ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

ビッグデータ分析によるEBPM(エビデンスに基づく政策立案)

www3.nhk.or.jp

 

データ分析等をすることで、根拠に基づく政策立案(Evidence Based Policy Making(EBPM))が実現できるなどと言われていますが、

上記のNHKニュースの記事、まさに実データを分析して、「外出自粛」を要請した効果を検証していて、非常に良い例だと思います。

 

テレビ番組では、街中を取材にいって、どの程度人がいないか、来ている人へのインタビューなどを行っていますが、たしかにそういう映像もインパクトはあるかもしれませんが、すべての場所を網羅しているわけではありませんし、場所ごとの状態・遷移などは詳細にはわかりません。

また、渋谷スクランブル交差点の映像を、過去の人出と比較する映像・写真等もありますが、これも渋谷スクランブル交差点という一地点だけの状態・遷移でありますので、上記のNHKニュースの記事は、カバー範囲が広いので、23区でも、都心部と住宅地の比較ができるなどして、良いと思います。

 

プライバシーインパクトについては、携帯の位置情報データの時点で、どの程度匿名加工がなされているかは不明ではありますが、NHKが一般公開する際に、きちんと粒度の粗い統計情報にしているので、このニュースについては、プライバシー権への配慮とデータ活用が十分両立していて、非常に良い例だと思います。

 

 

※データ出典に「アグープ」とあるようです。検索したら、以下の企業が表示されましたが、この企業のデータを利用しているのでしょうか??

https://www.agoop.co.jp/

 

同社Webサイトを見ると、スマートフォンアプリの位置情報の提供に同意したユーザから、位置情報を取得しているように読めます。

位置情報を外部提供することが十分ユーザ側に説明できていて、真の同意を取得できているか論点となるかと思います。アプリ一覧を見ると、歩数計、ラーメン、Wi-fi検索とかなので、それらのアプリに必要な機能以外のために位置情報を取得・外部提供しているかがユーザから見てある程度容易にわかるかどうかがポイントかなと、ちょっと思いました。

あとは、取得した位置情報をどの程度の強度で匿名化できているのか。50メートルメッシュとか、From-Toをそのまま利用しちゃうと、匿名化とは言えない可能性もあるのではないか、ともちょっと思いました。

詳しくは知らないで、ただ同社Webサイトをちらっと見ただけなのですが。

 

アプリで同意取るっていっても、真の同意か、ユーザがどこに提供されるかを理解しているかっていう問題があるから、そういう意味では、ユーザに明確な明示がされた状態での情報銀行を使うか、又は、ユーザの同意なしに携帯キャリアから情報を取って公益目的に限った活用を公益的組織で行うか、それか完全な統計情報化して商業利用も可能とするかなどで、データ利活用を図るっていうのも、コンプライアンスの観点からはいいのかなと思いました。

 

あとは、同意を得たユーザからの位置情報分析ってなると、そのユーザに偏りがないのか、そのユーザのデータを分析することで一般分析をしているといえるのか、などの問題もあるのかなーとも。