ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

最近の状況

逐条解説書の執筆、あまりのボリュームで、やっている最中に「これ一生終わらないんじゃないか」と思うほどの作業量でしたが、さっき、附則の前までは一通り書き終わりました。ただ、ばーっと通し書きしただけなので、読み直してかなり手直ししないといけないし、ガイドラインを全く引用していないので、必要なガイドラインの記述を足しこんでいかないといけないけれども、ある程度の目途がたった状況です。

現時点で、42万2500字で、620ページ。改ページとかあんまりいれていないので、これだと本にしたときに、600ページを超えてしまいそうですが、出版社的には大丈夫なのでしょうか・・・ちょっと心配です。

しかし、「夜明け前が一番暗い」というのは本当だなあと実感します。

『チャレンジする東大法科大学院生』という書籍の一部を執筆した際も、「これは終わらないんじゃないか」と思ったら、比較的すぐ終わりました。これはゼミでやった調査を簡単に学期中にレポートにまとめたものを、司法試験後に論文にまとめて出版したものですが、私の書いた原稿に太田勝造先生がものすごくコメントを入れてくださるのです。あんなに丁寧にご指導してくださったおかげで、論文の書き方というのがしっかり身につき本当にありがたかったのですが、途中、「これは終わらないのではないか」と思ったのも事実ですが、そう思ったら比較的すぐ終わる、と。

あと、『担当者の不安解消!マイナンバーの実務入門』、これは校正が意外とつらかったです。私の書いている本の中でも一番平易にしようと思ったあまり、校正がつらかったです。あとは年始〆だったので、年末年始に、終わらないのではないかという不安を抱えながら生きていくのはややつらかったですかね。でもこれもつらいと思ったらその後は意外とすぐ終わりました。

『完全対応 特定個人情報保護評価のための番号法解説』は、最後までつらかったような記憶が・・・ 去年の書籍執筆スケジュールは尋常じゃなかったので、記憶もおぼろげですが。


で、今、やや並行して、別の原稿をやっているのですが、その編集者さんがすごい!
私は、もはや、読者の方が一体どこが疑問なのかがわからない状態なわけです。よくご相談を受ける点の記述なんかはもちろん厚く書いていますが、一般の方の疑問がもうちょっとよくわからないところがあって。そんな中、編集者の方が、そういう読者のことをよく想定して、ここの説明を足した方が良いとか、そういうコメントを丁寧に入れてくださるのですね。しかも著者丸投げでいいのに、編集者の方の方でかなり調べられているのですよ。すごいです。あとは、法律書の編集者さんだと、条文番号のチェックとか、条文の規定ぶりとの平仄チェックとかもしてくださいますけど、そのレベルも高すぎる。「あ、私、間違ってた・・・」と思うようなチェックをしてくださるんですね。本当にすばらしいです。

著者が原稿を書いて、それを編集者が見て、編集者コメントというのが著者のところに戻ってくるのですが、この編集者コメントの出来というのが、出版社・編集者によって、千差万別。今やっていただいている出版社さんは、元々、コラムと書籍でお世話になったのですが、その際の編集者コメントのレベルが高すぎて、さらに書籍のレイアウトというのか見た目全般がすごく読みやすくて、ぜひまたここで本を出させていただきたい!と思って、こちらから企画を持ち込んだんですね。さすが、今回もまたレベルが高すぎる。

ひどい出版社だと、編集者コメントが本当にひどいです。印税を昨年分、昨々年分と払ってくれなかったところなんて、著者が正しく表記しているものを調べもしないで、多々「直す?」みたいなコメントを入れているし、「及び/および」とかの表記統一を無視して訂正コメントを入れてくるんですよね。間違った編集者コメントを多数入れるくらいなら、編集者コメントなしにすればいいのにと思うのですが、コメントなしだと仕事してない感じが出るから嫌なんですかね。著者にしてみたら、間違った多数の編集者コメントに返事する時間が無駄なので、仕事したくないならコメントしてこないでほしいのですが。

勤め人だと、上司が誤った修正をしたりきませんか。しかし上司の場合、そこまで多数のコメントは入れないことの方が多い気がしますが。

前に勤めていた法律事務所だと、契約書とかも、弁護士コメントを多数入れた方が仕事している感が出るみたいに誤って思っている弁護士が結構いました。かといってそこまで直すところもないから、送り仮名とかばっかりしつこく趣味で直す、と。部下が出してきたドラフトとかメールすら、コメント・訂正を無意味に多数入れてきたりする弁護士とか、M&Aで無意味に質問数を増やすことを熱心にやる弁護士とかもいました。FAXの送り状を無意味に多数直す秘書とか。そのコメント・訂正のレベルがひどいんですよ。クライアントへのメールに「Best regards, Masako」って私が書いたら、「Kind regards, Masako」とか「Thank you and Kind Regards, Masako」に直されたり、「いつもお世話になっております」ってメールで私が書こうとしたら「平素よりお世話になっております」に直されたりとか。そんなのどちらでもビジネスマナーとして同じでしょう?と思いましたし、そもそもクライアントに出すメールを、私が直接送れず、上司にメールを見てもらってからじゃないとメール送れないって、どういう仕組みなの?、大手法律事務所って暇なの?と、驚いてしまいました。
その点、霞ヶ関なんて、課長補佐が官邸とか議員会館とか局長室とかにいって、局長級とか大臣級とか議員に普通に説明するわけですから、それはそれで驚きでした。最初、首相官邸に入った時、なんかあそこかび臭いんですけど、かび臭いけど、やっぱり官邸だから緊張していたのですが、官邸の椅子で、上司がとなりでぐちゃぐちゃになっているポケットティッシュを取り出して平和そうに鼻かんでいて、何かそれを見たら、「官邸といえども普通の場所なんだな」と思って、緊張しなくなりました。霞ヶ関霞ヶ関で不思議、弁護士事務所はもっと不思議すぎ、会社がやっぱり一番普通に思います。