金融機関というとマイナンバーを大量に取り扱うイメージですが、実はそのようなことはありません。マイナンバーは社会保障・税・災害対策で利用される番号です。したがって、マイナンバーを大量に取り扱うのは、社会保障事務を実施する地方公共団体や日本年金機構、税務事務を実施する国税庁、地方公共団体等です。
金融機関は、その他の民間企業と同様に、あくまで社会保障手続と税務手続でしか、マイナンバーを取り扱いません。
とはいっても、金融機関のうち、証券会社と保険会社では、お客さんのマイナンバーを取り扱う頻度がそれなりに多いものと考えられますが、他方で、銀行ではあまりマイナンバーを取り扱いません。
これはなぜなら、税務署に提出しなければならない法定調書が、銀行と証券会社、保険会社等では異なるからです。
銀行が一番取り扱っているのは、一般の預金口座だと思われます。
一般の預金口座に対する法定調書として「利子等の支払調書」があります。しかしこれは、個人に対するものは原則として税務署への提出は不要です(所得税法225条1項1号、租税特別措置法3条3項)。また法人に対するものも普通預金は税務署への提出は不要です(所得税法225条1項1号、所得税法施行規則82条2項2号)。
したがって、個人預金については通常はマイナンバーを取り扱わないことになります。
法人の定期預金については、法人に対してはマイナンバーは取り扱わず法人番号になることから、
結局、銀行がマイナンバーを取り扱うのは、特定口座開設などの、ごく一部の場合に限るということです。
但し、これは現行マイナンバー法のもとでの話であって、今国会にかかっている改正マイナンバー法が成立すると、少し話が違ってきます。改正番号法では、銀行は預金者情報をマイナンバーで検索できるようにすることになるので、銀行は、法定調書提出の有無にかかわらず、マイナンバーを取り扱えます。
しかし、改正マイナンバー法でも、一般個人は銀行にマイナンバーを教えなければならないものではありません。銀行がどのようにして一般個人からマイナンバーを取得するかどうかは、今後の検討とされています。
したがって、実務上はとりあえずここ直近は、銀行ではマイナンバーを取り扱わないけれども、それ以降は今後の動向次第ということになっています。