ITをめぐる法律問題について考える

弁護士水町雅子のIT情報法ブログ

【マイナンバーQ&A】マイナンバー対応のために必要な条例は何ですか

今度の自治体さん向けの講演資料を事務所のホームページにアップロードしましたので、それに関連して条例関係の質問にブログで答えてみます。

マイナンバー対応のために必要な条例は何ですか


(1)保護のための条例改正
(2)利活用のための条例改正
(3)その他
が必要です。


(1)保護のための条例改正

これは次の2種類に分かれます。
(1−1)特定個人情報の保護(情報提供等記録以外)
(1−2)情報提供等記録の保護

番号法第29条及び第30条の読替に相当する改正を個人情報保護条例に行います。
条例改正を行うべきか、条例を新設すべきかはこちらをご覧下さい。


(2)利活用のための条例改正

これは次の4種類に分かれます。
(2−1)独自事務
(2−2)庁内連携
(2−3)団体内他機関連携
(2−4)カード独自利用

なかでも(2−2)庁内連携は以下の6種類に分かれるので、それぞれ洗い出しが必要です。
・別表第一事務同士(別表第二に規定のあるもの)⇒包括的に条例で規定できる
・別表第一事務同士(別表第二に規定のないもの)⇒個別に洗い出して条例に規定する
・独自事務同士⇒個別に洗い出して条例に規定する
・別表第一事務と独自事務⇒個別に洗い出して条例に規定する
・住基事務と別表第一事務(別表第二に規定のないもの)⇒個別に洗い出して条例に規定した方がよい
・住基事務と独自事務⇒個別に洗い出して条例に規定した方がよい

詳細はこちらの38ページをご覧ください。



自治体さんがマイナンバーを利用/提供する場合をまとめると次のようになります。これはこちらの37ページにもまとめています。

 利用
1. 法律に定められた単一事務で利用したい(税務事務など)
• → 全国統一のもの
• → 番号法第9条第1項・別表第1が根拠に
2. 複数事務で利用したい(庁内連携) (税務事務と生活保護事務など)
• → 所得額情報を税務事務・生活保護事務で利用するなど
• → 法律に定められた事務か否かに関わらず、利用と提供の違いゆえに、地方公共団体のみ条例が必要となってくる
• → 番号法第9条第2項・条例が根拠に (条例がなければ利用できない)
3. 法律に定められた範囲外に使いたい(独自事務) (乳幼児医療費助成事務など)
• → 地方公共団体のみ、番号法第9条第1項・別表第一の範囲を超えて番号を利用可
• → 番号法第9条第2項・条例が根拠に(条例がなければ利用できない)

 提供
1. 同一団体内の他機関と連携したい(市長部局→教育委員会など)
• → 番号法第19条第9号・条例が根拠に (条例がなければ連携できない)
2. 独自事務で他団体と連携したい
• → 番号法第19条第14号・委員会規則が根拠に (規則がなければ連携できない)

 カード
• 条例