オープンデータと非識別加工情報の差異にかんするかんたんな所見です。
オープンデータの推進は、非識別加工情報よりも早く行われており、平成22年ころからの流れである。オープンデータは非識別加工情報と同様に、国、自治体等が保有する公共データ等をビジネスで活用できるようにする仕組みである。
オープンデータも非識別加工情報も、原則として対象範囲に限定はないものの、オープンデータは、概して法令に基づく制度ではないため、人に対するデータというよりは、気象情報、地盤情報、鉄道・バスなどの運行情報、駅・バス停の位置情報、農水産物の栽培情報・検査情報・農薬情報、観光情報、保育園・公民館といった公的施設情報などの、物・状態に対するデータがメインとも考えられる。これに対して非識別加工情報は、法令に基づく制度のため、個人情報保護のための手当てが法令上整理されており、物・状態に対するデータも対象ではあるが、それよりもさらに人に関するデータを入手しやすいというところにポイントがあると考える。
また、オープンデータの場合は、「人が読む」という利用形態に適したデータではなく、機械判読に適したデータでなければならない。非識別加工情報も、書面ではなく電子データで入手はできるものの、必ずしも機械での自動処理が容易な形式で提供されるものではない。
あくまで傾向の話であるが、オープンデータは、気象情報、地盤情報などの物に対するデータを機械が自動で判読し、機械処理により有効活用するのに対し、非識別加工情報は人に対するデータを入手して、機械を用いるとしてもメインは人が分析処理を行うイメージにとらえることも可能であろう。
オープンデータは、各行政機関・自治体等がどのようなデータを持っているかという「データカタログ」がまとめられている。データカタログから入手したいデータを検索し、Webサイトから直接ダウンロードするなどの方法によってデータを取得することができる。非識別加工情報は、行政機関個人情報保護法、独立行政法人等個人情報保護法、個人情報保護条例等に基づく手続を経て、データを取得することができる。