ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

ふるさと納税申告特例通知書と番号法

※きわめてマニアックな話です。

地方税法に詳しいわけではないので、誤っている可能性はあります。

 

ふるさと納税に当たり、寄付先自治体と住所地自治体があります。

①どちらが個人番号利用事務実施者で、どちらかが個人番号関係事務実施者なのか、

②それとも双方が個人番号利用事務実施者なのかを考えたいと思います。

 

番号法の定義から確認します。

(定義)
第二条 
10 この法律において「個人番号利用事務」とは、行政機関、地方公共団体独立行政法人等その他の行政事務を処理する者が第九条第一項又は第二項の規定によりその保有する特定個人情報ファイルにおいて個人情報を効率的に検索し、及び管理するために必要な限度で個人番号を利用して処理する事務をいう。
11 この法律において「個人番号関係事務」とは、第九条第三項の規定により個人番号利用事務に関して行われる他人の個人番号を必要な限度で利用して行う事務をいう。
12 この法律において「個人番号利用事務実施者」とは、個人番号利用事務を処理する者及び個人番号利用事務の全部又は一部の委託を受けた者をいう。
13 この法律において「個人番号関係事務実施者」とは、個人番号関係事務を処理する者及び個人番号関係事務の全部又は一部の委託を受けた者をいう。

 

関係事務は9条3項の事務ですので、9条3項も確認します。

(利用範囲)
第九条 
3 健康保険法(大正十一年法律第七十号)第四十八条若しくは第百九十七条第一項、相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)第五十九条第一項、第三項若しくは第四項、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第二十七条、第二十九条第三項若しくは第九十八条第一項、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第九条の四の二第二項、第二十九条の二第六項若しくは第七項、第三十七条の十一の三第七項、第三十七条の十四第九項、第十七項若しくは第三十五項、第七十条の二の二第十五項若しくは第七十条の二の三第十四項、国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第七十四条の十三の二若しくは第七十四条の十三の三、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第二百二十五条から第二百二十八条の三の二まで、雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第七条又は内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(平成九年法律第百十号)第四条第一項若しくは第四条の三第一項その他の法令又は条例の規定により別表第一の上欄に掲げる行政機関、地方公共団体独立行政法人等その他の行政事務を処理する者又は地方公共団体の長その他の執行機関による第一項又は前項に規定する事務の処理に関して必要とされる他人の個人番号を記載した書面の提出その他の他人の個人番号を利用した事務を行うものとされた者は、当該事務を行うために必要な限度で個人番号を利用することができる。当該事務の全部又は一部の委託を受けた者も、同様とする。

 

さあ、そして地方税法の個人番号利用事務はどんな書きぶりか、別表で確認します。

別表第一

十六 都道府県知事又は市町村長

地方税法その他の地方税に関する法律及びこれらの法律に基づく条例又は特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律(平成三十一年法律第四号)による地方税若しくは特別法人事業税の賦課徴収又は地方税若しくは特別法人事業税に関する調査(犯則事件の調査を含む。)に関する事務であって主務省令で定めるもの

 

別表第一主務省令

第十六条 法別表第一の十六の項の主務省令で定める事務は、地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)その他の地方税に関する法律及びこれらの法律に基づく条例又は特別法人事業税及び特別法人事業譲与税に関する法律(平成三十一年法律第四号)による地方税若しくは特別法人事業税課税標準の更正若しくは決定、税額の更正若しくは決定、納税の告知、督促、滞納処分その他の地方税若しくは特別法人事業税の賦課徴収に関する事務又は地方税若しくは特別法人事業税に関する調査(犯則事件の調査を含む。)に関する事務とする。

 

そして、ふるさと納税のワンストップ申請について見てみるために、地方税法附則も見てみましょう。

(個人の道府県民税及び市町村民税の寄附金税額控除に係る申告の特例等)
第七条 第三十七条の二第二項に規定する特例控除対象寄附金(以下この項から第三項まで及び第六項において「特例控除対象寄附金」という。)を支出する者(特例控除対象寄附金を支出する年の年分の所得税について所得税法第百二十条第一項の規定による申告書を提出する義務がないと見込まれる者又は同法第百二十一条(第一項ただし書を除く。)の規定の適用を受けると見込まれる者であつて、特例控除対象寄附金について第三十七条の二第一項(第一号に係る部分に限る。)及び第十一項の規定によつて控除すべき金額(以下この項において「寄附金税額控除額」という。)の控除を受ける目的以外に、特例控除対象寄附金を支出する年の翌年の四月一日の属する年度分の道府県民税の所得割について第四十五条の二の規定による申告書の提出(第四十五条の三第一項の規定により第四十五条の二第一項から第四項までの規定による申告書が提出されたものとみなされる同法第二条第一項第三十七号に規定する確定申告書の提出を含む。第六項第二号において同じ。)を要しないと見込まれるものに限る。次項から第四項までにおいて「申告特例対象寄附者」という。)は、当分の間、寄附金税額控除額の控除を受けようとする場合には、第四十五条の二第三項の規定による申告書の提出(第四十五条の三第一項の規定により当該申告書が提出されたものとみなされる同法第二条第一項第三十七号に規定する確定申告書の提出を含む。)に代えて、特例控除対象寄附金を支出する際、総務省令で定めるところにより、特例控除対象寄附金を受領する都道府県の知事又は市町村若しくは特別区の長(以下この項から第六項までにおいて「都道府県知事等」という。)に対し、第八項の規定による市町村民税に関する申告特例通知書の送付の求めと併せて、当該都道府県知事等から賦課期日現在における住所所在地の市町村長に寄附金税額控除額の控除に関する事項を記載した書面(次項、第五項及び第六項において「申告特例通知書」という。)を送付することを求めることができる
 都道府県知事等は、申告特例の求めがあつたときは、申告特例対象年の翌年の一月三十一日までに、第三項の規定により申請書に記載された当該申告特例の求めを行つた者の住所(前項の規定により当該住所の変更の届出があつたときは、当該変更後の住所)の所在地の市町村長に対し総務省令で定めるところにより、第十二項の規定による市町村民税に関する申告特例通知書と併せて、申告特例通知書を送付しなければならない

 

ふるさと納税って、これによって税額が変わるわけですよね。
ってことは、ワンストップ特例の申請によって、税額が変わってくるわけで。
そうすると、住所地自治体の首長が税額決定等をするために、寄付先自治体の首長は、マイナンバー何番さんの誰からいくら寄付金があったよってお知らせしなければならないわけです。
そうすると、住所地自治体は税額決定等といった、個人番号利用事務を行うので、個人番号利用事務実施者。
そして寄付先自治体は、その住所地自治体が個人番号利用事務の処理に関して必要とされる他人の個人番号を記載した書面の提出を行うわけで、個人番号関係事務を行う、個人番号関係事務実施者と考えることになるのではないでしょうか。
 
地方税に明るくないので、申告特例通知とか、税額決定とか、そもそものふるさと納税とかを、税法に即してきちんと理解して書いているわけではないので、その点は不正確性が残りますが、たぶん、住所地自治体が個人番号利用事務実施者で、寄付先自治体が個人番号関係事務実施者かなと、感覚的には思いました。