ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

【マイナンバーQ&A】マイナンバーを何度も再取得したり、再度本人確認をしないといけないのでしょうか

一度マイナンバーを取得したときに、本人確認をきちんと行いました。それでも、その後も毎回マイナンバーを再取得したり、本人確認を再度しないといけないのでしょうか。

  • 外部の人から支払調書作成のためにマイナンバーを取得しました。今年の利用分はそれでいいと思うのですが、来年もまたその人について支払調書を作成します。この場合、来年もまた、マイナンバーの再取得・再本人確認は必要ですか
    • 必要ありません。取得したマイナンバーを、当初から利用目的として特定・通知している目的のために使うことは、認められています。
  • 社員から税務手続・社会保障手続のためにマイナンバーを取得しました。定年に伴い退職することになりましたが、再雇用する予定です。再度マイナンバーを取得し、再度本人確認をしなければなりませんか。
    • 必要ありません(マイナンバーガイドライン15ページ)。同一事務の範囲内ですので、利用目的の範囲内の利用として、認められます。
  • 社員から源泉徴収票作成のためにマイナンバーを取得しました。利用目的が不足していたことに気づきました。再度、マイナンバーを取得して、本人確認をしなければなりませんか
    • この場合は、法律の範囲内で利用目的を追加し、追加した利用目的を改めて本人に示しましょう。
    • 利用目的の追加・変更が認められるのは、同一契約に基づき本人にとって予想できる利用目的の場合などです。会社が、給与所得の源泉徴収票作成事務のために従業者からマイナンバーの提供を受けており、健康保険・厚生年金保険届出事務を利用目的として特定・通知し忘れていた場合は、利用目的を変更することができると解されます(マイナンバーガイドライン15ページ)。なぜならこの場合は、給与所得の源泉徴収票作成事務も健康保険・厚生年金保険届出事務も、会社と従業者との雇用関係を原因として発生していますし、従業者本人にとっても予想外の事務とはいえないためです。
    • もっともこの場合も、変更した利用目的を改めて本人に示すか公表する必要があります(個人情報保護法18条3項)。利用目的を本人に示す際は、必ずしも書面で行う必要はなく、口頭でも可能ですが、書面や電子メール・FAXなど残るものの方がベターです(園部131ページ同旨)。
  • 本人確認はいつ必要なのですか
    • マイナンバーを取得するときです(番号法16条)。したがって、マイナンバーの再取得が必要なければ、再度の本人確認も必要ありません。
  • 弁護士さんに報酬を支払っています。そのため支払調書作成のためにマイナンバーを弁護士さんから取得し、本人確認もしました。元々は外部の弁護士さんでしたが、社員として会社に入社してもらいたいと思っています。社員になれば、給与所得の源泉徴収票や健康保険などのためにマイナンバーが必要になりますが、この場合、利用目的を変更できますか。それともマイナンバーを再度取得して、再度本人確認をしなければなりませんか。
    • 「弁護士に関する支払調書作成」と「社員に関する法定調書作成事務・健康保険届出事務・厚生年金保険届出事務・雇用保険届出事務」は、利用目的が異なりますし、変更できる範囲を超えていると考えられます。したがって、具体的状況によりますが、多くの場合において、利用目的の変更はできないといえるでしょう。再度マイナンバーを取得しましょう。
  • 一度取得したマイナンバーを、再度取得した場合、再度の本人確認が必要ですか
    • 再度マイナンバーを取得しても、一度本人確認をしていれば、再度の本人確認資料の提出は不要です。もっとも、マイナンバーを受け取った側で、再取得したマイナンバー・氏名・住所OR生年月日が、以前過去に本人から本人確認資料に基づき提供を受けたものと同じことを確認する必要があります
    • 法律上は、次のような整理になります。
      • マイナンバーを取得する場合は、最初でも二度目以降でも、番号法16条の規制がかかる。
      • しかし、番号法16条は、本人確認資料を確認することの他、番号法16条に定める政令で定める措置をとることも認めている。
      • その政令で定める措置とは、番号法施行令12条の措置又は主務省令で定める措置である。
      • 番号法施行令12条1項1号資料の提供を受けることが困難な場合、提供を受ける個人番号及び当該個人番号に係る個人識別事項について、過去に本人若しくはその代理人若しくは法第十四条第二項の規定により機構からその提供を受け、又は都道府県知事保存本人確認情報若しくは住民基本台帳に記録されている当該個人番号及び個人識別事項を確認して特定個人情報ファイルを作成している場合(以下「本人確認の上特定個人情報ファイルを作成している場合」という。)には、当該特定個人情報ファイルに記録されている個人番号及び個人識別事項を確認することが認められている(番号法施行規則3条1項5号)。
      • 個人番号利用事務実施者が認める場合には、番号法施行令12条1項2号資料の提示を受けることを要しない(番号法施行規則3条5項)。そして国税庁告示では、過去に本人であることの確認を行っている同一のものから継続して個人番号の提供を受ける場合で、知覚すること等により、個人番号の提供を行う者が本人であることが明らかな場合について、番号法施行令12条1項2号資料の提示を不要としている(国税庁告示8−3)。