個人情報保護法では「遅滞なく…しなければならない」などといった、遅滞のない対応が義務付けられている場合等がありますが、「遅滞なく」とは具体的にはどれぐらいの期間ならよいのでしょうか。
回答としては、場合によるので一概には言えないということになるかと思います(残念な回答)。以下、参考情報を貼りつけます。
〇「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」に関するQ&A
Q5-3
「遅滞なく消去する」とは、具体的にどのような期間で消去することを求めていますか。A5-3
「遅滞なく」が示す具体的な期間は、個人データの取扱状況等により異なり得ますが、業務の遂行上の必要性や引き続き当該個人データを保管した場合の影響等も勘案し、必要以上に長期にわたることのないようにする必要があると解されます。他方で、事業者のデータ管理のサイクル等、実務上の都合に配慮することは認められます。
Q9-12
保有個人データの開示請求を受けた場合、請求対象となるデータを検索・集約する等の一定の作業を要する場合がありますが、請求を受けてからどの程度の期間内に開示する必要がありますか。A9-12
個人情報取扱事業者は、保有個人データの開示請求を受けたときは、「遅滞なく」これを開示する必要があります(法第33条第1項・第2項)。「遅滞なく」とは理由のない滞りを生じさせることなくという趣旨です。請求対象となるデータを検索・集約する等の一定の作業を要する場合には、当該作業を行うために通常必要と考えられる期間も考慮した上で、合理的な期間内に開示を行えば、「遅滞なく」開示したこととなると考えられます。
(令和3年9月追加)
〇法律学小辞典第4版には「遅滞なく」の解説はなし。
〇特商法13条1項但書「遅滞なく」
(通信販売における承諾等の通知)
第十三条 販売業者又は役務提供事業者は、商品若しくは特定権利又は役務につき売買契約又は役務提供契約の申込みをした者から当該商品の引渡し若しくは当該権利の移転又は当該役務の提供に先立つて当該商品若しくは当該権利の代金又は当該役務の対価の全部又は一部を受領することとする通信販売をする場合において、郵便等により当該商品若しくは当該権利又は当該役務につき売買契約又は役務提供契約の申込みを受け、かつ、当該商品若しくは当該権利の代金又は当該役務の対価の全部又は一部を受領したときは、遅滞なく、主務省令で定めるところにより、その申込みを承諾する旨又は承諾しない旨(その受領前にその申込みを承諾する旨又は承諾しない旨をその申込みをした者に通知している場合には、その旨)その他の主務省令で定める事項をその者に書面により通知しなければならない。ただし、当該商品若しくは当該権利の代金又は当該役務の対価の全部又は一部を受領した後遅滞なく当該商品を送付し、若しくは当該権利を移転し、又は当該役務を提供したときは、この限りでない。
https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/mailorder/
消費者が商品の引渡し(権利の移転、役務の提供)を受ける前に、代金(対価)の全部あるいは一部を支払う「前払式」の通信販売の場合、事業者は、代金を受け取り、その後, 商品の引渡しに時間がかかるとき(※)には、その申込みの諾否等、以下の事項を記載した書面を渡さなければなりません。
※商品の引渡時期等について、遅滞なく申込みに係る商品を送付する場合の「遅滞なく」とは、取引の実態からみて1週間程度である。
〇関東東北産業保安監督部
https://www.safety-kanto.meti.go.jp/denki/jikayou/faq.html
保安規程変更届出などは「遅滞なく届出」とありますが、どれくらいの期間内に届出を行わなければならないのでしょうか?
→法令上、明確な定義は無いため、基本的には届出を必要とする事象が発生したのであればできるだけ早く手続を行ってください。 なお、当監督部では「遅滞なく」の目安として「30日以内」とご案内させていただいております。
〇借地の更新拒絶
https://www.mc-law.jp/fudousan/26946/
〇「速やかに」に関する裁判例
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/590/022590_hanrei.pdf