ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

(その2)個人情報保護条例統一化&個人情報保護法改正法案概略

個人情報保護条例統一&個人情報保護法改正法案については、今後もブログで書いていくつもりですが、まずは概略を書いていきたいと思います。マイナンバー法改正も、もちろんブログで書くつもりですが、まずは、個人情報保護条例統一&個人情報保護法改正法案の部分について。

 

1.法案の構成

デジタル庁関連で、以下の法案が提出されています。

  • デジタル社会形成基本法
  • デジタル庁設置法案
  • デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案

このうち、最後のいわゆる整備法で、番号法個人情報保護法改正がされているので、整備法の概略を見ていきます。

 

関連資料一覧 http://www.cas.go.jp/jp/houan/204.html

整備法案文 http://www.cas.go.jp/jp/houan/210209_3/siryou3.pdf

(50条は122Pから、51条は224Pから)

整備法新旧 http://www.cas.go.jp/jp/houan/210209_3/siryou4.pdf

(50条は212Pから、51条は326Pから)

 

新聞記事としては、以下などが出ていますね。

www.nikkei.com

2.個人情報保護法改正

概要は次の資料のとおり。

http://www.cas.go.jp/jp/houan/210209_3/siryou1.pdf

 

資料から該当部分を貼りつけておくと、次のような感じ。

個人情報保護制度の見直し(個人情報保護法の改正等)

  • 個人情報保護法行政機関個人情報保護法独立行政法人個人情報保護法の3本の法律を1本の法律に統合するとともに、地方公共団体の個人情報保護制度についても統合後の法律において全国的な共通ルールを規定し、全体の所管を個人情報保護委員会に一元化。
  • ② 医療分野・学術分野の規制を統一するため、国公立の病院、大学等には原則として民間の病院、大学等と同等の規律を適用。
  • ③ 学術研究分野を含めたGDPREU一般データ保護規則)の十分性認定への対応を目指し、学術研究に係る適用除外規定について、一律の適用除外ではなく、義務ごとの例外規定として精緻化。
  • ④ 個人情報の定義等を国・民間・地方で統一するとともに、行政機関等での匿名加工情報の取扱いに関する規律を明確化。
  • 施行日:公布から1年以内(地方公共団体関係は公布から2年以内)

 

詳細は、内閣官房の個人情報保護制度の見直しに関するタスクフォースの資料を見るとわかりやすいですね。

個人情報保護制度の見直しに関するタスクフォース|内閣官房ホームページ

同タスクフォース最終報告全文→

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kojinjyoho_hogo/pdf/r0212saisyuhoukoku.pdf

同タスクフォース最終報告概要→

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kojinjyoho_hogo/pdf/r0212saisyuhoukoku_gaiyou.pdf

 

3.個人情報保護法条例

整備法で、個人情報保護法改正は2条に分かれています(50条関係と51条関係)。

で、50条が、行政機関個人情報保護法独立行政法人個人情報保護法個人情報保護法の一元化の話です。まあそれに付随してGDPR対応の改正も入ってはいますが。

 

そして、51条が個人情報保護条例の話です。

  • 定義の2条11項2号・4号で、「行政機関等」の中に、地方公共団体と地方独法が入っています。63条の「行政機関の長等」の中にも地方公共団体と地方独法が入っています。
  • 行政機関個人情報保護法相当の規制が、地方公共団体と地方独法にかかってきます。
  • 審査会は、各自治体のものをこれまで通り使うようです(105条3項)。審議会も、存置可能(129条)。
  • 非識別加工情報(新・行政機関等匿名加工情報)についてはまだ詳しく読めていませんが、これ、自治体にもかかってきそうですね。「行政ビッグデータの活用・取得マニュアル」を大幅改訂したほうがいいかもしれませんね。
  • 個人情報保護条例を定める場合は、個人情報保護委員会に届け出が必要です(167条1項)。そして、まだ詳しく読めていませんが、基本的には非識別加工情報(新・行政機関等匿名加工情報)等の関係で、条例を定める必要がありそうですね?
  • 条例要配慮個人情報という概念あり(60条5項)。
  • ファイル簿は基本的に行政機関のファイル簿と同じものとなるが、これまで通りのものの併存も可能?*1(75条5項)。
  • 施行期日は、公布日から2年以内の政令で定める日ですかね? 規制変わる独立行政法人等の方については1年以内?それとも令和3年9月?(←あとで確認予定) 附則51条の施行期日と本体51条の施行期日がぱっと見、分かりづらいような気が。

 

 

 

 

*1:「妨げるものではない」という書きぶりから文理解釈すると、普通は併存だが、解釈論としては代替可能という解釈もできなくない???代替可能ならともかく、併存するなら、ファイル簿と登録簿の二重管理になっちゃうんで、併存可とする意味があるのかっていう問題がありますけどね