ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

電子契約(立会人型)で担当者メルアドのみで契約するか否か

※自分用のメモであって、筆者(水町)は電子契約を専門としておらず、ただの素人ですので、くれぐれもこの点ご注意ください。

 

電子契約(立会人型)を利用している場合、会社代表者の電子証明書などは使わずにメールアドレス認証を利用することが一般的なように思われます。その際、担当者のメールアドレスだけで電子契約するかどうかについて、ブログを書きたいと思います。

 

電子契約の場合でも、契約内容のドキュメント(契約書Wordファイル等)があります。そしてそこの末尾には署名押印者(甲:水町株式会社代表取締役社長水町雅子等)が記載されているはずです。そして電子契約システムにこのドキュメントを登録して、メールアドレス認証を経て、承認ボタンをクリックなどして、電子契約システムベンダーの電子署名が付されて、契約当事者の電子署名となるわけです。

 

この場合に、契約書ドキュメント末尾に記載された署名押印者と、電子契約システムからメールを飛ばされて、同システム上で承認ボタンを押す人が、違う場合があります。前者の署名押印者は社長なんだけれども、後者の承認者は担当者などの場合です。これが良いのかどうか。

 

紙契約の場合、契約書末尾に代表取締役社長名*1を記載し、社長印を押印します。この場合でも、社長印を押印するのは社長本人ではなく、会社内規に基づいて、会社内で承認されたルートを経て担当者が押印していることが通例です。

電子契約の場合も、契約書ドキュメント末尾に代表取締役社長名を記載するも、実際に承認ボタンをクリックするのは、担当者でもよいのではと思う方も多いようです。

 

しかし、紙契約と電子契約の場合、重要な違いがあります。

紙契約の場合、署名押印者名と、印鑑に書かれている名前が一致します。代表取締役水町雅子と書かれていて、代表取締役印が押印されています。

これに対して、電子契約の場合、紙契約の印鑑に相当するのが電子署名となり、立会人型の場合はメールアドレス認証を経て承認ボタンをクリックする人になるわけですが、署名押印者は社長なのに、実際にボタンをクリックして電子署名が付されるのは担当者となってしまい、人物が一致しません。紙契約で例えるなら、代表取締役水町雅子とプリントされているのに、その横の署名欄又は押印欄に「難波舞」など別人の名前が書かれている状態です。

 

そして、立会人型電子契約の場合、実際に電子証明書を使うのは電子契約ベンダーではあるものの、契約当事者指示を経て契約当事者本人の電子署名となるわけです。そうすると、本来、会社として法的意思を表示できるのは代表取締役等であるから、代表取締役等の物理的署名押印や電子署名が必要なのに、担当者メルアドで処理してしまうと、担当者の電子署名になってしまうわけです。

加えて、立会人型電子契約の場合、本人であることを確認しているのはメールアドレス認証であったり、多要素認証であったりしますが、その本人確認されている人は承認ボタンをクリック等している人なわけです。つまりこの場合、担当者の本人確認しか出来ていないわけです。

そうすると、会社としての法的意思なのかどうかが不明瞭になってしまう危険性があると思います。

 

なので、立会人型電子契約をする場合、担当者メルアドのみで契約するのはやめた方が良いと私としては考えます。そして、私と契約される方におかれましては、担当者メルアドで電子契約することはできませんので、その場合は紙契約でお願いさせていただきます。

*1:代表取締役社長名での契約でない場合も当然ありますが、いったん簡略化のためにこのように記載。