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太陽光発電設備に関するガイドライン等

太陽光発電設備に関するガイドライン等についてまとめていく予定です(順次、更新予定)。

消防庁危険物施設に太陽光発電設備を設置する場合の安全対策等に関するガイドライン 平成27年?

山梨県太陽光発電施設の適正導入ガイドライン 平成27年11月

  • 前提
    • 平成 24 年7月に再生可能エネルギーの固定価格買取制度が開始されたこと等を背景に、日照時間の長い甲府盆地八ヶ岳南麓をはじめ、県中西部において事業用の太陽光発電施設の設置が急速に進んでいます。
    • 平坦地の少ない本県においては、山間部や農地への設置事例が年々増加しており、現在では、防災や景観、環境等の面で様々な問題が生じています。大規模な森林伐採を伴う計画に対しては、景観や環境の問題だけでなく、山地災害や河川の氾濫等の発生が懸念されます。
    • 優れた自然景観と豊かな自然環境を生かした観光・農業立県である本県においては、大規模な太陽光発電施設の立地については、景観や環境、農業への影響に関して十分な検討がなされた上で、自然景観や環境との調和、周辺農地での農業生産活動に支障を与えない配慮が必要です。特に、富士北麓や八ヶ岳南麓等の自然景観は、本県が率先して守る必要があります。
    • ガイドラインの対象は、山梨県内において出力 10kW 以上の事業用太陽光発電施設(建築物へ設置するものを除く。)を設置する事業者
  • 計画段階
    • 自然公園法に定める国立公園の特別保護地区、第一種特別地域等は、法令上開発行為が最も厳しく制限されており、太陽光発電施設の設置自体が困難な地域
    • 立地を避けるべきエリア
      • 富士山北麓世界遺産景観保全地区:世界遺産
      • 自然公園の特別地域及び普通地域:特に風景の保護を図り風致を維持する必要性が高い
      • 自然環境保全地区及び自然記念物:保存の必要性
      • 保安林:森林の機能を確保するため、立木の伐採や土地の形質の変更等については、厳しく規制
      • 砂防指定地等の災害危険区域:災害発生により周辺住民の財産・生命等を脅かすリスクが高い
      • 農用地区域等:優良な農地として今後も利用を図るべき
      • 風致地区:自然的な要素に富んだ土地の良好な景観を守るため、建物等の建築や木竹の伐採等について、一定の制限がある
      • 文化財指定エリア:失ってしまえば二度とよみがえることのない、県民の共有財産
      • 市町村景観計画における重点地区等:は景観に与える影響が特に大きい
      • 鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律に基づく鳥獣保護区特別保護地区、山梨県希少野生動植物種の保護に関する条例に基づく管理地区等:法律、条例等でそれぞれの目的に従い厳しく規制
      • 仮に、立地する場合においては、防災対策に万全の配慮を行った上で自然公園法や景観法、その他法令により自然環境や景観との調和を十分に図り、計画段階において、立地市町村長、事業計画により影響を受ける地域の住民、関係機関へ説明を行い、立地に対する意向、問題点等の把握に努めてください。これを踏まえ、市町村、住民との協議が難航することにより事業化に時間を要する可能性や、事業実施による企業イメージへの影響、景観の配慮によるパネル面積の減少、安全対策工事等による施工上のコストの増加等、採算性が悪化するリスクも十分あることを承知した上で事業実施の適否を判断していただくこととなります。
    • 立地に慎重な検討が必要なエリア
      • 20年間稼働する太陽光発電を導入し、事業を行っていく上で安全性の確保、自然環境の保全、景観との調和、地域の同意を得ていくこと等は、非常に重要であることから、地域問題となり長期の調整期間を要する可能性や、企業イメージに影響を与えるリスクがあることを理解した上で、防災、景観、環境、設備その他の事項により、事業計画について立地場所の変更を含め、施工方法、設備等について慎重な検討を行ってください。
      • 災害のリスクが高いエリア:土砂災害危険箇所や山地災害危険地区、傾斜度が30度以上ある土地
      • 地域森林計画対象民有林:様々な公益的機能。このエリアで1ha を超える開発を行う場合には、県(林務環境事務所)の許可が必要であり、1ha 以下であっても山地災害の防止等の防災安全上の万全の対策を講じる必要があります。
      • 市町村景観計画の景観形成拠点等
      • 重要な観光施設等に近接するエリア:良好な景観等を損なうこととなり、観光資源への影響が懸念
      • 埋蔵文化財包蔵地:土地の形質変更を行わない等の保全措置が必要な場合もある
    • 適正な導入のために遵守すべき事項
      • 本来であれば出力 50kW 以上の規模である太陽光発電設備を、同一の場所において出力 50kW 未満の太陽光発電設備に分割して設置する案件(以下「分割案件」という。)があり、電柱が乱立し、景観への悪影響を与えるケースも見受けられます。このため、分割案件については、全体をひとまとまりの発電施設と捉え、対象とする。
      • 防災面で遵守すべき事項
        • (a) がけ崩れ、出水のおそれがある土地にあっては、地盤改良、擁壁等
        • (b) 地盤が軟弱の場合にあっては、(a)に掲げる措置のほか、区域外での隆起、沈下が生じないよう土の置換、水抜き等
        • (c) 切土、盛土により「がけ」が生ずる場合にあっては、がけの上端に続く地盤面は反対方向へ雨水等が流れるような勾配
        • (d) 切土によるすべりやすい土質がある場合にあっては、くい打ち、土の置換等のすべり対策
        • (e) 盛土を行う場合にあっては、ゆるみ、沈下又は崩壊が生じないよう、概ね30cm 以下の厚みの層に分けた土盛り、ローラーその他これに類する建設機械を用いた締め固め及び必要に応じ地すべり抑止杭設置
        • (f)傾斜地に盛土を行う場合にあっては、すべり面対策として段切り等
        • (g) 切土・盛土面の保護として擁壁、石張り、芝張り、モルタル吹付等
        • (h) 切土、盛土をする場合で地下水によりがけ崩れ、土砂の流出のおそれがあるときは、開発区域内の地下水を排出する排水施設等
        • (i) 擁壁に関する技術的な措置
          • (ア) 構造計算等による安全の確認
          • (イ) 裏面排水の措置
          • (ウ) 高さが2m以上のがけに設置する擁壁は、建築基準法施行令第142条6の規定を準用した構造
      • 景観面で遵守すべき事項
        • 山並み・丘陵・河川・湖沼等自然景観への影響、•史跡、名勝等歴史・文化的景観への影響、主要な眺望点からの眺望景観への影響、市街地・住宅地等街並み景観への影響、棚田・果樹園・森林等・農山村の田園風景等への影響、保養地・別荘地等の景観への影響等が懸念
        • (a) 太陽光発電施設等の色彩等を次のとおり景観に配慮したものとすること。
          • (ア) 太陽電池モジュール(太陽光パネル)の色彩は、周囲と調和した色彩とし、低明度かつ低彩度で目立たないものとするとともに、原則として、黒、グレー系又はダークブラウンの中から周囲と調和するものを選択すること。
          • (イ) 太陽電池モジュールは、低反射(反射光を抑える処置がされたもの。以下同じ。)で、文字や絵、図等が太陽電池モジュールに描かれていない等の模様が目立たないものを使用すること。
          • (ウ) 太陽電池モジュールのフレームの素材は低反射のものを使用し、フレームの色彩は景観形成拠点等からの影響がなく、かつ、周囲から太陽光発電施設が見えないような措置等を行う場合を除き、景観に配慮された太陽電池モジュールと同等とすること。
          • (エ) パワーコンディショナー、分電盤、フェンス等の附属設備の色彩は、景観形成拠点等からの影響がなく、かつ、周囲から太陽光発電施設が見えないような措置等を行う場合を除き、茶系色等周囲の景観に調和したものとすること。
        • (b) 道路沿いや民家等に隣接して設置する場合には、通行者・車両や民家等から直接見えないように植栽やフェンス等で目隠しを行い、できる限り目立たないようにすること。特に景観への配慮が必要となる地域に設置する場合は、植栽のみでは目隠し効果が低い場合があるので、フェンス(不透過性のもの)等と合わせて望見できないよう処理を施すこと。
        • (c) 尾根線上、丘陵地又は高台に設置する場合には、違和感を与えないよう次の点に配慮すること
          • (ア) 伐採により樹木の連続性をなくさないこと(稜線を乱さないこと)。
          • (イ) 丘陵地や高台に設置する場合には、太陽光発電施設が突出しないようにすること(土地形状に違和感を与えない)。
        • (d) 主要な道路や眺望点から視認できる場合には、次のとおり周辺景観と調和させ、威圧感や存在感が軽減されるような工夫をすること。
          • (ア) 主要な道路からは、植栽のみでは目隠し効果が低い場合があるので、フェンス(不透過性のもの)等と合わせて望見できないよう処理を施すこと。
          • (イ) 主要な眺望点からは、太陽光発電施設を背景の色彩と同化させることや分散して配置のうえ植栽等を用いる等、人工物の存在感を軽減させる工夫をすること。
        • (e) 森林や草原、川等がある自然環境豊かな箇所に隣接する場合には、既存樹木等を活かす計画とすること。やむを得ず伐採する場合には、敷地内に植栽等を施すこと。
        • (f) 景観形成拠点等から視認できる範囲に電線、電柱等を設置する場合で景観に影響を与えるときは、電線類地中化を検討すること。
      • 環境面で遵守すべき事項
        • (a) 自然環境の保全のため、開発区域及びその周辺の地域における自然環境の特性を考慮した上で、次に掲げる措置を講じること。
          • (ア) 自然環境保全上特に必要があるときは、造成工事を数ブロックに区分して、ブロック間に緩衝エリアとしての緑地を設ける等、自然の連続性に配慮した施工とすること。
          • (イ) 開発区域内に良好な自然環境の存する土地や レッドデータ種等の希少野生動植物が生息、生育する土地がある場合には、保全措置を講ずること。
        • (b) 緑地の形成は市町村が定める緑化基準に適合させるほか次によること。
          • (ア) 環境緑化を推進し緑豊かな生活環境をつくるため、設置又は管理する施設の敷地面積が 2,000 ㎡以上の場合、緑地割合は敷地面積の 20 パーセント以上とすること。
          • (イ) モジュールの水平投影面積 3,000 ㎡以上の場合は、周辺部に 15 パーセント以上の残置森林又は造成森林・緑地を配置すること。
          • (ウ) 地域の植生を考慮し、事業地内の用土の活用や現存樹木の移植等、地域の植生に適合した緑化を行うこと。
          • (エ) 新たに植栽を行う場合は、地域の自然植生に適合した樹種を選定すること。
        • (c) 水資源の確保を図るため、浸透施設等を設置等により地下水の涵かん養機能の保持に配慮すること。
        • (d) 設置工事時、重機の使用や大型車等の通行等に伴う大気汚染、水質汚濁、騒音等の防止について配慮すること。
        • (e) パワーコンディショナーから生じる騒音(低周波音を含む。)を防止するため、家屋に隣接した場所への設置を避けることや防音壁を設置する等の配慮をすること。
      • 設備面で遵守すべき事項
        • (a) 支持物
          • 日本工業規格 JIS C 8955(2004)「太陽電池アレイ用支持物設計基準」に規定される強度を有し、規格に基づいた施工を行い、強風や大雪による被害を未然に防ぐ措置を取らなければなりません。また地盤の状況や設備の規模等に応じて土質調査などにより地耐力を確認する必要があります。
        • (b) 立入防止措置
          • 電気設備に関する技術基準を定める省令第 23 条により、50kW 以上の高圧の太陽光発電所を建設する場合は、取扱者以外の者に電気機械器具、母線等が危険である旨を表示するとともに、容易に構内に立ち入るおそれがないよう、適切な措置を講じなければなりません。
        • (c) 事業者名等の表示等
        • (d) 事故等の対応マニュアル
        • (e) 一般社団法人太陽光発電協会が公表している設計・施工基準等
    • 市町村・住民との合意形成
      • 住民への説明に当たっては、防災、景観、環境の対策等についてフォトモンタージュ(合成写真による完成予想図)や排水計画図、事故等の対応マニュアル等わかりやすい資料により丁寧に行い、立地に対する住民の意向や問題点等を把握し、住民の意向を事業計画へ反映するとともに、問題点等の解消に努める必要があります。
      • 地域活性化や地域貢献についての提案を示すことも考えられます。地域の河川清掃等への定期的な協力、除草や施設のメンテナンスを地域の業者に委託して雇用の確保を図ること等
    • 必要となる法令手続
  • 設置後

高知県太陽光発電施設の設置・運営等に関するガイドライン 平成28年3月28日

  • 前提
    • ガイドラインでは、太陽光発電施設の設置・運営に関し、法令上の規制がない場合でも、遵守いただきたい事項を例示するなど、事業者の自主的な取組を求めています。
    • 対象施設は、高知県内において「固定価格買取制度における設備認定を受け、全量売電を主たる目的とする出力 50kW 以上の事業用太陽光発電施設(建築物へ設置するものを除く)」
    • ガイドラインの適用を受ける事業者は、原則、本ガイドライン策定後に工事に着手する事業者とします。但し、既に工事に着手している事業者や発電を開始している事業者も、可能な限り、本ガイドラインの趣旨に沿った対応をお願いいたします。
  • 市町村への事業内容の事前届出等
  • 地域への事業内容の事前説明・協議
    • 説明が必要となる地域の関係者の範囲や説明方法は、施設の規模や設置場所により異なってきますので、市町村担当課に相談して適切に対応してください。
    • 事業内容には、可能な範囲で、地域貢献(大規模災害に伴う停電時の地域住民等への充電電源の提供など)や地域振興に関する事項を盛り込むよう努めてください。
  • 地域との施設の施工・維持管理・廃棄等に関する合意形成
    • 合意内容について、市町村や地域から協定書等の書面を求められた場合には、誠実に対応してください。
    • 地域の合意を得た後に事業主体(施工事業者を含む)が変更となった場合にも、合意内容については責任をもって履行してください。(内容を変更する場合には、再度、地域の関係者に事業内容を説明し、合意を得るようにしてください。)
  • 適切な施工・維持管理・廃棄等
    • 防災・環境
      • 排水や土砂崩れ等対策
      • 騒音対策(工事中、パワーコンディショナー等)
      • 除草剤の使用
      • パネルの反射光の対策
      • 景観への配慮
    • 緊急連絡先の明示
    • 適切な維持管理
    • 将来の撤去・廃棄については、事業計画の段階から検討いただき、事業計画に盛り込んでください。
  • 事業化にあたって必要となる主な手続き(関係法令等)
    • 農地法:農地の転用
    • 農業振興地域の整備に関する法律:農用地区域内にある土地での設置
    • 農村地域工業等導入促進法に基づく実施計画:工業等の導入に関する実施計画が定められている場合、当該計画への配慮
    • 造林事業等の補助事業による造林、間伐等施行地の転用、伐採制限:事業完了年度の翌年度から5年又は10年以内の森林以外の用途への転用、立竹木の全面伐採除去
    • 森林法:地域森林計画の対象となる民有林の面積が1ヘクタールを超える開発
    • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律:設置場所が指定区域として指定されている場合
    • 土壌汚染対策法:3,000平方メートル以上の土地の掘削その他の土地の形質変更
    • 都市計画法に基づく開発許可:都市計画法で定められた規模以上の開発行為(パネルが建築物に該当する場合等)
    • 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律:急傾斜地崩壊危険区域内における①水を放流し、又は停滞させる行為その他水のしん透を助長する行為②ため池、用水路その他の急傾斜地崩壊防止施設以外の施設又は工作物の設置又は改造③のり切、切土、掘さく又は盛土④立竹木の伐採⑤木竹の滑下又は地引による搬出⑥土石の採取又は集積⑦①〜⑥のほか、急傾斜地の崩壊を助長し、又は誘発 するおそれのある行為で政令で定めるもの
    • 地すべり等防止法:地すべり防止区域内における①地下水を誘致し、又は停滞させる行為で地下水を増加させるもの、地下水の排水施設の機能を阻害する行為、その他地下水の排除を阻害する行為②地下水を放流し、又は停滞させる行為、その他地表水の浸透を助長する行為③のり切り又は切土で政令で定めるもの④ため池、用排水路その他の地すべり防止施設以外の施設又は工作物で政令で定めるものの新築又は改良⑤①〜④のほか、地すべり防止を阻害し、又は地すべりを助長し、若しくは誘発する行為で政令で定めるもの
    • 建築基準法建築基準法の建築物及び工作物に該当する施設を設置する場合
    • 景観法に基づく景観行政団体(県・市町村)の景観計画:景観行政団体が策定する景観計画に定める行為(高知市四万十市中土佐町梼原町津野町四万十町、本山町)
    • 高知県土砂等の埋立て等の規制に関する条例:3,000平方メートル以上の盛り土その他土地へのたい積行為
    • 高知県公害防止条例:大気汚染又は騒音に係る特定施設である場合(騒音の特定施設は市町村に提出)
    • 高知県土地基本条例 :開発区域の面積が10ヘクタール以上の開発行為
    • 高知県砂防指定地管理条例:砂防指定地内における①施設又は工作物の新築、改築、移転又は除却②立竹木の伐採、樹根等の採取又は竹木等の滑下若しくは地引による運搬③土地の掘削、盛土、切土その他土地の現況を変更する行為④土石(砂れきを含む。)の採取若しくは鉱物の採掘又はこれらのたい積若しくは投棄
    • 高知県四万十川保全及び地域の振興に関する基本条例:重点区域のうち、回廊地区内及び保全・活用地区内において、新築・増築・改築・移転又は撤去を行う場合
    • 自然公園法・高知県立自然公園条例
    • 自然環境保全法・高知県自然環境保全条例
    • 高知県希少野生動植物保護条例
    • 高知県うみがめ保護条例

平成26年度新エネルギー等導入促進基礎調査(太陽光発電設備の健全性等に関する調査)

稚内サイト・北杜サイト 大規模太陽光発電システム導入の手引書 平成23年3月