ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

マイナンバーPC修理の件のガイドライン改訂

マイナンバーPCが使い捨てにならず、修理メーカーが過剰反応しないよう、ガイドラインQ&Aが改訂され、基本的にマイナンバーPCの修理や保守は、個人番号利用事務等の委託に該当しないということになりました。

これまで私が何度となく解説してきたように、個人番号利用事務等の委託に該当しても、マイナンバーがない時代と全く異なる高負荷対応が求められるわけではありませんが、そう何度言ってもどうしても過剰反応というものがある以上、Q&Aという正式な形で、「個人番号利用事務等の委託に該当しない」とした方が妥当であると思います。

とはいえ、個人番号利用事務等の委託に該当しなくても、問題のある取扱いをしていれば、個人情報保護法に基づき個人情報保護委員会に指導・勧告・命令されたり、被害者等から訴訟を提起され賠償義務等を負う可能性がありますので、法的リスクは変わらないと思いますし、修理・保守中にマイナンバーが万一漏えいした場合、新聞報道等で、「個人番号利用事務等の委託に該当しないので、漏えいしても、責任が軽い」などと評価されることはないと思いますので、実務上の意味はあまりないと思うのですが、修理メーカーにとっての心理的な負荷削減になるのかなあと、ぼんやり思っているところです。法律家は法的リスクを考えますが、法律家以外は法律・違法・裁判所等というと心理的負荷が高いように思います。