ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

【マイナンバーQ&A】支払調書・源泉徴収票に自分で個人番号を追記する必要があるのか

確定申告の時期もいよいよ近づいてきました。企業から報酬を受け取っているのですが、企業が送ってくる「支払調書」には、私のマイナンバーの記載がありません。私は企業に自分のマイナンバーを教えたのですが…。なぜ企業はマイナンバーを書いていないのでしょうか。そして、私は自分のマイナンバーを追記して、税務署に出さないといけないのですか。

「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」などに自分のマイナンバーを追記して、税務署に出す必要はありません。

支払者たる企業は、支払調書を税務署に提出する義務が税法上あります。したがって企業の方から、支払先のマイナンバーが記載された支払調書が税務署に提出されています。
これに対し、企業は支払調書を税務署だけでなく、支払先にも送付してきます。これは税法上の義務ではありませんが、商習慣として行われているものです。私たちの手元に来る支払調書は、これです。そして、私たちが確定申告する際に、この送られてきた支払調書を確定申告書に添付する必要はありません。

なお、支払者たる企業は、税務署に提出する支払調書には、支払先のマイナンバーを記載しなくてはなりませんが、本人に参考送付する支払調書には、支払先のマイナンバーを記載してはいけないことになっています。したがって個人の手元に送られてくる支払調書にマイナンバーの記載がないというのは、その支払者たる企業は、マイナンバーをきちんと理解して、正しい取扱いをしていることになりますので、安心しましょう。

なお、税理士に確定申告を依頼する場合は、税理士には支払調書を送った方がよいでしょう。でも、税理士は手控え資料として支払調書を使うにすぎず、税理士から税務署に提出されることも通常はないでしょう。

ちなみに、給与等の源泉徴収票については、支払者たる企業は税務署に提出する義務があるほか、支払先にも送付する義務があります(所得税法226条1項等)。