ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

官公庁Webサイト掲載物の著作権

Q. 官公庁Webサイトに掲載された情報は、自由に使ってもいいのでしょうか。

 

※今回のブログ、当たり前の記述にすぎず、あまり内容はありません。

 

A. 物によります。

 

著作権法では、法令や告示・訓令・通達等は著作権法第2章の権利の目的とならないと定められています(13条)。

(権利の目的とならない著作物)
十三条 次の各号のいずれかに該当する著作物は、この章の規定による権利の目的となることができない。
一 憲法その他の法令
二 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。以下同じ。)又は地方独立行政法人地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの
三 裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行われるもの
四 前三号に掲げるものの翻訳物及び編集物で、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するもの

 

しかし、官公庁Webサイト掲載物のうち、上記に該当するものは、上記の通りで良いのですが、それ以外のものはどうでしょうか。

 

著作権法では特に解はないので、官公庁がどういうルールにしているかを見ていく必要があります。この点、官公庁では、Webサイト上で大体以下のような記載があります(ひな形みたいなのがあって、それ通りのはずです)。

当ホームページで公開している情報(以下「コンテンツ」といいます。)は、どなたでも以下の1)~7)に従って、複製、公衆送信、翻訳・変形等の翻案等、自由に利用できます。商用利用も可能です。 

 

こういう記載があれば、官公庁Webサイト掲載物は無償で自由に複製や加工ができるのが原則ということになります。

 

但し、官公庁では、Webサイト上で大体以下のような記載もあります(ひな形みたいなのがあって、それ通りのはずです)。

三者の権利を侵害しないようにしてください
ア コンテンツの中には、第三者(国以外の者をいいます。以下同じ。)が著作権その他の権利を有している場合があります。第三者著作権を有しているコンテンツや、第三者著作権以外の権利(例:写真における肖像権、パブリシティ権等)を有しているコンテンツについては、特に権利処理済であることが明示されているものを除き、利用者の責任で、当該第三者から利用の許諾を得てください。
イ コンテンツのうち第三者が権利を有しているものについては、出典の表記等によって第三者が権利を有していることを直接的又は間接的に表示・示唆しているものもありますが、明確に第三者が権利を有している部分の特定・明示等を行っていないものもあります。利用する場合は利用者の責任において確認してください。
ウ 外部データベース等とのAPIApplication Programming Interface)連携等により取得しているコンテンツについては、その提供元の利用条件に従ってください。
エ 第三者著作権等を有しているコンテンツであっても、著作権法上認められている引用など、著作権者等の許諾なしに利用できる場合があります。

 

官公庁は自分が作成した著作物や自分が著作権保有しているものについては、自由に使っていいよということはできますが、他人が著作権を持っているものについて、勝手に「あなた、自由に使っていいですよ」ということはできません。

 

官公庁Webサイトに掲載されているものであっても、すべてが官公庁に著作権が保持されているわけではありません。例えば、有識者会議の有識者作成・提出資料などは、その有識者の著作物です。

なので、そう言ったものの場合は、その著作権者が許諾するのかどうか、許諾がなくても著作権法認められる範囲内なのかどうかということが問題になってきます(引用利用等)。