メガソーラー規制の手法として、景観法・景観条例に依る場合も多いので、景観法を学ぶため、景観法に関するメモ。
資料
- 法令
- 概要パワポ
- 景観法アドバイザリーブック
- 景観法運用指針
- Cf 景観緑三法:景観法、整備法、都市緑地保全法等の一部を改正する法律
☆以下、出典は法の条文と概要パワポ
背景
- 500弱の地方公共団体が自主条例として景観条例を制定するなど、地方公共団体において積極的に景観の整備・保全の取組みを行っている。
- 自主条例に基づく行為の届出勧告等のソフトな手法の限界で、景観をめぐる訴訟の提起
- 地方公共団体による自主的取組みに対する、国としての税・財政上の支援が不十分
- そこで景観法を制定し、景観の意義やその整備・保全の必要性を明確に位置付けるとともに、地方公共団体に対し、いざという場合の一定の強制力を付与(景観計画区域の変更命令等)
構成
- 基本理念
- 責務
- 景観計画
- 景観協議会
- 景観重要公共施設
- 景観重要建造物・景観重要樹木
- 景観農業振興地域整備計画等
- 景観協定
- 景観整備機構
- 景観地区・準景観地区等
「景観行政団体」
- 景観行政を担う主体
- 政令市(政令で指定する人口五十万以上の市)、中核市(政令で指定する人口二十万以上の市)、都道府県は自動的に景観行政団体となる
- その他の市町村は、都道府県知事との協議・同意、景観行政団体となる日の30日前までに公示(法第98条3項)により景観行政団体になることが可能
- 景観行政団体は、良好な景観の形成に関する計画(以下「景観計画」という。)を定めることができる。(法8条)
- 総合的に検討
- 都市計画 建築基準 屋外広告物、緑地関係、公共施設 文化的景観
行為規制概要
出典:概要パワポ13ページ
景観計画(法8条)
- 景観行政団体が策定し、区域や一定の行為に対する届出・勧告の基準等を定める
- 届出・勧告対象の行為は、条例で付加・除外どちらも可能
- 棚田の保全や耕作放棄対策など農山漁村の良好な景観の形成を図るためのツールも整備
- 景観重要公共施設として道路や河川を位置付け、景観に配慮した整備や景観の視点を加味した占用許可が可能
- 景観計画を定めることのできる地域は、次のいずれかに該当する必要あり(法8条1項各号)
- 一 現にある良好な景観を保全する必要があると認められる土地の区域
- 二 地域の自然、歴史、文化等からみて、地域の特性にふさわしい良好な景観を形成する必要があると認められる土地の区域
- 三 地域間の交流の拠点となる土地の区域であって、当該交流の促進に資する良好な景観を形成する必要があると認められるもの
- 四 住宅市街地の開発その他建築物若しくはその敷地の整備に関する事業が行われ、又は行われた土地の区域であって、新たに良好な景観を創出する必要があると認められるもの
- 五 地域の土地利用の動向等からみて、不良な景観が形成されるおそれがあると認められる土地の区域
- 手続
- 景観行政団体は、景観計画を定めようとするときは、あらかじめ、公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする(法9条1項)
- 景観行政団体は、景観計画を定めようとするときは、都市計画区域又は準都市計画区域に係る部分について、あらかじめ、都道府県都市計画審議会(市町村である景観行政団体に市町村都市計画審議会が置かれているときは、当該市町村都市計画審議会)の意見を聴かなければならない(法9条2項)
- 都道府県である景観行政団体は、景観計画を定めようとするときは、あらかじめ、関係市町村の意見を聴かなければならない(法9条3項)
- 景観行政団体は、景観計画に前条第二項第四号ロ又はハに掲げる事項を定めようとするときは、あらかじめ、当該事項について、国土交通省令・農林水産省令・環境省令で定めるところにより、当該景観重要公共施設の管理者(景観行政団体であるものを除く。)に協議し、その同意を得なければならない(法9条4項)
- 景観行政団体は、景観計画に前条第二項第四号ホに掲げる事項を定めようとするときは、あらかじめ、当該事項について、国立公園等管理者(国立公園にあっては環境大臣、国定公園にあっては都道府県知事をいう。以下同じ。)に協議し、その同意を得なければならない(法9条5項)
- 景観行政団体は、景観計画を定めたときは、その旨を告示し、国土交通省令・農林水産省令・環境省令で定めるところにより、これを当該景観行政団体の事務所において公衆の縦覧に供しなければならない(法9条6項)
- 変更にも準用(法9条8項)
- 住民等の提案
- 当該土地の所有権又は建物の所有を目的とする対抗要件を備えた地上権若しくは賃借権(臨時設備その他一時使用のために設定されたことが明らかなものを除く。以下「借地権」という。)を有する者(以下この条において「土地所有者等」という。)は、一人で、又は数人が共同して、景観行政団体に対し、景観計画の策定又は変更を提案することができる。この場合においては、当該提案に係る景観計画の素案を添えなければならない。(法11条1項)
- まちづくりの推進を図る活動を行うことを目的とする特定非営利活動促進法 (平成十年法律第七号)第二条第二項 の特定非営利活動法人若しくは一般社団法人若しくは一般財団法人又はこれらに準ずるものとして景観行政団体の条例で定める団体は、前項に規定する土地の区域について、景観行政団体に対し、景観計画の策定又は変更を提案することができる。同項後段の規定は、この場合について準用する。(法11条2項)
景観計画区域の設定
- 一の景観計画区域内に、景観上の特性が異なる地区を複数含む場合においては、景観計画区域内において、地区を区分して、それぞれの区分ごとに届出対象行為の追加及び適用除外、届出対象行為ごとの景観形成基準を別に定めることが可能
- 地形上の特性等により、一の景観計画の区域が複数の分離した区域を持つことも可能
- 一の景観行政団体において、複数の土地の区域について、それぞれ別の景観計画を定めることも想定
届出・勧告
- 景観計画区域内において、次に掲げる行為をしようとする者は、あらかじめ、国土交通省令(第四号に掲げる行為にあっては、景観行政団体の条例。以下この条において同じ。)で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他国土交通省令で定める事項を景観行政団体の長に届け出なければならない。(法16条1項)
- 景観行政団体の長は、前二項の規定による届出があった場合において、その届出に係る行為が景観計画に定められた当該行為についての制限に適合しないと認めるときは、その届出をした者に対し、その届出に係る行為に関し設計の変更その他の必要な措置をとることを勧告することができる。(法16条3項)
- 勧告は、第一項又は第二項の規定による届出のあった日から三十日以内にしなければならない。(法16条4項)
- 景観行政団体の長は、良好な景観の形成のために必要があると認めるときは、特定届出対象行為(法16条第一項第一号又は第二号の届出を要する行為のうち、当該景観行政団体の条例で定めるものをいう。第七項及び次条第一項において同じ。)について、景観計画に定められた建築物又は工作物の形態意匠の制限に適合しないものをしようとする者又はした者に対し、当該制限に適合させるため必要な限度において、当該行為に関し設計の変更その他の必要な措置をとることを命ずることができる。この場合においては、前条第三項の規定は、適用しない。(法17条1項)
- 建築物や工作物の色やデザインについて、条例に位置づけることにより変更命令が可能
- 景観行政団体の長は、法17条第一項の処分に違反した者又はその者から当該建築物又は工作物についての権利を承継した者に対して、相当の期限を定めて、景観計画に定められた建築物又は工作物の形態意匠の制限に適合させるため必要な限度において、その原状回復を命じ、又は原状回復が著しく困難である場合に、これに代わるべき必要な措置をとることを命ずることができる。(法17条5項)
- 法17条5項の規定により原状回復又はこれに代わるべき必要な措置(以下この条において「原状回復等」という。)を命じようとする場合において、過失がなくて当該原状回復等を命ずべき者を確知することができないときは、景観行政団体の長は、その者の負担において、当該原状回復等を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者にこれを行わせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、当該原状回復等を行うべき旨及びその期限までに当該原状回復等を行わないときは、景観行政団体の長又はその命じた者若しくは委任した者が当該原状回復等を行う旨をあらかじめ公告しなければならない。
- 景観行政団体の長は、法17条第一項の規定の施行に必要な限度において、同項の規定により必要な措置をとることを命ぜられた者に対し、当該措置の実施状況その他必要な事項について報告をさせ、又は景観行政団体の職員に、当該建築物の敷地若しくは当該工作物の存する土地に立ち入り、特定届出対象行為の実施状況を検査させ、若しくは特定届出対象行為が景観に及ぼす影響を調査させることができる。(法17条6項)
- 具体的な届出対象について、景観行政団体が必要に応じて追加して選択することも、適用除外を設けることも可能(法第16条第7項第11号等)
- それぞれの届出対象行為ごとに行為の制限(景観形成基準)を定める
出典:概要パワポ21ページ
景観地区
- より積極的に、良好な景観形成を誘導
- 建築確認、許可、罰則で規制担保
- 開発行為等の制限(法73条1項)。制限できるものは以下(法73条1項・施行令21条)。
出典:概要パワポ25ページ
準景観地区
景観農業振興地域整備計画
- 棚田、景観作物地帯など景観と調和のとれた良好な営農条件の確保を図るべき区域
景観協定
- 建築物・緑・工作物・看板・青空駐車場など景観に関するさまざまな事柄を一体的に協定
- 土地所有者等の合意により自主的に協定
- 第三者に譲渡されても有効
- 建築物や緑のほか、ソフトな部分まで含めて景観に関する様々な事柄を定めることが可能
☆以下、出典は大橋洋一『行政法Ⅰ』(有斐閣、2013年、第2版)157ページより
- 都道府県、指定市、中核市等(「景観行政団体」)は景観計画を策定(7条1項・8条)
- 計画区域内では建築物・工作物等の新築等に対して景観行政団体の長への届け出、長による勧告(16条)
- 長は景観計画に適合させるため必要な場合に、変更命令を出すことができる(17条)
- 市町村は都市計画として景観地区を指定(61条1項)
- 景観地区内では、建物の形、デザインを厳しく規制することができる(61条2項)
- 景観地区内で建築を希望する者は、市町村長に認定を申請しなければならず、建物のデザイン・形の制限を定めた都市計画との適合に関する長の認定がなければ、建築することはできない(63条)
- 景観地区に関する都市計画に反した建築物には、市町村長により是正措置がとられる(64条)