ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

個人情報保護法2020年改正法案そろそろか?

※アップデートしました。

 

 

2020.3.10

個人情報保護法の改正法案、2020/3/10の閣議決定となったようです。ニュース記事の中身を読んでも、大綱よりも細かい説明は載っていません。国会提出法案を見てみないと、詳細はわからなそうです。

www.jiji.com

www3.nhk.or.jp

www.nikkei.com

2020.2.28記載

個人情報保護法改正法案、2020年通常国会提出予定とのことですが、そろそろ閣議決定でしょうかね。

そう思った根拠は、2月26日の第137回 個人情報保護委員会の会議で、個人情報保護法改正法案が議題になっているからです。どうかな??

https://www.ppc.go.jp/aboutus/minutes/2020/20200226_1/

 

2020.3.5追記

3月4日の第138回個人情報保護委員会の会議でも、改正法案が議題になっていますね。いよいよ、そろそろかな?

https://www.ppc.go.jp/aboutus/minutes/2019/20200304/

 

2020.3.6追記

3月5日自民党条文審査だったようなので、いよいよそろそろですね。

https://blogos.com/article/440683/

 

Blogosの上記記事で「飲み会などで名刺を渡した場合です。それがホームページに明記なく勝手に使われた場合は、個人情報保護法違反になる可能性があるのか」という質問に、個人情報保護委員会が不明瞭な回答をしたと記載されていました。

質問がどういう意図かわからない部分もありますが、「飲み会などで名刺を渡したら、その名刺を勝手に使われた」「ホームページで利用目的の公表は特になかった」という場合だとすると、あいさつ、常識的な範囲内の案内・資料送付とか以外は、基本的に個人情報保護法違反になるかなと思います。

本人から個人情報を直接取得する場合は、取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合等以外は、あらかじめ利用目的の明示が必要だからです(個人情報保護法18条2項・4項)。まあ、これを回避したければ、利用目的明示用の紙を常に持ち歩くか、自分の名刺の裏に利用目的明示をしておいて、名刺をもらったら必ず自分の名刺を返すとか、でもそれらはあまりに現実的じゃないから、「いただいたご連絡先に〇〇させていただきますね」って口頭でいうとかが、いいんじゃないでしょうかね。口頭の場合、後日の立証は難しいっちゃ難しいですけどね。明示は書面じゃなきゃいけないっていう縛りはないですし。まあ政治家の活動報告メール・お手紙とかだと、利用目的の明示・公表不要の、「取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合」に当たると思います。

個人情報保護法ガイドライン(通則編)

「本人に対し、その利用目的を明示」とは、本人に対し、その利用目的を明確に示すことをいい、事業の性質及び個人情報の取扱状況に応じ、内容が本人に認識される合理的かつ適切な方法による必要がある。

 

なお、これは、現時点の公表情報によれば、法改正事項ではないはず。法改正は不適正利用の禁止条項の追加だと思いますが、名刺をどういう風に使うかによって、不適正利用に該当する場合もありますが、それ以前に、利用目的の明示義務違反になるのではないか、と。

ただそもそも、個人情報の利用目的の明示義務(18条2項)ってどうなんだろうっていうのはありますよね。立法時の意図は、本人と接点があるのだから、ちゃんと明示しなさいっていうはずだとは思いますが、今の時代、プライバシーポリシーがある場合が一般的だから、それ以上に明示が求められるって、なんかTOOMUCHな気がしますが。18条2項は削除して18条1項・3項・4項だけでいいんじゃないですかね。

(取得に際しての利用目的の通知等)
第十八条 個人情報取扱事業者は、個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を、本人に通知し、又は公表しなければならない。
2 個人情報取扱事業者は、前項の規定にかかわらず、本人との間で契約を締結することに伴って契約書その他の書面(電磁的記録を含む。以下この項において同じ。)に記載された当該本人の個人情報を取得する場合その他本人から直接書面に記載された当該本人の個人情報を取得する場合は、あらかじめ、本人に対し、その利用目的を明示しなければならない。ただし、人の生命、身体又は財産の保護のために緊急に必要がある場合は、この限りでない。
3 個人情報取扱事業者は、利用目的を変更した場合は、変更された利用目的について、本人に通知し、又は公表しなければならない。
4 前三項の規定は、次に掲げる場合については、適用しない。
一 利用目的を本人に通知し、又は公表することにより本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
二 利用目的を本人に通知し、又は公表することにより当該個人情報取扱事業者の権利又は正当な利益を害するおそれがある場合
三 国の機関又は地方公共団体が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、利用目的を本人に通知し、又は公表することにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。
四 取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合