ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

マイナンバーカード関連問題の原因に関する報道

マイナンバーカード関連問題の再発防止策の検討に当たり、まずは事実関係整理が必要であるため、目についた報道情報をまとめます。

 

1.マイナ保険証

原因として、住基(正確にはJ-LISと思われる)参照時に同姓同名や同生年月日の別人を紐づけたとの報道

  • 日経『マイナ保険証、別人情報とひも付け事例 「入力時ミス」』
    2023年5月12日 14:41 (2023年5月12日 19:58更新)

    https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1238P0S3A510C2000000/

    原因:マイナンバー未提出の場合に住基を参考にして同姓同名や生年月日が同じ別人の情報を紐づけたと報道

    • 加藤勝信厚生労働相は12日の記者会見で、マイナンバーカードを医療機関で保険証として使った際に別人の情報がひも付けられていた事例があったと明らかにした。厚労省の調査では2021年10月から22年11月末にかけて、7300件余り確認されたという。
      (略)

      厚労省によると、健康保険組合などの保険者が被保険者の健康保険証とマイナンバーカードをひも付ける際に、同姓同名や生年月日が同じ別の人の登録をしてしまったことが原因とみられる。被保険者のマイナンバーが未提出の場合、保険者が住民基本台帳の情報を参考にしており、今回の誤りが生じる可能性があるという。

      薬剤の情報や医療費などの情報を実際に他人が閲覧したケースは5件だった。全てのケースですでに閲覧を停止し、誤ってひも付けられた個人番号を削除する対応をとっている。

      (略)

      厚労省は4月、保険者に対して通知を発出し、氏名のほか生年月日や性別、住所など5項目をチェックするよう求めた。省令も改正し、保険者と被保険者の橋渡し役となる事業主に対し、資格取得届の提出時にマイナンバーの記載を義務化する。改正省令は6月に施行する。今後、システム改修も予定する。

     

  • 時事通信「マイナ保険証、別人とひも付け 個人情報閲覧の可能性―過去にも誤り7300件・厚労省
    2023年05月12日20時54分

    https://www.jiji.com/jc/article?k=2023051200593&g=soc
    原因:健保組合などがひも付けを行う際、住民基本台帳の情報を参考にすることがあり、同姓同名や生年月日が同じ別人の情報を紐づけたと報道

    登録を行っている保険組合が、迅速に修正できていないことも

     

マイナ保険証に2人以上紐づいたとの報道
(原因としては健保側修正が遅い可能性も、と報道されているが、基本的にはシステムの仕様ミスでは) 

  • KHB『【独自】マイナ保険証“自分”以外に“別人”の情報…「2人以上ひもづくこと可能」』
    5/26 (金) 23:30

    https://www.khb-tv.co.jp/news/14917933
    原因:登録を行っている保険組合が、迅速に修正できていないこともと報道

    茨城県のクリニックを受診したAさん。病院の窓口でマイナ保険証をかざしたところ、表示されたのは2人分の名前でした。1人はAさんでしたが、もう1人は別人の名前。苗字も名前も違う人物です。

    病院側が詳細を確認したところ、氏名だけでなく、生年月日も住所も違うBさんの情報が表示されました。Bさんは、このクリニックに受診歴はありません。

    (略)今回は、“同姓同名”でもなければ“生年月日”も異なります。

    システムを管理する専門機関に問い合わせました。 社会保険診療報酬支払基金:「今回のケースは、同一番号に名前や生年月日の違う2人分の情報がひもづいている可能性がある。システム上、2人以上がひもづくことは可能。登録を行っている保険組合が、迅速に修正できていないことも考えられる」

     

原因として、データ仕様やデータ整合が取れていないことを推察させる
健康保険組合がJ-LIS照会しても9割不一致?)

  • 伊藤岳議員の質問と政府答弁

https://www.youtube.com/watch?v=tY6_SOUVHCE

 

2.公金受取口座

原因は登録支援時にログアウトしなかったこととの報道

26日、新たに公金の受け取り口座に別人の口座が登録された事案が全国で20件確認され、このうち1件は嬉野市だったということです。

嬉野市によりますと去年9月、市役所で職員が登録を支援する際に、前の人の画面をログアウトせずに情報を入力していて、翌日に気付いて関係者に連絡、訂正したということです。
市はログアウトの徹底や本人と一緒に登録内容を確認するなど再発防止策を行っているということです。

操作を手伝う委託業者のスタッフが前の人がログアウトしたことを確認せず次の人の手続きを行ったことが原因。
郡山市ではログアウトの確認を徹底するなどして再発防止に努めるとしている。

マイナンバーに別の人の情報が登録されるミスは県内では福島市いわき市で起きていて、デジタル庁によりますと全国14の自治体で20件確認されている。

 

3.マイナポイント誤交付

原因としてログアウト漏れ

総務省はカードの取得などで最大2万円分のポイントがつく「マイナポイント第2弾」の事業で誤って他人にポイントが付与された事案が、90の自治体で、合わせて113件確認されたと発表しました。

自治体のポイント申し込み窓口で前の人がログインしたままの画面で申し込みをしたため、前の人のカードの情報と自分が登録する決済サービスがひも付いたことが原因だとみられるということです。

総務省は、決済事業者を通じて、ポイントを取り消す作業を進めるとともに、同様の事案がなかったかさらに調査を進めるとしています。

また、自治体の窓口で今回のような事案が発生しないよう、すでにシステムの改修を行ったということです。

原因としてマイナンバーカードかざしを2回から1回に変更

  • 朝日新聞『マイナポイント誤登録、システム変更でミス拡大 手続き簡略化が一因』

    https://www.asahi.com/articles/ASR5Y6K25R5YULFA01N.html

    https://news.yahoo.co.jp/articles/472b7b2d5b0f3f857fc55f6624130fe26f35dcba


    2023年5月29日 20時56分(朝日サイト側の時刻表示)

    キャッシュレス口座の誤登録が相次いで発覚した問題で、デジタル庁は29日、本人確認を簡略化するシステム変更を昨年6月に実施したことが原因の一つだったとの認識を示した。
    (略)
    参議院の特別委員会で、立憲民主党の杉尾秀哉議員の質問に、デジタル庁の村上敬亮統括官が答えた。 ポイントを受け取るためのサイトやアプリは、手続きの開始時と完了時にマイナカードで本人確認する仕組みになっている。しかし、これが煩雑すぎるとの批判が政府のコールセンターなどにあり、「(手続き完了時の確認は)やめるという判断をした」という。
    (略)問題が解決しなかったため、今年4月にシステムを元に戻したという。

    (水町感想)共産党みたいに立憲民主党も国会質疑を動画アップしてくれないのかなあ。結局、国会で質疑していて、そこで重要な事実が明らかになっても、議事録がネット公表されるのは1か月後ぐらいだし、マスコミが記事にしてくれなければ、こちらはずーっと国会動画を見続けるのは無理だから、わからないじゃないか。国会質疑ごとに要約を概要欄につけて、YouTubeにアップしておいてほしい。だいたい、質問通告だって、前日夜には終わってるわけでしょう。そしたらその質問通告を要約として、概要欄に貼れば良くないか。つーか、野党に求めずに、それを衆参に求めるべきか。

4.コンビニ交付(コンビニでの住民票・戸籍・印鑑証明等の取得)

原因として、負荷と複数システム接続を挙げる報道

誤交付の原因は自治体ごとに異なる。横浜市ではサービス利用者の増加でシステムへの負荷が増えたことが原因とした。処理しきれない申請について強制的に印刷をやめ、次に処理するはずだったデータを誤って取得、印刷した。足立区では自治体窓口で使うシステムとコンビニで証明書を交付するシステムをつなぐ際に障害が起きた。

原因を述べていない報道

新潟市ではマイナンバーカードを使ったコンビニ交付サービスで、廃印処理したはずの印鑑登録証明書が交付されるミスが5月に入り少なくとも3件確認されていました。
富士通Japan」のシステムによるもので、全国でも同様のトラブルが発覚したことから総務省はこのシステムを運用している各自治体に総点検を依頼。
新潟市は26日から27日、上越市ではこれまでトラブルは確認されていませんが29日から31日までコンビニ交付サービスを停止し点検を進めます。

 

富士通の件はシステムの問題なので、専門記事や富士通の資料を見た方が良さそうだが、現状、その時間が取れないので、時間ができたら追って追記する。

 

※23.5.29AMにGoogleニュース検索で「マイナンバーカード」と入力して、最初の4ページ分まで見終わった。