ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

朝日新聞にコメントしました

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朝日新聞マイナンバーカードに関する記事にコメントしました。

 

私としてはマイナンバーやマイナンバーカードに反対の立場ではありません。マイナンバーカードは、ICカードとしては、ID/PWよりも安全性が高く利便性の高いカードになる素地を持つカードであると思っていますが、今の使い方だと、誰の役にも立っていないように見えてしまいます。

マイナンバーカードを普及させることが目的なわけではなく、「社会課題を解決する」「人々の困ったことを解決する」ことが政策でやるべきことであり、マイナンバーカードで社会課題を解決させるような政策を打ち出していくべきだと思います。

保険証にもなることが、社会課題の解決になるのか、オンライン資格確認が社会課題の解決につながるのか、「政策」とは一体何のためにあるのか、誰のためにあるのか、本来の姿に立ち戻って真摯に考えれば、マイナンバーカードが効果を発揮する場面が出てくるのではないかと思います。

せっかく多額の予算をつけて、マイナンバーとマイナンバーカードを導入したのであれば、やはりきちんと効果を発揮できて、安全性を担保できるような、そういう政策を打っていくべきだし、そうあるべきだと思います。

マイナンバーに関して私ができることを今後もやっていくつもりです。

 

 

ちなみに、カードを落としても危険性は薄いという話については、以前のブログに書きましたので、よろしければご覧ください。ちなみに、私は毎日持ち歩いています。ただ、使う場面はほとんどないですけどね。この前、国債購入した時に、マイナンバーカード持ち歩いていたので、銀行へのマイナンバー提出がその場で完了してよかったぐらいですかね、持ち歩くメリットって。

cyberlawissues.hatenablog.com

 

日経新聞以外からがっつり取材を受けたのは久しぶりな気がしますが、やはり大手新聞は、一つの記事を書くのに、その裏で大量の取材をするのだなと思いました。そういう事実の取材、裏取りっていうか、取材力、まとめる力っていうのは、やっぱり新聞社ってすごいんだなと思いました。

初めて大学に入学した時、「大学教授っていうのは、講義でしゃべっている以上に大量の背景知識があるんだよ」みたいに大学の先生が授業でしゃべっていて、「へー」とすごく印象に残りましたが、インプット・思考を大量にしたうえで、より絞ったアウトプットっていうのは、最近の仕事ってそういう風にしない人も多い気もしないではありませんが、本来の姿っていうか、「へー」って思いました。

私の仕事に関していうと、講演資料とか作っていて、「ここは口頭でしゃべって、資料に書かないでいいや」とか思いますが、講演とかだと、そこは逆に資料化していないといけなかったり、また資料を読み上げるのではなく資料に書いてあることの発展形を口頭で説明してしまうと、聴講者の方にとっては資料を読んでもらった方がわかりやすいということがあったり、なかなか難しいところもありますが、「様々な背景知識に裏打ちされた効果的なアウトプット」というのを、考えていきたいなと思いました。

 

さらに、話が変わりますが、国が全員に身分証明書を発行することって、人権侵害という評価があるのですかね。そういう話をこの前別のところで、聞きまして。免許証とかパスポートとかは発行の理由・必要性があって、そうではないただの身分証明書について全員に携帯義務とか取得義務課したら、行政法規としての比例原則・相当性を欠く、立法事実がないとは思いますが、人権侵害っていう評価もあるんですかね。

 

あと、身分証明とか本人確認を突き詰めて考えると、「私が私であることの証明」というのは、哲学マターにもなる話で、すごく難しいなと思いました。氏名・住所・性別・生年月日で本人確認ができるっていうのはどういうことなんだろう、私の証明って何なんだろうとか突き詰めると、非常に難しい。

 

「指紋」でAmazon検索したら、次のような書籍がヒットしましたが、時間があれば勉強してみたいところ。今後は、「顔認証」関連もかなり注目されそうですし、「認証」「本人確認」「身分証明」とは何なのか、突き詰めてみると面白そうです。

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みずす書房とか青土社ユリイカ)から本を出版するって、本当に「文化人」だなって思います。いや、私が出版させていただいている出版社さんも、とても素敵な出版社さんなんですが、大学時代を思い出すというか、なんというか。