- イギリスでは、広告に関する自主規制団体(The Committees of Advertising Practice(CAP))が、行動ターゲティング広告*1に自主規制を設けることを2012年11月に発表しました。
- 同自主規制団体は、「放送以外の広告・販売促進・ダイレクトマーケティングに関する自主規制 」*2を既に発表していますが、この自主規制中に、行動ターゲティング広告に係る規制も追加するとのことです。
- 具体的には、透明性とユーザによるコントロールの向上を図り、以下を行うよう義務づけることとされています。
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- ① ユーザのWeb閲覧データを収集・利用する旨を、自社サイト内で示した上で、どうすればユーザがそれを拒否(オプトアウト)できるかもあわせて示さなければならない。その際、ユーザが拒否(オプトアウト)するための方法とリンクさせなければならない。
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- ② ユーザのWeb閲覧データを収集・利用する旨を、行動ターゲティング広告内又はその付近に示さなければならない。その際、ユーザが拒否(オプトアウト)するための方法とリンクさせなければならない。
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- ③ 12才以下の子ども向けの区分を作ってはならない。
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- ④ 行動ターゲティング広告のために、(ほぼ)全てのWeb閲覧データを収集・利用する技術*3 を採用する場合、ユーザから、事前に明示の同意を取得しなければならない。
- これにより、以下の効果が見込まれます
- ① ユーザは、自分のWeb閲覧履歴が収集・利用されて、行動ターゲティング広告に使われていることを認識しやすくなる
- ② ユーザは、行動ターゲティング広告を望まない場合に、簡単にそれを拒否(オプトアウト)できるようになる
- ③ 被誘導性が高い子どもを、特にターゲットにした広告も禁止される
- なお、上記の規制は、別の自主規制団体(Advertising Standards Authority(ASA))によって遵守状況を監督され、苦情処理等も行われるとのことです。
- イギリスでは、自主規制団体がかなり厳しい自主規制をしているようで、日本とは違うなあと思いました。日本の民間企業は、自主規制をするよりも、
- 「何をしてはだめか」という明確なリストを官に示してほしい、
- だけれども、官から指導は受けたくない、
と思っているのかなという印象を受けます。
- アメリカFTCの動きもチェックしなくては・・・
*1:Online Behavioral Advertisingの頭文字をとって、「OBA」などと呼ばれているようです。
*2:UK Code of Non-broadcast Advertising, Sales Promotion and Direct Marketing、http://www.cap.org.uk/Advertising-Codes/~/media/Files/CAP/Codes%20CAP%20pdf/CAP%20Code%200712.ashx
*3:たとえば、ディープパケットインスペクション(DPI)など