ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に資する統計データ等の提供の件

 

1~4は2020.4.2記載。

5&6は2020.4.7追記。

7は2020.4.8追記。

8は2020.4.9追記。

9は2020.4.14追記。

10は2020.4.24追記。

1.前振り(どうでもいい話)

本件(コロナ対策のために位置情報や検索履歴等を国が集めようとしている件)、あえてブログで感想を書きませんでしたが、軽く感想を書いておきます。

headlines.yahoo.co.jp

 

なお、NHKニュースの携帯位置情報の件は、ブログに書いています。国の方のニュースは、これ記事読んだ瞬間に、ブログに書く気もうせていましたが、一応軽くブログに書いておきたいかなと思いなおしました。

cyberlawissues.hatenablog.com

 

2.論点

携帯キャリア、プラットフォーマー等は、確かに個人情報保護法は適法に個人データの提供が可能です(個人情報保護法23条1項3・4号、統計情報の提供構成、匿名加工情報の提供構成も取れる)。

(第三者提供の制限)
第二十三条 個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。
一 法令に基づく場合
二 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
三 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。
四 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。

 

ただ、問題としては、今パッと思いつく範囲だと以下の3点がまず挙げられるかと思います。

  • 1)国による個人情報集約の必要性・正当性
  • 2)業者にやらせるのだとしたら、その業者の適法性・適正性の保証
  • 3)携帯キャリア三社(シェア上位三社)等にそれぞれ分析してもらうこととの違い

 

1)国による個人情報集約の必要性・正当性
  • 国が、国民のほぼ全員の移動情報、検索キーワード、閲覧履歴、投稿履歴などを集約してよいのか。
    コロナ対策の観点から活用してもらうことは良いことかもしれないが、それ以上に使わないのか。
  • 毎日新聞記事によれば、「人が密集しやすい地域を早期に把握して注意を喚起したり、特定の検索語の増加と感染者の増加との関連性を見いだすことで、早期に医療体制を整えたりするといった活用法が期待されている」とある。
    確かに携帯キャリアから位置情報をもらえば、どの程度人出が減っているか、どこに人が多いかなどが把握できて、注意喚起やクラスター発生防止などに役立てることができるかもしれない。
  • しかしその一方で、検索キーワード、閲覧履歴、投稿履歴を集約することで、そんなに言っているようなコロナ対策に役立つ分析に本当になるのか。
    「特定の検索語の増加と感染者の増加との関連性を見いだすことで、早期に医療体制を整えたりするといった活用法が期待されている」って本当ですか?
    ある一定の検索語が増えると、感染者増加するとか、そんな傾向がみられるのでしょうか。
  • 例えば、イベント名でばーって検索が増えて、そのイベントに来場者がいっぱい集まって、クラスター化を防ぐとかですか?そんなの検索キーワード履歴を見なくても、ネットをちょっと見ただけで、わかるような気もしますが。検索ワードの上位に来ないような、比較的小規模なイベントを3密空間でやると、確かにネットをちょっと見ただけではわからないし、クラスター化もする危険があるかもしれませんが、それを検索キーワード履歴から分析しつくせるものなのでしょうか。
  • それよりは、「トイレットペーパー ない」「マスク ない」「自粛」「休校」「転売」とか、あとはなんでしょうか。それこそTwitterトレンドをパッと見るだけで、世論は、まあわかるので、政治的には、それ見ればいいのではって気はしますけどね。Twitterトレンドとか検索エンジン検索キーワード上位とかを超えて、さらに詳細データを分析してまで、何か調べる必要があるのか。国民が心配に思ってネットでつぶやいていることとかを、分析かけるということなのか??
    それとも、記事にあるように、本当に「特定の検索語の増加と感染者の増加との関連性を見いだ」したいのか?? 
  • 何の目的に使うのかを特定して、その範囲内を守っているかどうか、国会か、第三者委員会(個人情報保護委員会は確かに3条委員会だが、個人情報全般について各省監視をできる権限はないし、官邸に物が言えるのかという疑義がある)がチェックとかしないでいいのか? いろいろ考えると、国会の下に、本件だけじゃなくて、様々なチェックができる専門家集団みたいなのを置いた方がいいのでは?
  • もちろん、ビッグデータ分析は、用途を限定しすぎると、逆に見える効果も出てこないというのはよく言われる話。でも、国が、法律にもとづかない要請とはいえ、事実上の権力行使で国民全員に近いデータを集めて分析するというのだから、そこは、やはり最低限のチェックは必要なのではないのか??
    もちろん、今は忙しくて、国としても、チェックばかりされたら逆に実務が進まない、その対応をする余裕がないっていうこともあるかもしれないけど、もしどうしてもの緊急の場合でも事後検証は絶対にできるようにしておかないといけないのでは?

 

2)業者にやらせるのだとしたら、その業者の適法性・適正性の保証
  • 毎日新聞記事だと、「単にデータだけもらっても政府で分析するのは難しい。データをどう使うか企業に提案してもらい、有効となれば施策に生かしたい」とあります。
    最初、このニュース見て、この部分読んで、完全にがっくりしました。
    国で分析できないのに、国の事実上の権力を使って集めて、それで、国が、民間事業者にどうデータ分析できるか提案してもらって、で、実際にデータ分析するのも民間事業者ってことですよね?違いますか?
  • その民間事業者が国に「こういうデータをこういう会社からもらって分析すれば、コロナに役立つ分析結果が出るかもしれませんぞ」って提案して、その裏にいる民間事業者が、良い提案をして、受注するっていうことかなとも、読めなくはありませんよね。でもそれが、適正金額で、適正な分析であれば、社会的に批判されることかといえば、そうでもない気はします。
  • その民間事業者が適法にデータを、ちゃんと国に言われた範囲しか使わないこと、適法適正にデータ管理してデータ分析して廃棄すること、これ絶対に保証しないといけないと思います。その管理、ちゃんとやってほしい、絶対に。契約条項にその旨入れるだけで満足しないで、ちゃんと実地検査まで確実にやってほしい。そして、民間事業者にデータそのまま渡さないで、データは霞が関で施錠管理して、民間事業者が実際に霞が関に来て分析するようにしてほしい。ただ、あれか、在宅勤務推奨だと、矛盾しちゃうのかな?
 3)携帯キャリア三社(シェア上位三社)等にそれぞれ分析してもらうこととの違い
  • 上にかいたような論点を踏まえると、だったら携帯キャリア側にそれぞれ役立つ分析をしてもらったらどうかとも思います。
    それぞれが持つ情報をそれぞれで分析して統計情報にして国に提出したり、公表するというのではまずいのでしょうか?
  • そしたら、すでに各社が持っている情報ですから、国が集約して悪用するリスクもないし、国の受託事業者が悪用するリスクもないし、集約リスクもないし、さらには提供時の漏洩リスクもないですよね。
  • 個別に分析すると、集約してから分析するのと違った結果になったりするリスクはありますが、大手キャリアってすごい加入者数だから、それぞれで分析したとしても、価値ある分析結果になるのでは?ならないという説明があれば、私も納得しますが。
    コロナに役立つ分析、情報発信をしてる企業を表彰するでも、官庁のサイトからリンク貼るでも、補助金つけるでも、やりようはあるのでは?2の受託事業者にお金払うなら、そのお金、キャリアにそのまま渡すこともできなくないと思いました。

 

 

あと、感覚的には、 まあ、確かに霞が関じゃデータ分析できないだろうけど、これ霞が関で企画立案能力をもう放棄したとも読めなくはありません。もう少し、霞が関としての矜持を持つような、霞が関の対応というのをお願いしたいところ。マスクの件だって、6億枚のマスク、いまどこに流通しているのか、経産省消費者庁で早急に調査しようと思えば調査できるのでは?トイレットペーパーだってアルコール除菌だってそうだと思います。

国として今後考えられる課題は何か洗い出して優先順位をつけて、対応省庁決めて、迅速に行動していくべきなのでは?それを、内閣官房ないし対策会議の実務者会議でやって、で、全省庁、通常業務はもう半分ぐらいにして、全本省職員の4割ぐらいはコロナに充てるぐらいするべき段階なのでは?

 

なんか、こういうちょっと感情的な文章になっちゃいそうだから、ブログ書きたくなかったんですけど、毎日新聞に記載されていたコメントが、本当でなかったらいいのにな。いくらなんでも、 「単にデータだけもらっても政府で分析するのは難しい。データをどう使うか企業に提案してもらい、有効となれば施策に生かしたい」って…。だったら、携帯キャリアに分析してもらったらどうでしょうか?

 

3.個人情報保護法上適法かどうか

適法に提供するための方法は大体4つあります。

①統計情報にして渡す(誰が何をしたかは、国やその受託事業者には絶対にわからない)
  • メリット:誰が何をしたかは絶対にわからない。
    そのため、国が国民全体の移動情報、検索キーワード、閲覧履歴、投稿履歴などを集約してよいのかという問題・リスクをかなり緩和できる。プライバシー権侵害、ほかの目的で使わないかなどの問題が、統計情報であれば、誰の情報か絶対にわからない。
  • デメリット1:必要な分析ができない可能性。
    データが統計情報だと粒度が粗すぎて、必要な分析ができない可能性は残る。ただ、どういう分析をしたいかどうかによるので、自粛要請効果を見るとか、時点ごとの混雑度合い、人出の多い場所を見るとかなら、統計情報で十分では。検索キーワードなんて、それこそ統計情報で十分だろう。
  • デメリット2:データ提供側の民間企業にとっては、完全に統計情報にできるかという問題がある。
    適法な完全な統計情報化をいつもしている企業ならいいが、そうでなければ、対応に手間がかかる(大企業なんだし、この時代のインフラ産業ともいえる業種だから、みんなの危機のために無償で協力しろという話なのか)。さらにいえば、たぶん、いつも公開している統計情報のまま国に提供すると、「この情報を加えろ」「これはなんでこうなっているんだ」「この項目はなんなんだ、直して」とかいう要求があったりする可能性もあって、データ提供側に手数がかかる可能性。
②匿名加工情報にして渡す(誰が何をしたかは、国やその受託事業者にはわからない)
  • メリット1:統計情報より粒度の細かい情報を提供できるので、統計情報よりきめ細かい分析が可能になる
  • メリット2:統計情報より粒度が細かいとはいえ、誰の情報かはわからないようにきちんと加工されているので、プライバシー権侵害リスク、国が国民全体の移動情報、検索キーワード、閲覧履歴、投稿履歴などを集約してよいのかという問題・リスクを大幅に緩和できる。
  • デメリット1:データ提供側の民間企業にとっては、匿名加工情報の個人情報保護法上の手続きをしないといけない
  • デメリット2:データ提供側の民間企業にとっては、完全に匿名加工情報にできるかという問題がある。結構加工が難しい。
③公衆衛生の向上という理由で渡す(個人情報のまま)
  • 「公衆衛生の向上のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき」には、同意なく、個人データの提供が適法にできる。
    全国民の同意を取るのは物理的に不可能に近いので、「本人の同意を得ることが困難であるとき」の要件も満たすとも考えられる。さらに同意が取れた人のデータだけにすると、データに偏りが生じて、適切な自粛要請等ができないということもあり、同要件は満たすと考えられる。
  • ただ、この構成で、いきなり「生データのまま全部ください」というのはあまりに乱暴なんで、さすがにそれはしないのではないか。おそらく、①統計情報構成を取りつつ、統計情報化できずにだれかわかってしまう部分(個人情報であり続ける部分)の適法性担保のために、この「公衆衛生の向上」を使うという建付けではないか。
④国の法令事務への協力という理由で渡す(個人情報のまま)
  • 「国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき」には、同意なく、個人データの提供が適法にできる。
    何らかの法律で、国の調査権限などがあれば、それに基づいてこの構成を取ることも可能か。
  • 「本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがある」という要件については、③と同様の理由から満たすと考えられる。

4.国の要請文書

https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200331017/20200331017_a.pdf

新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に資する統計データ等の提供について(要請)」の記載を見ていきたいと思います。

提供情報

今般提供を要請するデータは、法令上の個人情報には該当しない統計情報等のデータに限ることとします。

「統計情報等」というのは何を意味しているのかがよくわかりません。「等」とは何か。やはり、上(3③)に書いたように、統計情報+公衆衛生構成が検討されている??

 

利用目的

提供していただいたデータは、政府内の新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の担当部署で、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の目的に限り、利用することとし、当該部署における取組が終了次第、速やかに消去します。

上で書きましたよね。何に使うかちゃんと特定する必要がある、と。それがここでは「新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の目的」とあります。これをもっと具体的に説明してほしいなと思います。また移動情報だけじゃなくて、検索キーワードとかも取得するのであれば、それが目的にどう資するのか、きちんと合理的に説明してほしい。

また、データ分析は、民間事業者に委託するのではないのか。そうだとしたら、上に書いたように、ちゃんと実地管理してほしい。

また、消去って、霞が関の本庁舎内で物理破壊するのか? 神奈川県庁問題以来、物理破壊一辺倒になりつつあるが、実際どう破壊するのか。

今、緊急対応で忙しくて説明する暇が全然ないとしても、絶対に事後的に検証できるよう、公文書を保存して公表してほしい。

 

追加のデータ提供

なお、今後必要となった場合には、データの提供を追加的に要請する可能性もありますが

その場合も、目的と必要性・妥当性をきちんと対外的にも説明してほしい。緊急の場合でその余裕がない場合でも、事後的にきちんと公表してほしい。

 

個人情報保護法上の根拠

個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)等の関係法令を踏まえ、同法の定める例外規定の適用も含めて、適法に提供いただくことを想定しています。 本要請の内容については、個人情報保護委員会とも調整を了しています。

 

これが謎。統計情報なら例外規定の適用じゃないでしょう。公衆衛生向上で行くつもりなの?しっかり説明してほしい。

 

担当省庁

要請文の発出者は、内閣官房IT室、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室、総務省厚生労働省経済産業省になっている。

それに対して、連絡先は厚労省健康局結核感染症課で、要請に対する質問は内閣官房IT室宛てに、となっている。

総務省経産省は、キャリアとプラットフォーマーの所管官庁としての連名?

何にも関係ない外野の勝手な意見ですみませんが、厚労省、仕事多そうだから、データ分析とかも、総務か経産で引き取ったらどうだろうか。厚労省、本当に回っているのか。

そして、なぜ要請の質問はIT室なんだ。おかしいだろう。新型コロナウイルス感染症対策推進室が要請の窓口になるべき?それか総務か経産の共管か。IT室主導で要請を出したから、要請の質問はIT室宛てになっていると読めてしまう。まあ総務も経産も、こういうの私が両省の立場だったらやらないが。

 

5.続報(テックチーム)

 2020.4.7追記

news.tbs.co.jp

 

政府では分析できないので民間に提案してもらうという件の続報がありました。テックチームを発足したそうです。

 

www.asahi.com

朝日記事によれば

政府が要請している情報は、「法令上の個人情報には該当しないデータに限る」としており、個人の特定に結びつかない統計加工がされたものだという 

 

国の要請文書だと、「統計情報等」になっているが、この「等」は個人情報を含むわけではなく、非個人情報かつ非統計情報を指しているということ??

さらに、国の要請文書だと、データ提供について、個人情報の保護に関する法律の定める例外規定の適用を考えているとあったけど、統計情報などの非個人情報だと、そもそも個人情報保護法の適用外*1だけど、これは要請文書の文章がが舌足らずというか筆が滑っちゃったということ?例外規定が適用されるということは、個人情報だということになるけど??

 

不明な点が多すぎてよくわからない…。個人情報なのかそうじゃないのか。なぜ個人情報保護法の例外規定の適用という文が国の文書にあるのか???

 

さらに、テックチームを作るなら、データ提供要請の前に作ったらよくないか?ドコモにしろ、Googleにしろ、Yahoo!にしろ、大量データを持っていて、それぞれ分析できるわけでしょう。それらを集約して分析するにしても、各社が独自でどういうデータ持っていて、どう掛け合わせればよいかがわからなければ、データを収集だけしても意味ないし。政府の単独の能力で、とりあえず集約して、異なるデータを突合して分析できるってこともないだろうし。まずは各社のデータの状態・分析可能なデータを聞いて、各社データを集約して分析するかどうか考えるっていうのが、正当な順序では?

そして、政府にすでに各社からデータは集約されているのか?そのデータは、実際にだれが突き合わせて分析するのだろうか。それをテックチームで分業するの?みんな自分が持っているデータは競業他社に向けてはあまり言いたくないし渡したくないだろうけど、その点はどうなっているんだろうか。

 

6.デジタル社会の実現に向けて

コロナ対策にIT/ICTが非常に効果を発揮できる可能性があることは事実。そして、IT/ICTがここで非常に役立つことをできれば、今後のデジタル社会というのも、一気に展開していくと思われる。

その意味で、この未曽有の状態に、IT/ICTの力を役立たせることは大変に重要なこと。

 

また、今は緊急事態ともいえ、多少のごたごた、順序がおかしい、文章がおかしいことがあっても、それをとやかくいう事態ではない。

マルチベンダーというか、さまざまな会社が官と一緒になって、コロナ対策にIT/ICT/データ活用がどのように効果を発揮できるか考えることは、とても素晴らしいことで、ここから社会の役に立つことが進んでいけばと思っている。

が、報道を見る限りだと、よく意味が分からないことが多い。

国にデータを集めるのが先で、そのあとテックチームを作ってみんなで検討しましょうということはなぜなのか? 国にデータを集めても国では分析できないという報道があったし事実だと思うけど、じゃあ実際に各社データを突合して分析するのはだれが担うのか? 

なぜ個人情報保護法の例外規定が適用されるのか。個人情報じゃないと例外規定の適用にはならないが?

経済財政・再生相が担当大臣とのことだけど、これはIT室の担当大臣ということ? データ提供協定の担当部署は厚労省健康局結核感染症課だったのに、なぜ? っていうか、結核感染症課とか、すごく仕事多そうだから、そこでテックチームの開催までできないのは当然だけど、なぜだったらデータ提供協定の担当部署を結核感染症課にしているのか。厚労でデータを集めるというわけではないの?でも厚労が協定締結の窓口はやるの?しかも忙しくて大変そうな結核感染症課が?

要請文にある「政府内の新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の担当部署」というのはどこ?厚労省健康局結核感染症課?それとも内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室?それともIT室?

と、報道を見ていると、謎が浮かびます。

 

ただ、私もこんなことをぐだぐだブログに書くよりも、もっと、社会に役立つようなこと、IT/ICT/データ分析でコロナ対策に役立つことをブログで提案したいと思います。今、この時期に、こういう細かいぐだぐだしたブログを書いても、なんの意味もない。それよりも、マイナンバーとかITとかデータで、もっと社会に役立つことを提案していきたいと思います。

 

7.感謝・お詫び

いろいろとブログに好き放題書いてしまいました。

しかし、こういう時期でも、きちんと仕事をしてくださる国家公務員、地方公務員の方がいるからこそ、だということは、心から強く認識しています。緊急事態宣言を出すにしても、マスク2枚の件にしても、テックチームの件にしても、その政策の裏でどれだけの公務員が昼夜問わず真摯に働いているか。法律の根拠又は解釈と、膨大な調整、事務作業、問合せ対応等がありますので、世間的には簡単な政策に見えても、その裏で働く公務員の方の作業量・ご苦労は本当になみなみならないものだということは、私も過去に短期間ですが公務員経験があるので、わかっているつもりです。

 

例えば、最近ニュース見て思ったのは、都の自粛要請業種、あの調整、どんだけの作業量なんだと思いました。あれは本当に大変そう。

 

なんか好きにブログ書いていますが、しかも、細かいことをつついていて恐縮ですが、公務員批判をしたいわけでは、まったくありません。私はどうしても性格的な問題か、ブログが細かくなりがちなので、この時期だから、そんな細かいことをいっても何も始まらないので、もっと社会の役に立つようなマイナンバーやIT/データ活用について、ブログで提案できるか考えていきたいと思います。あとはどうせ細かいことを考えるなら、個人情報保護法令和2年改正について、細かく考えていきたいと思ってます。

 

8.続報(ドコモデータやYahoo!による分析)

 7で、もう書かない的に締めくくっておいて何ですが、分析例のネット記事を見たので。

 

www.nikkei.com

東京駅を含む丸の内地域では8日午前8時台の人の数が前年の同じ曜日と比べて46%減った。同28%減だった1日と比べると、人の動きは少なくなっている。新宿駅西口は1日の25%減から37%減。JR大阪駅周辺は29%減が45%減だった。

 

about.yahoo.co.jp

歌舞伎町、センター街は2月27日の小池知事による休校要請や外出⾃粛要請をうけて大きく減少、さらに3月25日の都知事緊急会見を受けて3⽉27⽇からは2段階⽬の減少となり、4⽉に⼊ってもその傾向を維持、1⽉末と⽐較して訪れる⼈の減少幅は最大で78.3%減少し、21.7%という大きな下げを記録する時間帯もありました。

 

非常に良い分析が載っていましたので、リンクを貼っておきます。

やはりこれを見ても、ドコモデータやYahoo!データだけで、良い分析ができているのでは? 霞が関にデータを集めても霞が関では分析できないなら、まずは各社に分析してもらって、ドコモデータとYahoo!データを掛け合わせることで、より良い分析ができるっていうのなら、掛け合わせ分析も考えるっていうのが、やはり筋では??

 

9.続報(内閣官房データ公開&Yahoo!を受けて思う国としてのデータ活用)

 Yahoo!厚労省でデータ協定を締結したとのこと。

www.mhlw.go.jp

 

あとYahoo!データソリューションで様々なデータ公開中。

ds.yahoo.co.jp

 

そして、内閣官房コロナサイトでも、データ公開中。データ出典は、Agoopとドコモになっている。これ見る限り、民間の分析で別に事足りる気がして、なぜ国でこのデータを公開するのかと思うけど。誰かにやれと言われているのかなとつい思ってしまいます。

corona.go.jp

 

国のデータ公開でも、これはいいなと思った。医療機関の状況のマッピング。これはよさそう。ただ、私が見た時間帯のせいか、情報量多いから、重かったかも。

cio.go.jp

 

国としてデータを発信するなら、国がやるべき意味があることがいいと思う。例えば、政策立案/私権制限の根拠データとしての利用や、国民の不安解消など。民間が既に出しているデータを国のWebサイトに載せても、重複に過ぎない気がするので。

  • 前者の政策立案/私権制限の根拠データとしては、ただデータを公開するだけではなくて、「首相が会見することでこんなに移動が減った/2週間後の感染者が減った」「都知事会見でこんなに移動が減った/2週間後の感染者が減った」「自粛要請によってこんなに移動が減った/2週間後の感染者が減った」というのを根拠として示して、今後の自粛要請や政治家会見の際に社会に与えるインパクトの根拠資料として使うと良いと思う。
    →「〇月〇日の首相会見を受けて国民の努力でこんなに移動が減ったが、感染者数推移をみるとさらなる移動自粛が必要で、今、ここに人が多いので、この対策として▲を要請する」みたいな感じ。感染者数推移も、接触制限をした時と、さらなる接触制限をした時のシミュレーションが前に専門家から提言されていたと思うけど、そういうのがあると、すごくわかりやすいと思う。
  • 後者の国民の不安解消データとしては、医療機関の地図プロットが良い例だと思うけど、報道で「医療機関が救急の受け入れ停止」などと報じられると、「大病院でそういう状況なのかしら?医療崩壊?大丈夫?」と不安が生じる。報道はあくまで事例であって、全国の状況や大病院全ての状況の報道ではない? そこで、国が、全体的な状況データを公開することで、「大病院のほとんどが救急受け入れ停止なわけではない」ということが、可視化されて伝わって、国民の不安解消につながる。さらには、ここから前者の政策立案の根拠データとすることも可能で、「〇県の大病院は、他の緊急事態宣言が出ている都府県と比べても、受け入れ停止率が増えているので、早急に支援が必要」みたいな感じ。
  • 後者の国民の不安解消データとしては、マスク・消毒薬の生産状況・物流状況・小売状況などの可視化も良いと思う。あとは医療機関にこれらがいきわたってないのではないかという国民の不安、スーパーや物流等国民の生活を支える方々にもこれらがいきわたるべきなのでその状況はどうなっているのかという国民の不安、これにこたえて、全国的な状況、緊急事態宣言が出ている都府県の状況のほかに、必要な場所に行き届いているかも可視化できると本当は良い。

 

10.続報(検索ワードからクラスタ予測)

 

www.sankeibiz.jp

 

例えば「発熱」「外来」など発症者がインターネットで調べる可能性の高い言葉の検索数が急増した地域を最小500メートル四方の範囲で特定。これらの区域を円形で地図上に示したデータを厚労省に毎日提供し、クラスターの疑いをリアルタイムで把握して医師や病床の確保、窓口の最適な配置を行う。利用者に情報利用への同意を求めており、同意者が一定規模を超えた段階で情報提供を始める。

 

このブログで、上の方で、検索ワードでクラスター予測なんてできるのかと書きましたが、「発熱 外来」などの検索数を位置データと掛け合わせて分析するようですね。

 

同意取得しているので、とりあえず有効な結果が出るかはわからなくても、どんどん分析すべきとの意見もあると思いますし、それはそうかもしれません。

「発熱 外来」検索が急増した場所をリアルタイム把握するって聞くと、「そうか、効果が出そうだな」とぱっと思いますが、ただ、500メートル四方の範囲で「発熱 外来」が急増するっていうことが、そこまで多くはない気がしなくもありません。自宅で検索していて、自宅付近で感染者が急増しているという場合は、そういう検索急増になるかもしれませんが、勤務先で感染した場合、あ、でも自宅と勤務先が近ければ、そういう検索急増もありますかね。鎌倉とか湘南に人が多いという報道を見ましたが、仮にそこで感染して自宅に戻った場合、いろんな場所に戻りますからね。鎌倉で感染して鎌倉で検索するっていうことであれば、鎌倉で検索急増しますけど、すぐに発熱はしないでタイムラグがある場合が多い気も。

なんかあまり、そこまで効果的な検索分析ではない気がしますが、データに基づく政策が大事なことは変わりありませんから、有効な結果が出る可能性が少しでもあって、かつ真の同意を取得できているなら、活用できるなら活用していっても良いかと思います。

500メートル四方っていうのは最小だから、2キロとか5キロとかにもできるんですかね。その方が、有効な気も。どうなんでしょうか。

 

この使い方って、今までの平時は、特定の場所で「ラーメン」「パンケーキ」といった検索が増えていたら、そこに広告配信とかをやっていたんですかね。

 

 

あと思うのが、公園やスーパーの混雑が問題視されていて、それ自体は正しいと思うのですが、スーパーの混雑といっても、スーパーの入場規制をするほどの混雑って、一部に限られているような気もします。スーパーって、会計時に詰めてくるお客さんもまだいますし、それよりも、エスカレーターとかで、がらがらなのに、直後の階段に乗るお客さんもまだいますし、売り場で他人との距離が30センチぐらいのお客さんもいるので、そういう点とかを、実態に即して課題を洗い出して、解決策を考えていくと良いのかなと。スーパーの業界団体に聞きながら政策立案をされていると思われますが、現地の状況に応じた課題を洗い出した方が効果的な気もします。店長や店員さんから、密集又は密接又は密閉している箇所を聞き取る又は店長や店員さんが防犯カメラ映像で店内状況を確認して、で、対策を考えていくとした方が良いかもしれません。

データ活用といえば、防犯カメラ映像というか店内状況映像を、匿名化して見せる技術って、確立しているんでしたっけ? 駅の混雑状況とかをカメラ映像から個人が特定しないように加工して、乗客に見せるサービスとかありますよね。あれを使えば、スーパーや公園、海、神社などの混雑状況を可視化できるのでは。

 

公園も、密集又は密接して過ごすのがダメなんですよね?あとは不特定多数が触るものに触っちゃいけないんですかね。知らない人と離れないで、混雑したとこを押しのけてジョギングする方も散見されますから、一律閉鎖とかじゃなくて、そういう実態に即した課題解決策を考えると良いように思います。

 

*1:非個人情報にも当たり得る匿名加工情報、仮名加工情報、個人関連情報はそれぞれどういう立ち位置で個人情報保護法の適用かという点は本当は検討しないといけないけど(非個人情報じゃないものも列記)、今別に誰も匿名加工情報や法改正成立前の仮名加工情報や個人関連情報の話はしていないと思うので、割愛