用する情報を統合して分析して作成をするというものは、ここにももちろん書かれていないわけです。
 今度の法案は、国が例えば名寄せしたり検索したりすることによって戸籍情報から新たな利用すべき情報を作成する、そういう仕組みであって、マイナンバーとひも付けて提供するという情報ももちろんあるでしょう。けれども、その提供する情報を作成できる以上、コンピューターシステムの能力としては、あらゆる情報を国民が知らないうちに作成するということが可能になるんじゃありませんか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 新たなシステムをつくることによりまして、その副本からこのデータを、副本のデータを利用して戸籍関係情報とつくるわけですが、そういったようなものから、例えば名寄せですとか、あるいはそういったような機能、検索機能を付けるかどうかは、これは、そういう機能を設ければ当然にできるということではないと思います。
 今回のこのシステムは、マイナンバー制度を利用した情報連携ですとか、あるいは戸籍内事務連携に必要な事務を行うために新たなシステムを構築するものでございまして、そういったような名寄せですとか検索といったような機能というものを設けるということは考えていないというものでございます。
○仁比聡平君 考えていないということなので、絶対につくらないという保証を私は是非求めたいと思うんです。今はシステムの中身は分からないわけで、どんなものがつくられるかというのはこれからの話ということになってしまうし、それは巨大IT企業の手によってつくられるということになるわけです。
 一たびそうやって蓄積された情報が不正に閲覧され、取得され、漏えいされてしまったというときの危険というのは、先ほど局長が答弁でおっしゃっていたような、事後の処罰だとか不法行為法による規制だとか、あるいは懲戒だとか、そういうものでは取り返しの付かない甚大なものになるわけですね。
 一つ確認をしますけれども、このシステムが動き始めたら、全国の市区町村の戸籍実務担当者、それから民間委託を受けているところであればその受託業者の社員、これ、全国あらゆる戸籍情報にアクセスすることができるようになるし、これが万が一不正に取得され、漏えいされるということになったら、これまでは市区町村管理ですから市区町村の範囲なんですよね、それでも。これ全国版ということになるんじゃありませんか。
○政府参考人(小野瀬厚君) お答えいたします。
 まず、ちょっと先ほど検索機能のことを申し上げましたけれども、戸籍の事務に必要な範囲での検索機能といいますものは、これは当然にできるようにはしたいと思っておりますけれども、御指摘のその閲覧の範囲につきましては、ここでやはり戸籍の事務に必要ということになりますれば、当該市区町村以外の戸籍情報にも接することはできるわけでございます。
 ただ、現行法の下でも、アクセス記録の保存など、職員が不正にシステムを使用して戸籍に関する情報を参照するような行為を防止するために必要な措置が講じられているところでございますが、新しいシステムにおきましては、さらに不正閲覧の疑いがある場合には、警告表示をして、それを法務省において把握できるような対応等も取ることを予定しております。また、これに加えまして、これも事後のことではございますが、この法律案では、不正に取得された戸籍情報を不当に第三者に提供するなどした者に対して一年以下の懲役を含む罰則を設けるなどの法制上の保護措置を講ずることとしております。
 このようなことから、新しいシステムについては、戸籍情報の不当閲覧等に対する抑止力を高めているところでございます。

 

 

第198回国会 内閣委員会 第18号
令和元年五月二十三日(木曜日)

○田村智子君 本当にあらゆる情報のひも付けが必要なのかということで、更に聞きたいんですけれども、今回の法案で、国外転出者がマイナンバーカードを利用できるようにするためだとして、戸籍の付票の記載事項に氏名、住所、生年月日、性別という四情報と住民票コードを追加して、戸籍の付票ネットワークを構築することとしているんですね。これ、国外転出者のためとしていますけれども、全ての国民の戸籍の付票に住民票コードなどが書き込まれることになるんです。この付票というのは、住民票の異動など、つまり、住所履歴が全部書かれたものですね。
 一方、先ほど指摘したように、戸籍法改定によって、今度は戸籍の副本、これ自治体が持っている戸籍の記載事項が全てバックアップされていて、これオールジャパンで国が一元管理するんですね。この戸籍の副本のデータベース化を行い、全国で参照できるようにしようとしているんです。また、マイナンバーとの連携によって、こうした身分関係のデータベースも構築しようとしています。これ、どのように行っていくのかは全て政令に委ねられているということなんですね。
 法務省の検討会の報告では、住民基本台帳と一対一対応となる付票を利用するとしています。つまりは、付票にこの四情報と住基コードを追加するとしている本法案の改正を前提に行われていくことになるんじゃないんでしょうか。
○政府参考人(向井治紀君) お答えいたします。
 付票に基本四情報が先生御指摘のとおり記載されるという法案が法務委員会で審議されていると思いますが、マイナンバー制度におけますその情報連携、これ自体は、マイナンバーそのものではなくて、マイナンバーを暗号化した情報提供個人識別符号、これは各機関ごとに違います、税なら税、年金なら年金ごとに違う符号がございまして、この符号で個人情報をやり取りする仕組みとなっております。
 戸籍のマイナンバーのひも付けというふうに御質問されましたけど、戸籍そのものはマイナンバーはそのまま使わないということでございますので、使うものは、法務省が持っている、情報の連携に使う情報提供用個人識別符号というものを使うということになります。
 マイナンバーを直接保有しない法務大臣におきましては、この情報提供用の個人識別符号を取得しないといけないということになりますので、それは総務大臣から取得することになりますが、これは通常ですとマイナンバーで個人識別符号を取得するんですが、法務大臣は所有しておりませんので、本籍地の市町村がマイナンバーの代わりに戸籍の付票に記載されます氏名、性別、生年月日、住所を地方公共団体情報システム機構に通知することによって取得する仕組みとなっているということでございます。

 

 

 

第198回国会 法務委員会 第15号
令和元年五月十日(金曜日)

○浜地委員 公明党浜地雅一です。
 きょう、私、最後の質疑者でございまして、大分質問もかぶるかと思いますが、最後に質疑をしますと、ふだん野党の皆様方の御苦労もわかるかなと思っております。済みません、質問がかぶることの理由づけでございまして……(発言する者あり)いや、そうでございません、済みません。
 それで、ちょっと基本的なところからお聞きするしかないわけでございますけれども、今回、戸籍制度のマイナンバー制度参加ということによりまして、先ほどから山下大臣に対しても、やはり個人情報の保護、情報漏えいについて、さまざま御指摘がございました。そして、山下法務大臣は、法務省自体は、今回、マイナンバー自体の取得をしないんだよということで御答弁をされていたわけでございます。
 そこで、これは基本中の基本でございますけれども、きょう、資料一で、法務省がいわゆるマイナンバー自体を取得しないという仕組みについて、これは内閣官房の方でつくっていただきましたので、これについて御説明をいただきたいというふうに思います。
○向井政府参考人 お答えいたします。
 マイナンバー制度におけます情報連携は、国が管理する専用の情報提供ネットワークシステム、この資料一でいきますと、この黄色い部分でございますけれども、これにおいて、行政機関ごとに異なるよう暗号化された情報提供用個人識別符号を用いて、異なる行政機関の間で特定の情報をやりとりする仕組みとなってございます。
 この仕組みを前提に、法務大臣が情報連携により戸籍関係情報を提供する仕組みにつきましては、具体例で申し上げますと、例えば、この1、右上でございますけれども、この図の1におきまして、例えば児童扶養手当等の手続だといたしますと、申請者が情報照会者である機関A、これは児童扶養手当の場合だと都道府県ないし市町村になろうかと思いますが、の窓口で十二桁のマイナンバーを、申請とともにマイナンバーを提供いたします。
 そうしますと、1から2のように、当該マイナンバーに対応する機関Aにおけます情報提供用の個人識別符号、図では機関別符号Aと書いてございますが、を用いて情報提供ネットワークシステムに対して情報照会を行い、さらに、3で情報提供ネットワークシステムのコアシステムにおきまして、照会がなされた機関別符号Aに対応する法務大臣における機関別符号Bによって法務大臣に情報照会が通知されるということになります。
 法務大臣におきまして、5のところでございますけれども、情報提供用個人識別符号、この機関別符号Bに対応する戸籍関係情報が直接、情報照会者である機関Aに提供される、こういう仕組みになっているところでございます。
○浜地委員 私も、マイナンバー制度創設のときに内閣委員会に所属しておりましたので、このことは実は聞いておったんですが、改めて、この戸籍法の審議をする上で確認をさせていただいたところでございます。
 マイナンバー自体を、各行政機関が持っている機関別符号、これが結局、各機関ごとにございますので、いわゆるマイナンバー自体は取得をせずに、この機関別符号で連携をとっていくということだろうというふうに思っています。
 この表でいきますと、機関Bの法務省のところの戸籍の副本というのが副本データシステムのことを指そうかと思っております。
 これだけの制度があるのに、今回は、法務省は新たなネットワークを構築する必要がありますという答弁が先ほどございましたけれども、私からも、このマイナンバー制度の情報提供ネットワークシステムがあり、かつ、これは情報として持っている戸籍の副本データシステムがあるのに、なぜ新たに法務省がシステムを構築しなければならないのかという基本的な点について御答弁をいただきたいと思います。
○小野瀬政府参考人 お答えいたします。
 この法律案に基づきまして新たに構築するシステムは、既存の戸籍副本データ管理システムの仕組みを活用して、これを発展させるものでございます。現在の戸籍副本データ管理システムはバックアップ機能を持っているのみでございますけれども、この法案によります各種の施策を実現するためには、例えば、マイナンバー法に基づく情報連携を可能とするために、戸籍の副本の情報を利用して、戸籍関係情報という記号化された情報を作成する機能、あるいは機関別符号の取得それから利用を可能とする機能、またさらに、マイナンバー法に基づいて戸籍関係情報を提供する機能を備えることとしております。
 また、戸籍事務の分野におきましても、市町村が戸籍の届出の審査に当たって戸籍の副本情報を参照することができる機能、あるいは本籍地以外の市町村での戸籍証明書の交付請求等を可能とする機能、こういった機能を備えることとしておりますので、これを発展させる必要があるということでございます。