ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

Facebookデータがトランプ大統領選に利用された問題について3

Facebookの個人情報がトランプ大統領選に利用されたかもしれないという問題。
同意を得た27万人の情報という報道から、5000万人になり、今は最大で8700万人の情報が不正利用されたかもしれないと、数字が大幅増になっていました。

ブルームバーグニュースによると、「約27万人のユーザーが問題のアプリをダウンロードして性格診断クイズを行った結果、これらのユーザーと「友達」の個人情報が同アプリを開発した研究者に把握され、この研究者がCAへと情報を流した」とのこと。

最初は、アプリをダウンロードして同意したユーザの情報が不正利用されたかと思いましたが(→その時のブログ記事はコチラ)、その友達まで情報が不正利用されていて、友達は同意していないので、同意なく友達情報が不正利用されたということですね。

4月11日のアメリカ議会が開く公聴会ザッカーバーグFacebook CEO)がどのような証言をするのか、この辺りで報道がかなり出てきそうです。

日本ではそれほどこの問題は大問題として議論されている感がありませんが、アメリカではすごい反応があるようです。一般に、プライバシー権保護については、ヨーロッパが非常に厳格で、アメリカは情報の流通を重視していると捉えられてきました。それが、アメリカにおいても、Facebookに対する信頼が揺らいでいるという報道を見て、またIT業界でもFacebookへの批判が出ているという報道を見て、情報の流通を重視するアメリカでも、このような動きが出ていることに、今後の、個人情報を活用するビジネスの在り方が問われているように感じています。
Appleのコメントも、Facebook CEOの反応も、それを表しているように思います。ユーザからはお金をほぼ取らず、広告収入モデルを取るとすれば、ユーザの個人情報を活用する方向に傾き、さまざまなアプリが使えるようになっていけば、さまざまなアプリ開発者にユーザの個人情報が流れ、それがさらに流れ流れて、今回のような問題につながる。それに対し、ユーザからお金を取るモデルであれば、ユーザの個人情報は一企業内にとどまる(AppleならApple内のみ)。

Facebookも、データへのアクセス制限強化の方策を公表していますが、再発防止策として有用で実効性があるのかどうかが議論になるのとともに、そもそも消費者が想像するよりも多くの情報が、Facebookを通じて第三者が入手可能であったということが、消費者の感情としてあるようにも思います。

ユーザの情報を使って様々なアプリやサービスを展開していこうというビジネスモデルと、消費者の納得感が両立できるような方向性が示されるのか。

なお、FacebookGDPRの対象であると思いますが、施行前の現時点でも、すでにイギリスのプライバシーコミッショナーが調査等を行っているようです。