ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

闇名簿

President Onlineの記事を読んで、気になった部分があったので。

president.jp

 

例えば、正規の合法な名簿屋がある。これは、セールスマンのための名簿を扱う会社です。学習教材会社なら、ファミリー名簿を買うんです。

しかし、こうしたカタギの名簿屋さんも、名簿のオイシサを知ったら、悪いほうに流れていくケースもあります。

高級ブランドや高級車の購入者名簿が欲しければ、店の従業員に接触して、カネをチラつかせてデータのコピーを取らせるとか、さまざまな方法があります。

あと、カタギさんに「家にカネありそうなところ知らないか。そこに本当にカネがあれば、(儲けの)10%やるから教えてくれない?」って言うと、必死で調べてきますよ。こうした生の情報はありがたい。自分がタタキ(強盗)の実行犯にならなかったとしても、情報自体が売れるんですから。

 

高級ブランドや高級車の購入者名簿の不正提供

個人情報保護法174条違反で、1年以下の懲役または50万円以下の罰金。

第百七十四条 個人情報取扱事業者(その者が法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。第百七十九条第一項において同じ。)である場合にあっては、その役員、代表者又は管理人)若しくはその従業者又はこれらであった者が、その業務に関して取り扱った個人情報データベース等(その全部又は一部を複製し、又は加工したものを含む。)を自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的で提供し、又は盗用したときは、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 

高額現金などを置いている家の情報提供

→この場合、個人情報保護法174条適用とならないが、強盗殺人・強盗致死・強盗又は窃盗の幇助か。

 

怖いですね、闇名簿…。

 

強殺とか放火って法定刑重くて、それって刑法制定時の時代背景もあると思うんですよね。今の罰則の作り方って、類似犯罪の法定刑との見合いで作ってますけど、それって類似犯罪の法定刑が正しくないと、意味がないと思うんですよね。現代にあった法定刑っていうのを見直すべきだと思います。現代か近代かゆえではないかもしれませんが、性犯罪、名誉棄損とかの法定刑とか、あとは条例での罰則に落ちているけど(迷惑防止条例とか)、本来は地域性云々じゃないものはきちんと刑法犯にするとか。