今、『逐条解説マイナンバー法』の校正中です。
これは一言で言うと、マイナンバー法に関するすべての情報を一冊の本にまとめて、私の現時点の知識の集大成を長々長々と書くという本です。といっても、マイナンバー法については自分でもかなりの既刊書籍があるので、既刊部分は他書名を引用する、と。でも、そうはいっても既に書いていない部分が結構あるのですね。逐条で条ごとにマイナンバー法を解説していて、結局500頁ぐらいになりました。
平成26年ぐらいから書き始めたものの、その後、他の書籍などの執筆に時間がかかり、長い間ホールドしつつも、なんとか昨年9月に脱稿した原稿です。で、昨年9月に脱稿したものの、私が初校をチェックするのが遅れ、かつ長々と書いていたために、法律が改正されたり、URLが内閣官房から内閣府に移ったりとさまざまな事情変更があり、出版社さんでの作業もかなり多くなってしまい、ようやく再校ゲラが手元に来ました。
通常は、原稿の執筆に3ヶ月ぐらい、原稿脱稿から出版までに3ヶ月ぐらいですが、これは原稿の執筆に2年強ぐらい、原稿脱稿から出版までに1年以上かかるという、とても大変な本になってしまいました。
で、再校ゲラを見ていて、思わず笑ってしまった点が。
この本は、商事法務さんから出版しますが、商事法務というのは、本当に鬼のように優秀な編集をしてくださる出版社なのですね。
編集者というのは、著者の書いた原稿の事実確認をするのがメインの仕事で、たとえば著者が引用している条文番号にずれがないか、著者の文に誤記がないか、著者の書いたURLが正しいか、著者の書いているガイドライン名やその中のページ番号が正しいかなど、こういう細かい点を細かくチェックしてくださるのですね。
商事法務はこの点が鬼のような能力なのです。あのわかりづらい番号法の読替後の条文番号のチェックもお手の物ですが、それにとどまらず、私、本人確認書類の解説で、番号法→番号法施行令→番号法施行規則→国税庁告示と引用しているわけですが、あの鬼のような国税庁告示の番号とかも本当に丁寧にチェックしてくださいまして、ゲラに書いてある鉛筆書きを見て、感嘆するレベルです!ほんと、すごい!
で、笑ってしまった点というのが、なんと、著者のくせに、私、平成26年から原稿書いていたから、自分の事務所名を「五番町法律事務所」にしていました。鉛筆書きで編集者さんが「宮内・水町IT法律事務所にしますか?」ってコメント入ってて、自分の事務所名古いままって、私どうなんだと思わず笑ってしまいました。挙句、略歴にこれまでの著書を書いていたのですが、平成26年から原稿書いていたせいで、学陽書房さんから今年出した本を略歴に入れていなかったら、それも商事法務の編集者さんが「入れますか?」ってコメントいただいていて。
いやはや、長々原稿をホールドしているとこうなるので、気を付けなきゃいけないなと自戒しました。そして、編集者さんに心から感謝しています。
出版社さん、いろいろなところから書籍を出させていただきましたが、会社によってほんと様々です。
というのも、編集者さんの個性がさまざまですね。有斐閣・商事法務は編集作業が極めて丁寧。感嘆します。中央経済社からは簡単な書籍しか出していなかったので、あまりこちらも条文番号等の間違いようがなかったのですが、法令集の編集ぶりはやはりさすが中央経済社という感じでお見事。労務行政も本当に編集作業が丁寧。かつこちらは法律書の典型みたいなカクカクした本ではなく、読みやすいレイアウトで素晴らしい。学陽書房は、読みやすいわかりやすい表現を追求する感じで、こちらも読みやすいレイアウト。そしてうちの事務所と場所が近い。きんざいさんは書籍は出したことがないからわからないけれども、雑誌だと、かなり手を入れる感じの編集作業。いつか書籍も出してみたいものです。
そういえば、神楽坂にもいくつか出版社さんがあるのですね。一番近いのは音楽の友ですが、音楽の友から出版することはさすがになさそうです。新書を出してみたいので、神楽坂の新潮社の前を通るたびに、「新書の出版依頼が来ますように」と念を送っているのですが、今のところ特に新書の出版依頼は来ません(笑)しかしこの話を弁護士会でしたら、「新潮も講談社も知ってるから紹介してもいいけど、紹介したいと思える企画を書いてね」と言われました。企画を書いたら、先生に紹介してもらおうと強く思いました(笑)といっても、仕事量が半端なくなるので、これからは少し書籍出版ペースを落とそうと思っているのですが、ついつい、本が出したいなと思ってしまう次第です。どうしてもそういう性分なんですかね。
今後の出版予定です。
- 今年冬ごろ:逐条解説マイナンバー法(商事法務)
- 来年春ごろ:非識別加工情報の書籍
医療ビッグデータ法(次世代医療基盤法)の本もいいかなと思ったりもしています。